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Ep.5
しおりを挟むところで、ミラさんの出産にも立ち会ったし、種族間のハーフも見た。確かに美丈夫に育ちそうだなぁ。
魔王様討伐が私達パーティーの任務のはず。
討伐する気はさらさらないけど、お会いするくらいはしてみたい。
この美しい世界をどうやって維持管理しているんだろう?
「ミラさん!私達もこの世界で暮らすことにしたんですけど、王様に挨拶をしたくって…。でも伝手とかないから、一応ミラさんに……」
ミラさんの腕には先日誕生したばかりの男の子がしっかりと抱かれている。
産まれたのって先日だよね?もう1歳児くらいまで成長してない?
「ああ、それならあの王は突然の訪問も気にしないわよ~。そんなに狭量じゃないわ」
‘人間界’の王は平民だったら全然相手にしないし、アポなしだったら余程のことじゃないと会ってはくれないだろうなぁ。狭量だったのか…。能力あるなら公務なんかさっさと片づけることができただろうからなぁ。
そんなわけで、私達は王様(魔王)にあった。
まず、女性であったことに驚いた。
次に、その格好に驚いた。鞭を持たせれば『女王様とお呼び!』の完成。
玉座に座っていて、宰相(?)にテキパキと指示を出しているけど…。
「ミラの紹介?ミラは元気?突然結婚するので侍女を辞めます。って時は驚いたんだよね。ミラは有能な侍女でね?1を言えば10の仕事をするみたいな。それが、まさかのヒトとの結婚。あ、こないだ出産したって?性別は知ってる?さぞかし可愛い子だろうなぁ」
マシンガントーク…。ちょっと聞き洩らしたとこもあるけど多分大丈夫。
‘人間界’での噂とはうらはらに人情味溢れる良いトップだと思う。
私が代表して全部応えた。
ロベルトは泣きそうだし(SMプレイでも想像してるのか?)、ブラッドは流石にへっぴり腰を発揮している……。
「ミラさんは元気ですよ。ミラさんの結婚相手は‘人間界’からやって来た‘勇者’です。今は一応そこの涙目なのが勇者なので、ミラさんの旦那様は元・勇者という事になりますね。ミラさんの出産に私は立ち会いましたよ。途中、赤子の角が産道で引っかかってしまうというアクシデントもありましたが、元気な男の子ですよ。ここに来る前にも会いましたが、スクスクと育って将来的には美丈夫になるでしょうね」
「へぇ、そいつはよかった。」
「実は我々もこの世界に送り込まれたパーティーなのですが、しばらく滞在するうちに、‘人間界’ではなくこの世界で暮らすことにしました!よろしくお願いします!あの、不躾な質問だったら申し訳ありません!この世界はなぜこんなに美しいのでしょうか?維持管理はどのように?」
「この世界で暮らすのは構わないぞ。この世界はなぜ美しいのか?という質問か?美しいからだ。そうだなぁ。ちょっと汚れてるとしよう。ちょっとした汚れは気にしないのだ。そうすると、徐々に『このくらいいいか』という堕落した心で汚れは広がる。しかし、とてもきれいな場合だと、汚すことすらも憚られる」
なるほど。この世界は美しいから、誰一人として汚そうとはしない。しかしながら、‘人間界’はちょっとした汚れをきっかけにどんどんと汚れは広がったというわけかぁ。
「‘人間界’の王に貴女は‘魔王’と言われていますよ?でも、この美しい世界で数日暮らしただけで、本当の魔王は‘人間界’の王のことじゃないかなぁ?と思い始めました」
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