空の海の歯車くじらドール。(新タイトル募集中)

あざらしもどきねこ

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第一章 始まりは浮遊島。

第19号 少年とこれからの朝。

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 数十分後。

「え…と。んんんん!?」
 ヒルトの顔が真っ赤だ。
 さっきの体勢のまま二人ともぐっすりと眠っていたのだから、年頃の少年であるヒルトはさぞ恥ずかしいことだろう。そしてその体勢を自分で作り出したともあれば、余計顔が赤くなる。
 口が開いたり、閉じたり。
「れれれ、レイさん?お、起きてっ、起きてぇぇ!」
「むぅー?んー…あさぁー?」
 寝ぼけている様子のレイは、片手で目をこする。
「へ?…あ、もう、朝…なんだ。」
 ベッドの横に丁度良く窓があったので、その向こうを見てみると、さっきまで真っ白だっただろう雲が朝日に照らされ、真っ赤に染まっているところだった。

 何か見えた。
 ヒルトは窓に顔を近づける。
 目を薄め良く凝らしてみるが、雲が邪魔をし、しっかりとは見えない。
「ド、ラゴン?……あ、ウディクさん達かな?」
「んーん。違う。あのヒト、白い…。」
(白い?)
 ヒルトが先ほど見たのは、確か黒に近い色をしていたはずだ。
 疑問に思い、レイの方を向く。
(っ…ちかっ!!)
 この窓は小さく一人で覗きこめるサイズ。
 当たり前といえば、当たり前なのだが、ほぼ隙間がないと言えるほどに近くに居られるとびっくりする。
 また、ヒルトの顔が赤くなる。が、レイが窓のギリギリまで上を見上げていることに気付いた。
「上?」
 そのまま、レイにつられてこの飛空艇のはるか上空を見た。
 そこには、
「「綺麗……。」」
 二人の声が重なった。
 そこには、雲とは違う、キラキラと水晶のように光る「白」があり、いつの間にか登り終わっていた太陽と、優雅に踊るかのように飛んでいた。
「あのドラゴン、村にいなかったよね?他にも空ってドラゴンが住んでるの?」
「わかんない…あの島出たことないから。」

 数秒、そのドラゴンが見えなくなるまで二人は空を眺め続けた。
「…?……そら?」
「?……はっ!しまった!」
 ヒルトは自分が小さい過ちを犯したことに今さら気付いた。額から何か流れてくる。
「ヒルト、そう言えば、どこから来たの?他の島から?…それとも、全くちがうとこ?」
 無意識にレイとの距離が離れる。
「あぁーと…えぇーと……。」
(んー、別に隠さないといけない、ってわけでもない、しな…。)
 頬を指で掻いてみる。ヒルトは__余程のことでもないのだが__決心を決めた。
「僕は…この空の下、地上から来たんだ。」

「え、えええぇぇ!」

 と、いうリアクションをヒルトは期待していたが。
「……。う?」
 何を言っているんだろうこの人は、という目を向けられる。
 何を言っているんだろうこの人は、という顔をされる。
 目の前のレイはヒルトの言ったことを全く理解していない様子だ。ヒルトの方がやけに恥ずかしくなっていく。
 あれ?
「えぇっとね?ここにある島の下にも、おおっきな島、大陸があってね?」
「…うん?」
 首をかしげられた。
「で、そこの大陸にも沢山の人が住んでいて、僕はその人達の中の代表?として、ここに調査しに来た訳なんだけど。」
「うん。」
 ああ、説明難しいっ!
 ヒルトは、心の中だけで髪をかき回す。
「わかった…?」
「うー、ん?たぶん。」
 レイは難しい顔をして目をつむる。そのまま上半身だけでぐるぐる回る。
(これは、分かってるのか?)
「じゃ、じゃあ。」
 改めて自分が寝ていたベッドの周りを見渡す。
 ここの部屋は狭くもなく広くもなく、まあ丁度良い広さで、個人の部屋というよりはカーテンや机を見るに質素な客室のようなもの。
 そして、この部屋の奥には廊下に続くだろう扉があり、そして水道が通ってない。レイの持って来ていたコップの中の水を見れば、キッチン、少なくとも水分を補給できる場所があることは一目瞭然であった。
「取り敢えず…。レイ、その水何処から持ってきた?案内してもらっていい?」
「ん。いいよ。」
 そう言うとレイは椅子から立ち、少し歩き扉の前で手招きをする。それに続いてヒルトもベッドから降りて行った。
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