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4.歓喜と後悔の王太子
しおりを挟む「これは…予想以上だよ、ロロ嬢。君の父君の身分だが、庭師見習いではあるがなんと侯爵だ。ロワール侯爵だ。んー、なんていうか私がロール王国から彼を引きぬいたみたいな形になっている」
「それって、両国間には問題が発生したりしませんか?」
「大丈夫だよ」
そう言いながら、私の髪を一房持ち上げて口づけする。
王太子様ですから、絵になりますねぇ。
あ、私の髪なのか。慣れてないから、他人の髪かと…。
「王太子殿下に申し上げます。ロロ嬢は髪の色の変化が顕著ですが、元が素晴らしく磨けば磨くだけどんどん美女になっていき、非常にやりがいがありました」
あー、痩身?マッサージ?気持ちいいのか、痛いのかよくわかんなかった。
「今では誰もが二度見するような美女に!」
ほえ?私は全身を鏡で見てないからなぁ?よくわからない。
「うんうん。私が予想した通りだよ。彼女が私の予想以上になったのは驚いたが」
私が驚いたのはお父様の反応だ。
「本当にロロなのか?ああ、お前の母親にそっくりだ。遺影を持って来て良かった。見て見ろ。そっくりだろ?」
すいません、自分じゃわかりません。
「うむ。ロロ嬢は母君に似ているのだな」
「私に似なくて良かった。というよりも、あいつに似て生まれてくれたことに神に感謝です」
そこまで言う?
***********
私の容姿が大変身をし、『地味子』が絶世の美女になったとロール王国にまで噂になった。
「嘘でしょ?どうやったら『地味子』が美女になるのよ!」
と多くの令嬢は憤ったが、アラン王太子だけは内心「捨てた魚が大きく育った」とロロに謁見するようにとの書状を送った。
「オーディン様、今更ロール王国のアラン王太子からこのような書状が届いたのですが……思う所は正直迷惑です。ですが、相手は王家であり無下にはできません。どうしたらよいのでしょうか?」
「ロロ嬢に覚悟はあるのか?」
「どのような覚悟でしょうか?」
「美女となり、王宮で生活をしている今、私の婚約者としてアラン王太子と会うという覚悟だ」
いつの間にオーディン様の婚約者になったのでしょう?
「いつ私はオーディン様の婚約者になったのでしょうか?」
「そうだなぁ?この国に共にきた時かな?」
そんな前?
「その時は『地味子』だったと思いますが?」
「私は必ずや『地味子』ではなくなると確信していたからな。それと、外見で人を慕うようになるほど落ちぶれてはいない!」
私のどこがいいんだろう?
************
謁見して驚いた。同一人物だろうか?と思う。
まず、髪の色が違う。
「我が王宮に仕える侍女が彼女を磨き上げこのようになったわけだが、彼女を見て満足か?」
「っ…。まぁ、待てオーディン王太子」
「彼女は私の婚約者だ。私は独占欲が強いようだ。他の男の目に彼女を映しておきたくない」
なかなか言いますね。
「それに…アラン王太子は彼女に国外追放を言い渡した張本人ではありませんか?そのような人が彼女に用とは真に異なこと。私と彼女は大人しく国外追放されますよ。確か、「お前の顔など見たくない」とか仰られたのでは?見たくない顔が側にいるのは不愉快でしょう?私達は去りますよ。それでは、失礼しますね?永遠にさようなら」
「くっ!」
こうして、私はロール王国と完全に決別しました。
正直なところ、ロール王国は今の会話を理由に戦争をジル王国ふっかけてもいいくらいなのですが、なにぶん国力に大きな差が……。
例えるならば、ロール王国はジル王国の小指の爪くらいの領土に国力しかないので、何をしても無駄なのです。
ジル王国の方が文化など栄えていましたからね。
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