25 / 35
レッツ制圧!!
しおりを挟む「へぶぅ。」
「ぐふっ。」
「がはっ。」
私は次々と賊をおろしていった。
飛び上がっては蹴りを食らわし、踏み出しては峰打ちをお見舞い。
ダンスを踊るように軽やかに剣を振り回す。
「あははっははっ、楽しーいー!!
もっと、もっとレッツ制圧!!」
久しぶりの運動に私はテンションが上がっていた。
ついつい笑いが零れてしまう。
「あ、あいつ、狂ってやがる。」
「せ、戦闘狂だ。」
「逃がさないよー!!」
逃げようとした賊の脇腹を蹴りあげ、その反動のままにもう一人には剣を持たない方の拳でパンチをプレゼント。
複数で襲い掛かってきた人たちには土をえぐって目潰しをした。
そして、飛躍してかかと落とし、また飛躍してかかと落としを全員にお贈りする。
目潰しを熨斗代わりにするなんて、私、かなりできた子じゃない!!
「目潰しなんて、お前は騎士の誇りが無いのか!?」
「あいにく、私は騎士じゃなくただの護衛なんで。
戦い方とか関係ないんですよー。」
そもそも賊に誇りがどうのこうの言われる筋合いは無いし。
「さーて、あらかた片付いたね。
一人、二人、三人···───」
私はおろした賊たちを順番に数える。
地面に顔がのめり込んでいたり、数人が重なって山になっていたり木の枝に引っ掛かってぶら下がっていたりとなかなか数えにくい。
「···本当に、一人の人間の仕業なのか···?
いや、でもこの目で見ていたわけだし···。
夢か?でもいつから···?」
「お兄様、しっかりしてください。」
二人が後ろでなんか言ってる。
「───十八人、十九人、あと一人っ。」
一人足りなかったが、私はその一人である賊のと思われる気配がある方向へ柄を先にして剣を投げた。
───ゴンッ
「ゴフッ!」
「はーい、ビンゴ!!」
つい、軽く跳ねてガッツポーズをしてしまう。
いけない、いけない。私はもう子供じゃないんだから。
この場にいる賊を制圧したわけだし残りの賊の元へ向かいたい。
けれど、私の後ろには隣国の王子と王女がいる。
流石に二人を置いて戦闘しに行くほど狂ってはいない。
···仕方ない、残りは騎士隊に譲るか。
「お待たせいたしました。
もう、出てきても大丈夫ですよ。」
「···あ、はい。」
何故か呆然としていた王子は少しだけ遅れて返事をした。
そして、二人で手を取ってウロの中から這い出てきた。
どうやら王女のほうは足を怪我しているみたい。
「王女様はそのまま座っていてください。
王子様にはこの賊たちを縛る手伝いをお願いしたいのですがよろしいですか?」
「ああ、かまわないよ。」
王子に持ってきた縄を渡して、私が試しに一人縛って結び方を教えた。
すると要領がいいのか、すぐに縛れるようになり思ったよりも早く縛り上げる作業が終わったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる