母の故郷は魔法使いが住む世界です!?

こうせ

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「追いつかれる。気をつけて。」
 羽音でだいぶ近いだろうことは分かっている。わたしはただ急ぐしか出来ない。レイくんが風の刃の魔法を放って攻撃を仕掛けていた。
「よし怯んでる!マユちゃん、急げ急げ!」
 チラッと目を向けるとクラスメイトたちが各々攻撃なり防御なり応戦していた。アキラくんは火の魔法で応戦しながら、よそ見しているわたしに気付き、急かしてくる。
「日の光を好まないはずだから、外に出れば大丈夫。急ごう。」
 レイくんにも急かされて必死に足を動かす。
「やっぱレイの魔法はキレキレだよなぁ。他のやつと違うもん。」
 わたしのスピードに合わせながらアキラくんは話す余裕があるようだ。レイくんも周囲を確認している。次の瞬間、レイくんとアキラくんは表情を変えた。
「…!」
「1人刺されたな…。」
 レイくんが足を止めた。
「レイくん!?」
「2人は先に行って。」
「え?」
「…分かった。」
 わたしは戸惑ったが、アキラくんはすぐに頷いた。
「後から追いかけるから。」
 とレイくん。わたしはアキラくんに「行こう。」と声を掛けられて足を動かし続けた。
「ああ見えて、世話焼きなんだよ。」
 アキラくんが言う。
「うん。」
 わたしだって知ってる。こっちに来てからレイくんはわたしを気にかけてくれている。ホウキに乗せてくれるし、今日の授業だってわたしが1人にならないように一緒にいてくれている。レイくんは1人でも大丈夫なのに。蜘蛛の時みたいに、元の蜂の姿に戻せればいいのに。あの時の魔法はどうやって使ったか分からない。
「もう少しで外だ!!」
 アキラくんが声を上げた。わたしにも外からの光が見えている。
「出れた…!」
「ここまで来れば大丈夫だ。」
 あとはレイくんだけど…。心配だ。
 洞窟の入り口の方が騒がしくなり始めた。
「来たな。」
 数人のクラスメイト達がまとめて外に飛び出してきた。レイくんを探すと、クラスメイトに肩を支えてもらっている。
「レイくん!?」
 慌てて駆け寄ったが、顔色は悪く、ぐったりしていて、わたしはすうっと身体が冷えるような感じがした。レイくんもそんなわたしに気付いて、
「大丈夫。」
 と弱々しく微笑んだ。
 アキラくんが事情を聞き回り、クラスメイトを庇って針に刺されたことが分かった。
「…もう1人の刺されたやつは?」
 アキラくんは冷静に状況を把握しようとしている。
「意識はないけど、息はある。」
 レイくんが答え、アキラくんは顔をしかめながら、
「…先生たちが来るまで、治癒の魔法使えるやつはかけていよう。」
 と指示を出す。わたしは不安で心臓がドクドクした。こんなに顔色悪くて、先生たちが来るまで大丈夫なの?ずっと心臓が暴れ回っていて、身体が熱くなってきた。気付くとノロノロと手を動かしてレイくんの手を握っていた。
「お願い。」
 わたしが小さく呟いた途端、レイくんの身体と近くにいた、意識を失っているクラスメイトの身体が白い光に包まれた。
「この力は…。」
 レイくんの呟くような声が聞こえて、わたしはそちらに顔を向ける。レイくんはハッとした後、わたしを安心させるように笑顔を見せた。
「ありがとう。もう苦しくない。」
 この言葉が耳に入ってきたのを最後に、視界が暗くなっていき、わたしは意識を手放した。
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