世間知らずの魔塔主は優しい娼婦を溺愛する

今泉香耶

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7-3.二度目の夜(3)

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 ベッドの上で、バネッサの体に触れるコンラートの手。それを彼女はじっと見る。ああ、そうだ。彼の骨ばった手の甲、少しだけ平たくなっている指先、それがなんだか好きなのだ。バネッサはそう思いながら、彼の手を視線で追った。

「あっ……」

「バネッサ。少し足を開いて」

「ん」

 少しだけ足を開く。すると、しっとりとした太ももの内側を、軽くとんとんと指先で叩かれた。それが「もっと開いて」の合図だとわかり、更に少しだけ開けばコンラートは微笑む。

「可愛い。あなたがそうやってわたしに体すべてを見せてくれているんだと思うと、興奮する」

 見上げれば、彼は前髪をかき上げ、赤い瞳でじっと自分を見ている。目が合わない。彼は、自分の体を見ているのだ。そう思ったら、バネッサは「あ……」と鼻にかかった吐息を漏らす。

 彼の指がへその上あたりに置かれ、そこからすうっと上へと滑っていく。横になっているため乳房は少し外側に流れており、平坦な谷間をなぞって、喉、あご、そして唇に彼の指が触れる。

「んっ、あん……んっ……」

 下唇にあてられた彼の指先を口に含み、バネッサは舌を絡ませた。十分に湿らせた指を彼女の口から抜くと、コンラートはその指で彼女の乳首に触れた。

「ふあっ……あっ、あ……」

 甘い声で喘ぎながら、バネッサは眉をひそめてコンラートを見る。すると、今度は彼の視線と自分の視線が絡んだ。

「なぁに……あっ、やぁん……胸っ……気持ちいぃ……ね、もう片方も……気持ちよくして?」

「そうですよね。あなた、もう片方の方が気持ちいいもんね?」

「!」

 少し意地悪な表情でそう言われ、バネッサは恥ずかしそうに目を逸らす。

「どうして……? なんでわかるの?」

「見ていればわかります。この前から知ってた。バネッサ、どうしたの。期待したのかな……触ってない方も固くなってきたようですけど……」

「や、だ」

 バネッサは弱弱しく彼の体を両手で押した。もちろん、本当に引きはがしたいわけではない。それをコンラートもわかっていて「あはは」と笑う。

「ごめん。可愛いから、意地が悪いことを言いたくなった。お詫びに、口でしてあげる」

 そう言って、もう片方の乳房に顔を近づけるコンラート。バネッサはそんな彼に手を伸ばして、銀髪に手を絡める。

「待って」

「何?」

「その前に、もう一度キスして……」

「……いいですよ」

 コンラートは手を止め、ベッドの上で広がる彼女の茶髪を撫でた。それから、彼女の顔にかかっている髪もどけると、彼女の指に優しく指を絡めた。

「なぁに……誰かに教わったの……? 指を絡めて、キスするなんて……」

「いいえ? ただ、そうしたくなっただけです」

 そう言いながら、彼の体が覆い被さってくる。整った顔が近づいて来て、バネッサは軽く唇を半開きにして瞳を閉じた。彼の裸の胸板が、自分の乳房を軽く押し、しっとりとくっついた。

(あ……心臓の音が、伝わる……)

 とくん、とくん、と少しだけ早いコンラートの鼓動。自分の鼓動も彼に伝わっているのだろうか……そう思うと同時に、彼の唇がバネッサの唇をふさいだ。



「はぁ~~! めっちゃ良かったなぁ~~~! やっぱりあなただ!」

 二時間後。砕けた口調でコンラートはにこにこと満面の笑みを浮かべる。バネッサは、想像以上に体力を奪われたようで、ぐったりとベッドの上に横たわっている。その横に座って、コンラートは彼女の顔を覗き込んだ。

「ああ、すみません。疲れさせてしまいましたね」

「ごめんなさい……その、この前も思ったんだけど、あなた……思ったより体力があるのね……」

「そうなんです。実は。あのですね。魔法使いっていうのは、本当は体力筋力がいるんです」

「ええ?」

 そんなことは聞いたことがない、と驚きの声をあげるバネッサ。

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