4 / 8
4.王城での二人の暮らし
しおりを挟むエリーは平民ながらも皇后付きの侍女となった。
「皇后さま、私のような平民がお側で仕えることになってご不満はないのですか?」
「アラ?私はそのような貴族とか平民とか些末なことで不満を持つような狭量な人間じゃないわよ?」
皇后さまは、いい方だ。平民の暮らしに興味があるようで、私によく質問をされる。
「世の中には‘市場’という食べ物が集まる場所があるって聞いたけど、本当なの?」
「皇后さま、そのような下賤なことに興味を持たれるのは王族として威厳が……」
と言うのは、結構古株の皇后さまのお付きの侍女メアリー。身分制度に煩い。正直に言うと、私と彼女は嫌い合っている。
「市場ですか?食べ物が集まるではなく、『食べ物の調理前の状態の物』が集まる場所ですね」
「それは面白そうですね」
「皇后さまはお美しいですから、お忍びでいけば市場のオジサンが色々サービスでくれます。買わなくても、くれるんです。美人て得ですよね?」
「まぁ、おホホホ」
古株の侍女、メアリーから睨まれながらも、お話をする。
「メアリーは貴族だし、そういうところに行ったことはないんでしょう?」
「ええまぁ。市場は下々のものが行く場所と決めてかかってましたから」
「まぁメアリー身分制度はその下々のものが頑張ってくれているから成り立っているのですよ?私達上のものが下に興味を持っても自然なことでしょう?」
あの、皇后さま…正論なんですが、あまりメアリー様を焚きつけると私が睨まれるので、できればおやめいただきたい。
~その頃のアビー
暇だわ。あの家から本を持ってきたもののほぼ読み終えちゃった。車いすwith眼鏡で王城をウロウロしてもいいのかしら?
アビーは部屋から脱出して、王立図書館(王城内にある)へと行こうとした。
そもそもどこにあるのかしら?一番最初にあった人に聞いてみよう。
アビーは車いすをこぎながら思った。「腕が疲れる」
「あ、あの…王城内の図書館ってどこにあるのかご存じですか?」
「貴女が進んでいた方向とは逆方向ですよ。地下にあります。階段を降りなければならないので、私が車いすを押しますよ」
いい人だなぁ。―――って階段?私を抱っこして降りるということ?やだ、恥ずかしい!
案内をしてくれた人には従者がいるようで、その人は車いすを持って(重いだろうに)階段を下りるようです。
うわーっ、恥ずかしい!
私は終始俯いて図書館まで車いすを押してもらっていた。
「読みたい本を3・4冊選んで戻りましょう」
私は、女性が目を通すことはあまりない、戦術に関する本と経済に関する本を3・4冊選び借りて戻ることにした。
今度は階段を抱っこされて上るの~?けっこうな拷問なんだけど。
「よく本を読むレディ。部屋はどちらですか?」
「えーと、今更ですが私は皇后さまの付き侍女エリーの姉のイリスと申します。車いすでの身体ということで妹と共に暮らさせていただいております。部屋はエリーの部屋なのですが?」
678
あなたにおすすめの小説
顔がタイプじゃないからと、結婚を引き延ばされた本当の理由
翠月るるな
恋愛
「顔が……好みじゃないんだ!!」
婚約して早一年が経とうとしている。いい加減、周りからの期待もあって結婚式はいつにするのかと聞いたら、この回答。
セシリアは唖然としてしまう。
トドメのように彼は続けた。
「結婚はもう少し考えさせてくれないかな? ほら、まだ他の選択肢が出てくるかもしれないし」
この上なく失礼なその言葉に彼女はその場から身を翻し、駆け出した。
そのまま婚約解消になるものと覚悟し、新しい相手を探すために舞踏会に行くことに。
しかし、そこでの出会いから思いもよらない方向へ進み────。
顔が気に入らないのに、無為に結婚を引き延ばした本当の理由を知ることになる。
将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!
翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。
侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。
そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。
私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。
この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。
それでは次の結婚は望めない。
その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。
いなくなれと言った本当に私がいなくなって今どんなお気持ちですか、元旦那様?
睡蓮
恋愛
「お前を捨てたところで、お前よりも上の女性と僕はいつでも婚約できる」そう豪語するカサルはその自信のままにセレスティンとの婚約関係を破棄し、彼女に対する当てつけのように位の高い貴族令嬢との婚約を狙いにかかる。…しかし、その行動はかえってカサルの存在価値を大きく落とし、セレスティンから鼻で笑われる結末に向かっていくこととなるのだった…。
婚約破棄を「奪った側」から見たならば ~王子、あなたの代わりはいくらでもいます~
フーラー
恋愛
王子が「真実の愛」を見つけて婚約破棄をする物語を「奪ったヒロイン側」の視点で『チート相手に勝利する』恋愛譚。
舞台は中世風ファンタジー。
転生者である貴族の娘『アイ』は、前世から持ち込んだ医療や衛生の知識を活かして、世界一の天才研究家として名を馳せていた。
だが、婚約者の王子ソームはそれを快く思っていなかった。
彼女のその活躍こそ目覚ましかったが、彼が求めていたのは『優秀な妻』ではなく、自分と時間を共有してくれる『対等なパートナー』だったからだ。
だが、それを周りに行っても「彼女の才能に嫉妬している」と嘲笑されることがわかっていたため、口に出せなかった。
一方のアイも、もともと前世では『本当の意味でのコミュ障』だった上に、転生して初めてチヤホヤされる喜びを知った状態では、王子にかまける余裕も、彼の内面に目を向ける意識もなかった。
そんなときに王子は、宮廷道化師のハーツに相談する。
「私にアイ様のような才能はないですが、王子と同じ時間は過ごすことは出来ます」
そういった彼女は、その王子をバカにしながらも、彼と一緒に人生を歩く道を模索する。
それによって、王子の心は揺れ動いていくことになる。
小説家になろう・カクヨムでも掲載されています!
※本作を執筆するにあたりAIを補助的に利用しています
あなたは愛を誓えますか?
縁 遊
恋愛
婚約者と結婚する未来を疑ったことなんて今まで無かった。
だけど、結婚式当日まで私と会話しようとしない婚約者に神様の前で愛は誓えないと思ってしまったのです。
皆さんはこんな感じでも結婚されているんでしょうか?
でも、実は婚約者にも愛を囁けない理由があったのです。
これはすれ違い愛の物語です。
「最初から期待してないからいいんです」家族から見放された少女、後に家族から助けを求められるも戦勝国の王弟殿下へ嫁入りしているので拒否る。
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられた少女が幸せなるお話。
主人公は聖女に嵌められた。結果、家族からも見捨てられた。独りぼっちになった彼女は、敵国の王弟に拾われて妻となった。
小説家になろう様でも投稿しています。
君に愛は囁けない
しーしび
恋愛
姉が亡くなり、かつて姉の婚約者だったジルベールと婚約したセシル。
彼は社交界で引く手数多の美しい青年で、令嬢たちはこぞって彼に夢中。
愛らしいと噂の公爵令嬢だって彼への好意を隠そうとはしない。
けれど、彼はセシルに愛を囁く事はない。
セシルも彼に愛を囁けない。
だから、セシルは決めた。
*****
※ゆるゆる設定
※誤字脱字を何故か見つけられない病なので、ご容赦ください。努力はします。
※日本語の勘違いもよくあります。方言もよく分かっていない田舎っぺです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる