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7-2.二度目の夜(2)
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ノーヴェルの館と言えば、公営の娼館の中でも最も上流階級向けのものだ。バネッサがいるこの娼館も公営ではあるが、格が一つ落ちる。勿論、私営娼館に比べれば余程待遇が良いものの、辞めたい時に簡単に辞められるわけではない。だが、ノーヴェルの館は、辞めたい時に辞めて良い自由が完全に娼婦にあるし、娼婦の人数も十人と少ない。そして、そこの一番手と言えば、もう二か月先の予約までびっしり埋まっている高級娼婦の中の高級娼婦。
そんな彼女でも「三大勢力」のうちの一つ、魔塔の主からのご用命ならば、それは当然乗り気になるはずだ。たとえ、予約が入っていてもこじ開けるだろう。そうして、きっと彼に抱かれに、あるいは彼を抱きに行ったのだろうが……。
「でも、どうもやる気が出ないままで。あなたとはすぐに出来たのに、一体どういうことなんでしょうね? あなたはわたしに魅了の魔法でもかけたんですか? わたしはあなたとしかそういうことが出来ない体になったんでしょうか」
そんなことはない、と言おうとして、バネッサは喉の奥が詰まる。何故なら、その言葉が素直に嬉しかったからだ。勿論、自分がノーヴェルの一番手よりも技術があるとか、接客が良いなんてこれっぽっちも思っていない。けれど、コンラートにそう言われただけで、なんだか胸の奥がじんわりと熱くなって、泣きたい気持ちになる。
(ああ、でも、駄目よ。それはきっと、彼の勘違いだわ)
嬉しい。けれど、きっと本当はそうではないのだろう……そう思って、バネッサは「ううん」と首を軽く横に振った。
「その、ね、あなたは初めてだったし、あなたの体もね、怪我をしていてちょっと普段と違ったようだし、そういうことが色々重なって、あなたの中で特別な一晩になっただけじゃないかしら」
「そんなことはないですよ」
「でも」
「あなたは、わたしが嘘を言っていると?」
「そういうことじゃないわ」
そう言って苦笑いを浮かべて軽く首を横に振るバネッサ。
「だって、ノーヴェルの高級娼婦の一番手でしょう。きっと、綺麗で、良い匂いがして、体も滑らかで美しくて……わたしなんかと比べることが間違っているほどの女性だったでしょう? それでも出来なかったなんて、きっと体調がすぐれていなかったのよ」
「ええ、確かに綺麗でした。本当に。今までわたしが見たことがある女性の中で一番だったかもしれません。いい匂いもして。でも、出来なかったし、あなたと出会ったあの夜ほど体調が悪かったはずもないんですよ」
そう言うと、コンラートは覗き込むバネッサの髪に指を絡めた。頭を少しあげて、指先で髪を軽く引けば、バネッサは仕方なく彼の唇にキスを落とす。すると、キスをしながらコンラートは体を起こし、カウチで二人は抱き合いながら何度も唇を重ねた。
「だから、今日は……ん……あなたとなら、やっぱり出来るのか……」
「んっ、ん……ん……ふあ……んっ……」
「確かめたくて。だから今日も……たくさん、わたしを楽しませて……?」
バネッサは返事をしなかったが、両腕をコンラートの首に絡ませ、唇を深く重ねる。布越しではあったが、豊満な乳房を彼の胸板に押し付け、足も彼の足の間にそっと絡めた。
「ねぇ、コンラート……ベッド、行く?」
「まだ。まだもっと……キスをもう一度しながら……」
「ん……」
コンラートに言われるがまま、もう一度彼にキスをするバネッサ。すると、彼の手はバネッサの服をあっさりと脱がせてしまう。唇を離そうとすれば、彼の唇が追いかけて来て、再びキス。そうこうしているうちに、バネッサだけが服を脱がされ、下着姿になった。
(もう、答えが出ちゃっているじゃない……ここまで脱がせて、出来ないなんてきっと言わないでしょ……?)
そう思ったが、言葉にすることは怖かった。するりと衣類が足元に落ちれば、花柄のコルセットの上に、豊満な乳房がそのまま現れる。コンラートは、乳房の上部に顔を埋めて呟いた。
「これは、コルセットというんでしょうか? 可愛いですね。花柄で……」
「気に入ってもらえた?」
「とても」
彼はしばらくバネッサの乳房に顔を埋めていたが、やがて顔を上げて
「どうしよう。とても、興奮しています」
と苦々しく笑う。その彼の表情は、バネッサの心を揺らす。どこか、可愛らしくも見えるが、瞳の奥には強烈な男を感じさせる。彼女は小さく息を吐いてから、微笑んだ。
「嬉しい。ねぇ、大丈夫よ。本当に。あなたの好きにしていいのよ」
「いいですか? ね、何もしないで。全部わたしがしますから」
そう言って、コンラートはコルセットを緩める。バネッサは恥ずかしそうに頬を赤くして、彼に控えめに囁いた。
「ちょっと、肌に痕がついてしまってるけど……気にしないで?」
「大丈夫ですよ。ねえ、可愛い。本当に可愛い」
何度も「可愛い」と言われ、バネッサはますます頬を赤らめた。やがて、コンラートは彼女を抱きかかえ――実は彼女に一時的に軽量化の魔法をかけたのだがそれを彼女は知らない――ベッドに運ぶ。バネッサは「わたしを抱きかかえられるような筋力はないと思っていたのに」と心の中で驚いたが、声には出さなかった。
そんな彼女でも「三大勢力」のうちの一つ、魔塔の主からのご用命ならば、それは当然乗り気になるはずだ。たとえ、予約が入っていてもこじ開けるだろう。そうして、きっと彼に抱かれに、あるいは彼を抱きに行ったのだろうが……。
「でも、どうもやる気が出ないままで。あなたとはすぐに出来たのに、一体どういうことなんでしょうね? あなたはわたしに魅了の魔法でもかけたんですか? わたしはあなたとしかそういうことが出来ない体になったんでしょうか」
そんなことはない、と言おうとして、バネッサは喉の奥が詰まる。何故なら、その言葉が素直に嬉しかったからだ。勿論、自分がノーヴェルの一番手よりも技術があるとか、接客が良いなんてこれっぽっちも思っていない。けれど、コンラートにそう言われただけで、なんだか胸の奥がじんわりと熱くなって、泣きたい気持ちになる。
(ああ、でも、駄目よ。それはきっと、彼の勘違いだわ)
嬉しい。けれど、きっと本当はそうではないのだろう……そう思って、バネッサは「ううん」と首を軽く横に振った。
「その、ね、あなたは初めてだったし、あなたの体もね、怪我をしていてちょっと普段と違ったようだし、そういうことが色々重なって、あなたの中で特別な一晩になっただけじゃないかしら」
「そんなことはないですよ」
「でも」
「あなたは、わたしが嘘を言っていると?」
「そういうことじゃないわ」
そう言って苦笑いを浮かべて軽く首を横に振るバネッサ。
「だって、ノーヴェルの高級娼婦の一番手でしょう。きっと、綺麗で、良い匂いがして、体も滑らかで美しくて……わたしなんかと比べることが間違っているほどの女性だったでしょう? それでも出来なかったなんて、きっと体調がすぐれていなかったのよ」
「ええ、確かに綺麗でした。本当に。今までわたしが見たことがある女性の中で一番だったかもしれません。いい匂いもして。でも、出来なかったし、あなたと出会ったあの夜ほど体調が悪かったはずもないんですよ」
そう言うと、コンラートは覗き込むバネッサの髪に指を絡めた。頭を少しあげて、指先で髪を軽く引けば、バネッサは仕方なく彼の唇にキスを落とす。すると、キスをしながらコンラートは体を起こし、カウチで二人は抱き合いながら何度も唇を重ねた。
「だから、今日は……ん……あなたとなら、やっぱり出来るのか……」
「んっ、ん……ん……ふあ……んっ……」
「確かめたくて。だから今日も……たくさん、わたしを楽しませて……?」
バネッサは返事をしなかったが、両腕をコンラートの首に絡ませ、唇を深く重ねる。布越しではあったが、豊満な乳房を彼の胸板に押し付け、足も彼の足の間にそっと絡めた。
「ねぇ、コンラート……ベッド、行く?」
「まだ。まだもっと……キスをもう一度しながら……」
「ん……」
コンラートに言われるがまま、もう一度彼にキスをするバネッサ。すると、彼の手はバネッサの服をあっさりと脱がせてしまう。唇を離そうとすれば、彼の唇が追いかけて来て、再びキス。そうこうしているうちに、バネッサだけが服を脱がされ、下着姿になった。
(もう、答えが出ちゃっているじゃない……ここまで脱がせて、出来ないなんてきっと言わないでしょ……?)
そう思ったが、言葉にすることは怖かった。するりと衣類が足元に落ちれば、花柄のコルセットの上に、豊満な乳房がそのまま現れる。コンラートは、乳房の上部に顔を埋めて呟いた。
「これは、コルセットというんでしょうか? 可愛いですね。花柄で……」
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彼はしばらくバネッサの乳房に顔を埋めていたが、やがて顔を上げて
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「嬉しい。ねぇ、大丈夫よ。本当に。あなたの好きにしていいのよ」
「いいですか? ね、何もしないで。全部わたしがしますから」
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「ちょっと、肌に痕がついてしまってるけど……気にしないで?」
「大丈夫ですよ。ねえ、可愛い。本当に可愛い」
何度も「可愛い」と言われ、バネッサはますます頬を赤らめた。やがて、コンラートは彼女を抱きかかえ――実は彼女に一時的に軽量化の魔法をかけたのだがそれを彼女は知らない――ベッドに運ぶ。バネッサは「わたしを抱きかかえられるような筋力はないと思っていたのに」と心の中で驚いたが、声には出さなかった。
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