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18章 謎の人々
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18章に出てくる主な人々:
吉田:教育開発プログラム 実行委員会執行部部長
深沢:内閣官房、国際テロ対策推進本部特別部会 本部長
小野寺:内閣官房、国際テロ対策推進本部特別部会 作業本部部長
鏑木:自主映画製作監督兼プロデューサー。教育開発プログラム協力者。
えっ、それって…。鏑木という人は僕らと違う…ということ? い、異世界の…住人?
何だって、そんなこと有りかよ!
涼介は心臓がドクドクと音を立てるのを聞いた。涼介が戸惑って震えを感じている中、スクリーンがオンにされた。
係員は回線の調整をしている。片面にテロ対策委等政府関係者、向かいには黒背広の委員会メンバーが並び、涼介は山本の隣で端に座った。正面スクリーン上に相手の姿が映し出されることになっている。
何度か係員が回線の接続を試みたのち、呼出音が鳴り響き、スクリーンが明るくなった。
「もしもし、聞こえますか」
作業本部長、小野寺が呼びかけた。
ぼんやりしていた画面がフォーカスされ、鏑木が真正面に座っているのが映し出された。その左右と後方の席には、見慣れたあの映画関係者たちだが、それ以外の知らない顔もある。ローサ及び一緒にいた二人の男は、もちろんいなかった。
「聞こえます。私は鏑木です。本日はこの会議の機会をいただきありがとうございます私は今から我々の立場を表明します。その後、ご質問がありましたらお受けします」
淀みない、普通の日本語に聞こえた。鏑木は手元の書類に目を落とした。
「第一に、私たちの世界では、この世界、「地球」の変動を感知できます。それは古くから知られていたのですが、近年まで我々は関わることはありませんでした。近年の技術の進歩により、その時のエネルギーに乗るようにして訪問…あなた方から見て「侵入」することができるようになりました。
第二に、我々の世界ではこの行動に対し高い倫理事項が設けられており、決して地球の皆様に影響を及ぼして来ませんでした。
第三.しかしそれに反する者が今回初めて出現しました。それが我々、平和な訪問者の団体に紛れていたことであなた方に迷惑をかけております。
第四.我々は乗り込むことはできても、それを阻止したり変化を加えることができません。しかし、あなた方の中にはそれができる、普通の能力を超えた人々がいます。
最後に。我々は、地球の人々が、我々に紛れ込んで侵入した犯罪者を罰することを容認いたします。これは我々政府が正式に決定しました」
鏑木に、隣に控えていた誰かが大判の黒いフィルダーのようなものを渡した。鏑木がそれを開け、画面に大写しにした。彼らの世界の政治上の正式な書類のようだ。
会議室内は安堵の声が上がった。拍手もまばらに聞こえた。
たまらず涼介は山本に小声で話しかけた。
「あの、すみません。あの人…鏑木と称した人ですけど、『普通の能力を超えた人々』って言ったでしょ。それってもしかして…」
山本は肩をすくめ、さりげない調子で言った。
「君らのことだよ」
「は…」
「そうなんだ。鏑木さんたち一族、と言っていいのかあの集団は本来平和に生きてきたんだ、どこか他の世界でね。我々と良く似た世界がどこかにあるってわけです、まるで作り話のように聞こえるけど」
「まさかそんな…馬鹿げたことが」
「蓮見君。馬鹿げたことに聞こえるのは承知しています。しかし今はそれが現実として目の前にあるんです。現実を直視しなければならない」
「…」
「これまで彼らの世界と我々の世界は何ら関係がなかった。しかし、何かまずいことが起こり、彼らの力で克服できず、我々に助けを求めてきた。我々の中でも特に、特殊な能力を持った人が必要、となったのさ」
深澤がハッとした顔つきで胸ポケットを探った。携帯が振動したようだ。
「ちょっと失礼」
深澤は席を外して会議室の隅に行ってしばらく携帯で話をしていた。すぐに戻ってくると、小野寺に耳打ちした。小野寺は驚いた顔つきで、鏑木に向いた。
「申し訳ありませんが、侵入者の追跡のため、我々はこれで会議を一旦終了しなければなりません」
スクリーンの向こうで鏑木はうなづいている。
「承知しました。我々は立場を表明しましたので、必要な時にいつでもご協力いたします。
係員が電話回線をオフにするや否や、小野寺は吉田部長と山本調査員に言った。
「何ということだ。若者たちが危ない。吉田さん、才能開発プログラムの参加者は何人ですか」
「全部で四十三人です、蓮見君も入れて」
「不審者が若者たちを連れ去るのが目撃されました。連れ去られた一人はプログラムの参加者だと確認されました」
参加者がええっ、という声が上がった。
「今、彼ら全員の存在確認をします」
山本調査員はすぐさま手元のタブレットに文字を打ち込んだ。
まもなく山本とそのアシスタントの職員は委員会組織からの連絡を受け取った。
「43名のうち、39名のマイクロチップの反応がありました。残りの4つからの反応がないそうです」
「マイクロチップ消失者の一人は蓮見君だから大丈夫。彼はここにいるから」
所員は不明の三人の名前を読み上げた。その一人は桐生葵だった。
吉田:教育開発プログラム 実行委員会執行部部長
深沢:内閣官房、国際テロ対策推進本部特別部会 本部長
小野寺:内閣官房、国際テロ対策推進本部特別部会 作業本部部長
鏑木:自主映画製作監督兼プロデューサー。教育開発プログラム協力者。
えっ、それって…。鏑木という人は僕らと違う…ということ? い、異世界の…住人?
何だって、そんなこと有りかよ!
涼介は心臓がドクドクと音を立てるのを聞いた。涼介が戸惑って震えを感じている中、スクリーンがオンにされた。
係員は回線の調整をしている。片面にテロ対策委等政府関係者、向かいには黒背広の委員会メンバーが並び、涼介は山本の隣で端に座った。正面スクリーン上に相手の姿が映し出されることになっている。
何度か係員が回線の接続を試みたのち、呼出音が鳴り響き、スクリーンが明るくなった。
「もしもし、聞こえますか」
作業本部長、小野寺が呼びかけた。
ぼんやりしていた画面がフォーカスされ、鏑木が真正面に座っているのが映し出された。その左右と後方の席には、見慣れたあの映画関係者たちだが、それ以外の知らない顔もある。ローサ及び一緒にいた二人の男は、もちろんいなかった。
「聞こえます。私は鏑木です。本日はこの会議の機会をいただきありがとうございます私は今から我々の立場を表明します。その後、ご質問がありましたらお受けします」
淀みない、普通の日本語に聞こえた。鏑木は手元の書類に目を落とした。
「第一に、私たちの世界では、この世界、「地球」の変動を感知できます。それは古くから知られていたのですが、近年まで我々は関わることはありませんでした。近年の技術の進歩により、その時のエネルギーに乗るようにして訪問…あなた方から見て「侵入」することができるようになりました。
第二に、我々の世界ではこの行動に対し高い倫理事項が設けられており、決して地球の皆様に影響を及ぼして来ませんでした。
第三.しかしそれに反する者が今回初めて出現しました。それが我々、平和な訪問者の団体に紛れていたことであなた方に迷惑をかけております。
第四.我々は乗り込むことはできても、それを阻止したり変化を加えることができません。しかし、あなた方の中にはそれができる、普通の能力を超えた人々がいます。
最後に。我々は、地球の人々が、我々に紛れ込んで侵入した犯罪者を罰することを容認いたします。これは我々政府が正式に決定しました」
鏑木に、隣に控えていた誰かが大判の黒いフィルダーのようなものを渡した。鏑木がそれを開け、画面に大写しにした。彼らの世界の政治上の正式な書類のようだ。
会議室内は安堵の声が上がった。拍手もまばらに聞こえた。
たまらず涼介は山本に小声で話しかけた。
「あの、すみません。あの人…鏑木と称した人ですけど、『普通の能力を超えた人々』って言ったでしょ。それってもしかして…」
山本は肩をすくめ、さりげない調子で言った。
「君らのことだよ」
「は…」
「そうなんだ。鏑木さんたち一族、と言っていいのかあの集団は本来平和に生きてきたんだ、どこか他の世界でね。我々と良く似た世界がどこかにあるってわけです、まるで作り話のように聞こえるけど」
「まさかそんな…馬鹿げたことが」
「蓮見君。馬鹿げたことに聞こえるのは承知しています。しかし今はそれが現実として目の前にあるんです。現実を直視しなければならない」
「…」
「これまで彼らの世界と我々の世界は何ら関係がなかった。しかし、何かまずいことが起こり、彼らの力で克服できず、我々に助けを求めてきた。我々の中でも特に、特殊な能力を持った人が必要、となったのさ」
深澤がハッとした顔つきで胸ポケットを探った。携帯が振動したようだ。
「ちょっと失礼」
深澤は席を外して会議室の隅に行ってしばらく携帯で話をしていた。すぐに戻ってくると、小野寺に耳打ちした。小野寺は驚いた顔つきで、鏑木に向いた。
「申し訳ありませんが、侵入者の追跡のため、我々はこれで会議を一旦終了しなければなりません」
スクリーンの向こうで鏑木はうなづいている。
「承知しました。我々は立場を表明しましたので、必要な時にいつでもご協力いたします。
係員が電話回線をオフにするや否や、小野寺は吉田部長と山本調査員に言った。
「何ということだ。若者たちが危ない。吉田さん、才能開発プログラムの参加者は何人ですか」
「全部で四十三人です、蓮見君も入れて」
「不審者が若者たちを連れ去るのが目撃されました。連れ去られた一人はプログラムの参加者だと確認されました」
参加者がええっ、という声が上がった。
「今、彼ら全員の存在確認をします」
山本調査員はすぐさま手元のタブレットに文字を打ち込んだ。
まもなく山本とそのアシスタントの職員は委員会組織からの連絡を受け取った。
「43名のうち、39名のマイクロチップの反応がありました。残りの4つからの反応がないそうです」
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