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5.バリアフリーって言葉はないよね?
しおりを挟む「失礼。侍女殿の部屋を存じていないので、困ったなぁ」
「恐れながら、イリス殿をエリー殿の元へ連れて行っては?」
「それしか方法がないか。それでいいか?」
いや、それしか方法ないんでしょー!!
「あ、申し遅れました。私はこのアレーダ王国王太子をしているブラッドフォードと申します。今から貴女を母う…皇后さまのところへと案内しますね」
へぇ、いい人だったんだ。私が嫁ぐ予定の人。後でエリーにも話そう。
また階段―!!
皇后陛下がお歳を召した時にお辛くなるから、階段の無い方がいいと思うな。
じゃないっ、すごい恥ずかしいんですけどっ?
「皇后さまはいらっしゃるか?王太子が来たとお取次ぎを頼む」
こういうやりとり懐かしいなぁ。
「エリー様のお部屋まで車いすを押していこうかと思ったけど、イリス嬢を含め誰もエリー嬢の部屋がわからなかったので連れてきた次第です」
皇后さまがニヤニヤとしている。こういう時は何かいいことがあった時!なんだろう?
「エリー、一度イリス嬢を部屋まで連れて行きなさい。ブラッドフォードは階段あるしエリー嬢の案内に従いなさい」
イリスは無事に部屋に戻る事が出来た。
私は見たわよ。王太子殿下に抱っこされてるアビーを。
「エリー、皇后さまのお部屋なんだけど、今はまだいいわよ?もっとお歳を召したら階段はお辛くなるわ。階段を使わなくてもいいお部屋の方がいいんじゃないかと思ったの」
「そうね、皇后さまに言ってみる。あそこに古参の侍女もいて、私が目の敵にされてるのよ。だから話が通るかどうかはわからないけど、言ってみる」
エリーは再び皇后さまの方へ戻っていった。通りすがりにメアリーが小さな声で「ずっと帰ってこなくてよかったのに」と言ったことは無視しておこう。
「エリーはなかなか面白い方をお姉さんにしているみたいね」
皇后さまにはバレているんだろうか?―――読めない。
「あ、その面白い姉から提案です。『皇后さまは今はいいですけど、もっとお歳を召したら階段を使うような部屋はお辛くなるのでは?階段を使わなくてもいいお部屋の方がいいのではないでしょうか?』ということです」
「まあ、皇后さまが階段も使えなくなると?そんな戯言を言っているのですか?くだらないっ」
メアリーは正常な反応だなぁ。
「そうねぇ、車いすを使ってる彼女が言うんだもの一理あるわ」
「皇后さまっ‼」
なんで、メアリーが焦るの?
「階段をずっと使えるように足腰を鍛える必要はあるけど、それだって限界ってものがあるわ。陛下にも話してみようかしら?」
アビーは抱っこが恥ずかしかったんだろうなぁ。
仕事を終え、私はアビーが待つ(多分)部屋に戻った。
「ただいまぁ~。うふふ、アビー。見ず知らずの婚約者を見る事が出来て良かったわね。彼が王太子?イケメンで気遣いが出来るいい人じゃない。皇后さまは気づいたのかな?なんか不敵に笑っていたわ」
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