俺のバッドエンドが彼女のハッピーエンドなんてあってたまるか!

めいゆー

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プロローグ

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 俺の生まれた小さな漁師町では夏に一度、海の神様に感謝する為の祭りが毎年行われていた。
だけど今年の祭りは何かが違う。
漁港に特設したお祭りの会場、たくさんの出店や華やかな提灯、祭りを盛り上げるBGMが流れていた。
ただ、その場には、もう祭りを楽しむ人の気配はない。
そこにあるのは、生死も判らないまま転がっている祭りの参加者達と一人佇む俺の姿だった。

「な、なんだよこれ!なんで皆倒れてるんだよ!」
俺は、あまりに突然の出来事にパニックになっていた。
 
その時、1台の車が祭りの会場に入ってきて俺の前で停まった。
中から出てきてのは、黒縁メガネをかけたスーツ姿の女性だった。

「あなたが、藤原湊くん?」
不意に女性が尋ねてきた。

「そうだけど、あんたいったい誰だよ!!それになんでこの状況見ても平気なんだよ!!なんで俺の名前知ってんだよ!!なんなんだよこの状況は!」
俺は、このやり場のない不安やわけの分からない苛立たしさを、初めてあった見ず知らずの人間に理不尽にぶつけていた。

「まあまあ、少し落ち着いて聞いてくださいね。先ずは深呼吸しましょう。はい!吸ってーーーーー!!!はい!吐いてーーーーー!!!はい!吸ってーーー!?ゲホッ!ゲホッ! いやー虫が入ったーーーーーーーーーー!!!!!」
スーツ姿の女性は涙目である。

「…大丈夫かよ?」
「はい…すみません取り乱してしまいまして。では、改めて自己紹介しますね。私の名前は木村千咲といいます。国が管理する学園都市にある光明学園よりやってまいりました。そこは少し特殊な学校でして、少し変わった力をもった子(能力者)や普通の社会では生活するのが困難な子(異端児)の為に作られた学園なのです。まあ、あなたの名前を知っているのは、能力者の子の力って感じです。」
「学園都市?光明学園?それが俺にいったい何の関係が?どう考えても俺、普通の人間なんですけど!そもそも能力者とか異端児とか言われてもわけわかんねーよ!」
「そうですよね...じゃあ説明するより見せた方が早いですね( ^ω^ )」

そう言うと彼女は、
「クリエイト、銃。」
と、いう言葉を発した。その瞬間彼女の手には、今までなかったはずの銃が握られていた。
「じゃあ逝ってみよっかwww」

BAN!

「あっ、死んだわ。短い人生だったなー。」
弾丸は頭を貫通し、俺はこれまでの短い人生の走馬灯 を見ていた…
はずだった!
しかし、弾丸が頭を貫通した瞬間、同じスピードで細胞が修復されたのである。

「これで分かったかな?あなたは、不死身になっちゃたのです。」
「不死身?いったいなんで俺の体こんなことになってるんだよ!」
「心当たりないですかー?」
(心当たり?そういえば祭りが始まる前に漁師のオッサン達が何か言ってたような…)
                                                              ・
                                                              ・
                                                              ・
学校から家への帰り道、漁師達がいつも酒盛りをしている漁港の広場から騒がしい声が聞こえてきた。
「よー湊!今日の祭りなんだけどよー。めちゃくちゃ珍しい魚捕まえたから捌いてみんなに振舞うことにしたわー。」
酒に酔った漁師の一人が自慢げにそう言った。
「そっかー、楽しみにしてるよ!」
(でかいマグロでも釣り上げたのかな?)
そんな程度にしか、俺は考えていなかった。

祭りが始まり、会場の入り口では漁師が言っていたように振る舞われた料理の数々が参加者達に配られていた。
一口食べてみると、
(これが魚なのか!?まるで高級な肉を食べているようだ!)
しかし、周りを見てみると口にしてはみるものの俺以外にこの食材を美味いと感じている者はいないようだった。

皆んなが倒れたのは、それから数分後のことだった。
                                                            ・
                                                            ・
                                                            ・
「もしかして原因は!!」
「そうそれは、あなたが食べた物、いえ、この祭りに参加した人達が口にした食材が起こした結果なの。」
「いったい俺たちは何を食べたんだよ!?教えてくれ!」
「それは、人魚の肉よ!」
「人魚!?そんなの本当にいるのか!?」
「確認された数は少ないけれど、確実に存在しするわ。あなたは知ってるかしら?人魚の肉を食べた者は不老不死になるという伝説を?」
「聞いたことはあるけど、それならならなんで皆んなは倒れてるんだよ!」
「人魚の肉を食べて不老不死になるのは、その人魚一個体の適正に合った一人のみなの!それ以外の人間は適正者の記憶を一切失ってしまうそうよ。それが肉親であっても。」
「そんな、じゃあ俺は…」
「そう、あなたは天涯孤独になってしまったのです。そこで提案です。藤原湊くん、私たちの管理する学園都市へ、いらっしゃいませんか?そこには、あなたと同じような境遇の方々も沢山いらっしゃいます。あなたの未来を照らす光に我々はなりたいのです。」
そういって彼女は手を伸ばした。
俺は何も言わずにその手を握り返した。
こうして、俺の新しい生活が今、始まろうとしていた。
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