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第一章 始まりは浮遊島。
第20号 少年と朝ごはん。のちシリアス。
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木製の机の上には、ほかほかとして温かいスープ、新鮮な香りのするジュース、そして、乾パンが置いてある。
あの部屋を出てから、二人は朝ご飯になりそうなものを艇の中で探した。そして見つかったのがこれらである。
幸い、レイが水を汲んだ水道の近くにコンロがあったため、スープもそれで温められた。しかし、水道もコンロもヒルトは見たことのない形で、レイが家にあるのと同じだからと簡単に使いこなしていたが、ヒルト一人ではそもそもこれが(水道はともかく)コンロなのかもわからないところであった。
薄い…。
これはスープに対してのヒルトの正直な感想だ。
小さなため息一つ。
(味気無いけど…。まあ、この艇の中で見つけたにしてはいい方だよな。腐ってもないし…?)
ヒルトは気付いていない__まあ、知るよしもないのだが__ようだが、この食材、あのドラゴンの村の一体がこっそりと、後で食べようと毎日置いては食べていた物であった。
「ムフン。」
小さい笑い声。
レイが勝ち誇ったような__よく見ないと分からないのだが__顔をしている。
ちなみに、レイはそれを知っている。
そして今は、何度注意しても止めなかったそのドラゴンに対しての、少しの感謝と、やってやったぞ、という大きな満足感に浸っている。
もぐもぐもぐ。
無言で食べ続ける。
「…。そういえばヒルトー。ヒルトってさー、どうして空?に、来たの?」
ああ、確かに。そういえば言っていなかった。
思い出したところで、言って良いのやら。ヒルトは今口の中に入っていった乾パンをほぐしながら考える。
まあ、いいか?
「んーと。大雑把に言うと、空のくじら…フェドを調査しに来た、かな?」
「なんで?」
何で。
仕事だから、やらないといけないことだから、単純に言ってしまえば、こうなるのだろう。ただしかし、何故かヒルトは、その答えを口には出さなかった。そう答えてしまうと何かが消えてしまうように感じた。
「うん…。そうだな。」
本当のこと。
レイになら言っても大丈夫だろうかと少し考える。
周りの人達はヒルトだけが知る事実を、良くできた小話程度のものでしか理解しなかった。昔からの知り合いだからこそ、現実に起きたことだと理解しようとはしなかった。
きっと、この子なら大丈夫なんだろうな。と、一人で苦笑する。
それはレイが元々そういう不思議なものに囲まれ育っているから、というのもあるが性格で考えてみても純粋で子供ようなこの子はきっと、本当のことだと信じてくれると思えた。
「む?」
レイが困り顔で首をかしげるがヒルトは気にしないで話しを続ける。
「昔、僕には幼馴染みがいたんだ。」
ここからヒルトが話すことは、今まで誰も信じることのなかった話。もう誰にも話さないと、ヒルトが一度は心に誓った話。
何でかな、君になら、レイになら、話せる気がするんだ。
あの部屋を出てから、二人は朝ご飯になりそうなものを艇の中で探した。そして見つかったのがこれらである。
幸い、レイが水を汲んだ水道の近くにコンロがあったため、スープもそれで温められた。しかし、水道もコンロもヒルトは見たことのない形で、レイが家にあるのと同じだからと簡単に使いこなしていたが、ヒルト一人ではそもそもこれが(水道はともかく)コンロなのかもわからないところであった。
薄い…。
これはスープに対してのヒルトの正直な感想だ。
小さなため息一つ。
(味気無いけど…。まあ、この艇の中で見つけたにしてはいい方だよな。腐ってもないし…?)
ヒルトは気付いていない__まあ、知るよしもないのだが__ようだが、この食材、あのドラゴンの村の一体がこっそりと、後で食べようと毎日置いては食べていた物であった。
「ムフン。」
小さい笑い声。
レイが勝ち誇ったような__よく見ないと分からないのだが__顔をしている。
ちなみに、レイはそれを知っている。
そして今は、何度注意しても止めなかったそのドラゴンに対しての、少しの感謝と、やってやったぞ、という大きな満足感に浸っている。
もぐもぐもぐ。
無言で食べ続ける。
「…。そういえばヒルトー。ヒルトってさー、どうして空?に、来たの?」
ああ、確かに。そういえば言っていなかった。
思い出したところで、言って良いのやら。ヒルトは今口の中に入っていった乾パンをほぐしながら考える。
まあ、いいか?
「んーと。大雑把に言うと、空のくじら…フェドを調査しに来た、かな?」
「なんで?」
何で。
仕事だから、やらないといけないことだから、単純に言ってしまえば、こうなるのだろう。ただしかし、何故かヒルトは、その答えを口には出さなかった。そう答えてしまうと何かが消えてしまうように感じた。
「うん…。そうだな。」
本当のこと。
レイになら言っても大丈夫だろうかと少し考える。
周りの人達はヒルトだけが知る事実を、良くできた小話程度のものでしか理解しなかった。昔からの知り合いだからこそ、現実に起きたことだと理解しようとはしなかった。
きっと、この子なら大丈夫なんだろうな。と、一人で苦笑する。
それはレイが元々そういう不思議なものに囲まれ育っているから、というのもあるが性格で考えてみても純粋で子供ようなこの子はきっと、本当のことだと信じてくれると思えた。
「む?」
レイが困り顔で首をかしげるがヒルトは気にしないで話しを続ける。
「昔、僕には幼馴染みがいたんだ。」
ここからヒルトが話すことは、今まで誰も信じることのなかった話。もう誰にも話さないと、ヒルトが一度は心に誓った話。
何でかな、君になら、レイになら、話せる気がするんだ。
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