田舎者の俺が貴族になるまで

satomi

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第1話 ビュータス、お茶会に行く

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ある日、公爵家長女ビュータスがお茶会に行った。

「弟さんが長期の別荘滞在から帰ってきたそうじゃない?」
「ええまぁ…」
「ビュータス様の弟君ならさぞかし麗しいのでしょうね」
「(見た目だけなら)…」
「今度お茶会に参加してもらえないかしら?」
「クレブスはまだ王都のマナーをキチンとできないから社交はさせていないのよ」
「まぁ残念。麗しい弟君を拝見したかったわ」
「私も」

等の話を多く聞かされた。
当のビュータスは
「お茶が美味しい」
「このお菓子はどこのお菓子ですの?」
などと話していた。弟の話はしたくなかった。

(普段はどこそこの令息が麗しいだの、どこそこの令嬢がどうしただのとくだらない噂話ばかりなのになんなのよ!こんな時に限って私はそんな噂話知らないし)

「あら、伝統ある公爵家の令息だというのにマナーもできていないの?本当に公爵家の令息なのかしら?」
(出たな。侯爵令嬢ローゼ。なんか知らないけど、うちに対抗意識持ってるのよね)
「うちの弟なら長期で別荘に滞在していましたけど、マナーもしっかり出来ていましてよ!ホホホ」
(正直、羨ましい…。まさか、ああなるとは)
「長期ってどのくらいかしら?うちのクレブスは4才の頃からずっと別荘にいました。母が病気がちでしたので…」
(伏し目がちで言ってみたけど、効果あるかな?)
「「まぁ」」
そこらの令嬢は言う。
(効果アリ!単純なんだから)
「あら?ローゼ様の弟君は?」
(学園の夏休み程度とかは言えないわよねぇ?)
「アラ、すみません。ワタクシ、用事を思い出したので失礼しますわ!」
そそくさとローゼ嬢はお茶会を後にした。
(この勝負は私の勝ちね、ホホホ。クレブスみたいに長期王都を離れてる子なんてそうそういないわよ)

そしてお茶会はいつもの噂話に花を咲かせることとなった。
噂話の中心にローゼ嬢がいたので、なかなか言えなかったのだ。
(へぇ、あのローゼ嬢がねぇ。このままいけば、いい家柄の坊ちゃんと結婚って事でしょうけど、まさかのローゼ嬢を護衛している騎士様と恋仲とは…。いずれ引き裂かれる恋だとわかっているんでしょうねぇ。切ない話だわ)
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