即席異世界転移して薬草師になった

黒密

文字の大きさ
7 / 25
第1章 運命

第七話 夢、そして素材集め

しおりを挟む
「また夢の中か」

 俺はまた夢の世界に来ていた。
 そして、目の前には椅子に座り紅茶を片手にティータイム中のユーリが目の前にいた。

「やあ、君も飲むかい?」
「いや、俺はどちらかっていうとコーヒー派だ」
「そうなのかい? なら今すぐ用意しよう」

 そう言うとユーリは指をならし、目の前にはテーブルとコーヒーが置いてあった。
 一体どうやって出したんだ?

「夢の中だからこれくらい簡単だよ」

 なるほど、夢だから自由にコーヒーとか出せるのか。
 しかし、何かここ最近ユーリに会うことが多い気がする。
 そう思っていると、ユーリが笑いながら話した。

「実はやることが無くなってね、それで暇つぶしにこうやって君の夢の中にお邪魔しているんだよ」

 やることなくなったって、仮にもあんたこの世界の管理人だろ。
 俺はそう思いながらコーヒーを飲んだ。

 そのあとも、他愛のない話をして俺は視界がぼやけて目が覚めた。

「はぁ~、何か夢だったはずなのに口の中がコーヒーの味がする」

 そう思いながら俺は、朝食を食べに行った。
 メニューは、パンとサラダにコーンスープ、そして夢で飲んできたコーヒーがあった。

 俺は取りあえず朝食を済ませ、リアンに魔道具屋に行くことを伝えると、リアンも魔道具に興味があるようで一緒についてくることになった。

 用事はいいのか聞いたら、昨日の内に終わっていたらしい。
 それで宿に向かっている途中にあの男に絡まれていたようだ。

 話を聞いた後、俺は部屋に道具を取りに行きリアンを連れて魔道具屋に向かった。

「わぁ、何だこれ」

 目の前にはレイズニアには無かった魔道具が売られていた。
 リアンは、どちらかっていうと道具ではなく杖を見ていた。

 ただ、その杖の値段が金貨二十枚とか高くて五十枚とか正直意味不明だった。
 銀貨と銅貨は十枚で一枚に変わるが、金貨には上が無いようだ。

「お客さん、何かお探しで?」

 店員がそう聞いてきて、俺はライターみたいなものがあるか聞いてみた。
 すると店員は、小さいスティックを持ってきた。

「お値段は、金貨一枚です」

 取りあえずこれでマッチを使わずに火が簡単に使えそうだ。
 スティックを買い終わってそう思っていると、リアンも杖を購入していた。

 値段を見たら金貨二十枚の物を買っていた。
 なんていうかこれを見ていると宿代がかなり安いな、それに魔法使いは装備にかなり金がかかるんだな~、と俺は心の中でそう思った。

 俺たちは買い物を終えて、リアンは買った杖を使ってみたいらしくて外に行くらしくて、俺も外に行くことにした。

 リアンがいると魔物の素材採取がかなり楽になるだろうな。
 そう思いながら俺は、町から出てそとで魔物を探していると昨日のスライム遭遇した。

「うわ......めんどくさいのが出たわ......」
「取りあえずリアンは火の魔法はできるだけ避けてね、ああ見えて素材になるから」
「でも、それだと何度でもあいつは蘇るわ、それにあいつは火の魔法以外効かないから」

 確かに、だけどスライムも不死身ではなく何処かしらにコアを持っているのだ。
 実はこのコアも残骸を粉にして使うとクリスタル程ではないが薬を強化する材料になるのだ。

 無論、火を使って消す事もできるが、できるだけ素材になるならコアを潰してほしい。

「スライムは俺がやるよ」
「はあ? 武器も無しにどうやって......」

 俺は鞄から昨日拾った枝を取り出した。
 正直素材で使う前でよかったと思った、素材で粉にしていたらほんとに武器無しになっていたからだ。

 周りにも枝はあるが昨日拾ったもの程大きくなかったのだ。

「はあぁ!」

 俺はひたすらスライムを切りつけた、だが中々コアには当たらなかった。

 スライムは、元は丸い形をしていたらしいがそれだと直ぐにコアを潰されるのでそれを克服するために人の形に進化したらしい。

 てか、そんなこと考えている場合じゃなかった。
 俺はやけくそになり、頭を枝で切り飛ばした。
 するとたまたまそこにコアがあったようで、頭以外のスライムの部位は形を保てずただの液体になった。

 俺は残ったコアにとどめを刺して、残骸と液体を採取した。

「次からはスライムように軽い打撃武器でも買っておこうかな?」
「はあ、今回は運よくうまくいったけど普通あんなに簡単にはいかないよ」

 まあ、実際俺もこんなにうまくいくとは思ってもいなかった。
 とにかく俺は、採取をし終えてその辺の草を採取した。

 すると、中にニトロ草を見つけた。
 これは火薬の材料になって、これを使って作る戦闘用の薬は多いようだ。

 こいつを使って色々武器になる薬が作れそうだと思い、いくつか採取した。
 ちなみにリアンは、辺りに何もいないことを確認するとランク五の氷魔法であたりを凍らせていた。

 さすがはランク五の魔法使い、やることがえげつねぇ。
 しかし彼女は無駄に魔物と交戦はしないらしい。

「今日は大量だぜ~」

 俺は、色々使えそうな材料を採取できて無駄にテンションが高かった。
 リアンも杖に満足したのか火炎魔法で一通りの氷を溶かしていた。

 取りあえず俺達は時間的に夕食の時間だったので、宿に戻った。

 夕食はローストビーフにガーリックライス、デザートはバニラアイスが出ていた。

 胃袋をみたすには十分すぎる量だった、俺は満足して部屋に入ってニトロ草の使い道を考えていた。
 さすがに無計画には作らないし、借りている部屋で作ろうとは思わなかった。

 俺は取りあえず、風呂に入った。

「何かいいアイデアないかな?」

 俺はそう口にしたはいいが、あまりこれといった物は思い浮かばなかった。
 取りあえず作ろうと思ったのは、逃げる時のために煙薬と爆薬でも作るかな?

 煙薬は、基本的に小麦粉とニトロ草。
 爆薬はニトロ草を三本。
 ちなみに市場では五本で銀貨三枚での取引なので、あまり無駄に使うと懐まで爆破されるのだ。

 そう考えながら風呂から上がり、今日は冷たいお茶を飲んだ。
 なぜならフルーツ牛乳が売り切れていたからだ。

「風呂上りのお茶もなかなかいいな」

 俺は基本風呂上りは、向こうの世界では炭酸飲料だったが、こっちには無いため二番目に飲んでいた牛乳を飲むことにしていた。

 しかし、それが無いなら仕方無いと思い俺はお茶を飲んだ。

「ふぁ~、もう寝るかな」

 俺はあくびをして布団に入り眠りについた。

「ん? ユーリか」

 俺はいつものように夢の中でユーリに会った。

「やあ、お邪魔するよ」
「今回もまた話に来たのか?」

 そう聞くとユーリは珍しく首を振った。

「今回は君にプレゼントを渡そうと思ってね」

 これは! 俺が向こうで使っていたスマホじゃないか。
 しかしなんで今頃、それにこっちでは電波なんて無いから使えてもカメラくらいだろう。

 そう思っているとユーリが微笑みながら口を開いた。

「これは確かに君が使ってたスマホだけど、機能を少し変えたよ。」
「一つは自分だけの空間を作り出せること、簡単に言うとこれがあれば自由に薬を作れるようになると思うよ」

 マジか!? すごく便利じゃないか、正直すごくうれしかった。

「今後、どうしても必要な機能があれば条件付きでアップデートしてあげるよ」
「あれ? てことは今回も何か条件があるのか?」
「まあ、無条件で色々追加はさすがに今回が最後だよ、力を求めるなら普通は代償が必要だからね」

 そうユーリが言っていると視界が揺らぎ始めた。

「それじゃあがんばってねー」

 ユーリは最後に紅茶を飲みながらそう言っていた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...