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4.王城での二人の暮らし
しおりを挟むエリーは平民ながらも皇后付きの侍女となった。
「皇后さま、私のような平民がお側で仕えることになってご不満はないのですか?」
「アラ?私はそのような貴族とか平民とか些末なことで不満を持つような狭量な人間じゃないわよ?」
皇后さまは、いい方だ。平民の暮らしに興味があるようで、私によく質問をされる。
「世の中には‘市場’という食べ物が集まる場所があるって聞いたけど、本当なの?」
「皇后さま、そのような下賤なことに興味を持たれるのは王族として威厳が……」
と言うのは、結構古株の皇后さまのお付きの侍女メアリー。身分制度に煩い。正直に言うと、私と彼女は嫌い合っている。
「市場ですか?食べ物が集まるではなく、『食べ物の調理前の状態の物』が集まる場所ですね」
「それは面白そうですね」
「皇后さまはお美しいですから、お忍びでいけば市場のオジサンが色々サービスでくれます。買わなくても、くれるんです。美人て得ですよね?」
「まぁ、おホホホ」
古株の侍女、メアリーから睨まれながらも、お話をする。
「メアリーは貴族だし、そういうところに行ったことはないんでしょう?」
「ええまぁ。市場は下々のものが行く場所と決めてかかってましたから」
「まぁメアリー身分制度はその下々のものが頑張ってくれているから成り立っているのですよ?私達上のものが下に興味を持っても自然なことでしょう?」
あの、皇后さま…正論なんですが、あまりメアリー様を焚きつけると私が睨まれるので、できればおやめいただきたい。
~その頃のアビー
暇だわ。あの家から本を持ってきたもののほぼ読み終えちゃった。車いすwith眼鏡で王城をウロウロしてもいいのかしら?
アビーは部屋から脱出して、王立図書館(王城内にある)へと行こうとした。
そもそもどこにあるのかしら?一番最初にあった人に聞いてみよう。
アビーは車いすをこぎながら思った。「腕が疲れる」
「あ、あの…王城内の図書館ってどこにあるのかご存じですか?」
「貴女が進んでいた方向とは逆方向ですよ。地下にあります。階段を降りなければならないので、私が車いすを押しますよ」
いい人だなぁ。―――って階段?私を抱っこして降りるということ?やだ、恥ずかしい!
案内をしてくれた人には従者がいるようで、その人は車いすを持って(重いだろうに)階段を下りるようです。
うわーっ、恥ずかしい!
私は終始俯いて図書館まで車いすを押してもらっていた。
「読みたい本を3・4冊選んで戻りましょう」
私は、女性が目を通すことはあまりない、戦術に関する本と経済に関する本を3・4冊選び借りて戻ることにした。
今度は階段を抱っこされて上るの~?けっこうな拷問なんだけど。
「よく本を読むレディ。部屋はどちらですか?」
「えーと、今更ですが私は皇后さまの付き侍女エリーの姉のイリスと申します。車いすでの身体ということで妹と共に暮らさせていただいております。部屋はエリーの部屋なのですが?」
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