イジメられっ子世に憚る。

satomi

文字の大きさ
3 / 6

第3話

しおりを挟む

「ここらで外界に出てみようと思うんだ」
「どうやって?俺の尻か?」
 それは嫌だ。
「できれば口から出たい……」
「ま、そうだよなぁ。俺だって、糞まみれはイヤだなぁ」
 たいていそうだろう。そもそも、龍己の大腸とか長そう。ちょっとしたダンジョンのような……。
「ボロボロになってはいるけど、剣があるし、龍己が寝てる間に出れないかな~とか思ってる」
「普段は胃酸の逆流を防ぐ奴が門のところにいるはずだけど……正己なら楽勝か。胃酸と共に口から出る事のないことを祈ってるよ」
 恐ろしいことを祈られた。


 その日の夜(だと思う)、龍己が寝たのを見計らって俺は外界に出ようと、龍己から聞いていた門のところにやって来た。
「胃酸でもないのに、この門を通りたいと?主の許可は取っているんだろうな?」
「証明は出来ないけど取ってる。この先の食道を通って、口から外界へと出るつもりだ。俺のレベルも-37になったしな」
「はぁ?マイナスぅ?そんな人間初めて見た」
「まぁ、この胃の中でずっと訓練してたからな。そういうわけで、この門を通っていいか?」
「本来なら、戦闘したいところだが、レベルがマイナスの人間と戦う趣味はない。絶対に負けるからな。俺のレベルは2だ」
 それでもかなり高いと思うけど、マイナスに比べたらなぁ。
 それからというもの、俺は長い道のりとなった食道を通り、口から出た。
 龍己……口臭酷いなぁ。歯磨きを教えよう。このままじゃ自慢の牙もダメになっちまう。
 俺は龍己の傍らで(臭いけど)、一夜を明かした。


「龍己、おはよう。改めて初めまして。俺は須藤正己。レベルはえーとマイナス37」
「本当に小童だなぁ。なんだ?いい匂い」
「龍己には足りないだろうけど、朝起きてすぐはこういうので胃を起こすのが体にいいんだよ?」
「ほう、正己は博識だな」
 陰キャでオタクなんです。
 龍己の鱗が朝日を浴びてキラキラしてる……汗?
「龍己……シャワー、は無いなぁ。水浴びした方がいいよ」
「そ、そうか?」
 龍己が水浴びをしてる間にステータスでも見ようかな。
「浴びてきたぞ!」
 …早いよ。早風呂とかあるけど、その仲間?
「さあ、これを食べて」
 鍋を一気飲み。え?まさかの鍋ごと?
「少ない……」
 そうでしょうとも。朝食とは違うからね。

「あ、そうだ。悲しいお知らせ。龍己、口臭が物凄いよ。これじゃあつがいに嫌われちゃうよ。毎度歯を磨かないと!自慢のその牙だって、抜け落ちちゃうかもしれないよ~」
「それは恐ろしい。それはどこ知識?」
「異世界に来る前の世界の常識みたいな感じかな?」
「常識なのか?そいつは大変だ。仲間が近寄らなかったのは、口臭が原因なのか!」
 え~!既に前科あり?番とかヤバくない?

 さて、ステータス。
 俺のレベルは-48。うわ、上がってるし。外界に出たってあるのかな?その他のステータスは…と。体力:計測不可能。 知力:計測不可能  敏捷性:計測不可能  etc.
 全部計測不可能。どういうこと?


 『外界でのデータがないので計測が出来ないとのことです』


 俺はてっきり阿呆認定されたか、もしくは、最強になったのかと思った。
「いや、俺の胃から出てきたんだから最強だろう?」
 そうなのか?
「今まで出てきた奴いないし」
 出ようとしたやつがいなかったんじゃ…?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

続・ツクヨミセキュリティ

satomi
ファンタジー
前作『ツクヨミセキュリティ』の続きです。何十年後かのツクヨミセキュリティです。 メンバーは皆様長命種なので、あまり変化ありません。ヒトが亡くなってしまったのでまずはその分の補強からですか? ツクヨミセキュリティは多種族時代の警備会社です。 それよりも…前作の社長、最上朔夜さん(?才)が根性で霊魂を残していることがミラクルです。 そんなこんなで話は進みます。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

豚公子の逆襲蘇生

ヤネコ
ファンタジー
肥満体の公爵令息ポルコは婚約者の裏切りを目撃し、憤死で生涯を終えるはずだった。だが、憤怒の中に燃え尽きたはずのポルコの魂は、社内政争に敗れ命を落とした男武藤の魂と混じり合う。 アニメ化も決定した超人気ロマンスファンタジー『婚約者の豚公子に虐げられていましたが隣国皇子様から溺愛されています』を舞台に、『舞台装置』と『負け犬』落伍者達の魂は、徹底した自己管理と泥塗れの知略で再点火する。 ※主人公の『原作知識』は断片的(広告バナーで見た一部分のみ)なものとなります。 己の努力と知略を武器に戦う、ハーレム・チート・聖人化無しの復讐ファンタジーです。 準備を重ねて牙を剥く、じっくり型主人公をお楽しみください。 【お知らせ】 第8話「復讐はロゴマークに寄せて」は2026/02/11 08:00公開予定です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...