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15-2.コンラート無双(2)
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「わあ」
コンラートは転移先で間抜けな声をあげる。そこにいた男たちも「どうやってここに!」とわあわあと騒がしくなる。
廃墟の一室に三人の男たち。バネッサと交渉をした時は五人だったが、今は三人だけだ。残りの二人は、バネッサの実家付近で待機をしている。しかし、それをコンラートは知らない。
「なんですか、あなたたち……? あー……そうか。間違ったのか。なんだ。昨日の男のことがあったから、バネッサに手を出そうとしている男なのかと勘違いしちゃった」
ありゃあ、と眉をしかめるコンラート。が、一人の男がコンラートに向かって何か攻撃魔法の詠唱を始めたのを見て「ぼーっとしてる場合じゃないか」とため息をつく。
「はあ、効きませんよ。魔法の障壁作っていますから。なるほど~、あなたたち、異教徒の生き残りですね? まだわたしにちょっかいかけたかったんですか?」
男の魔法で複数の炎が弾丸のようにコンラートに向かって来る。だが、コンラートの目の前五十センチ程度でそれはジュッとまるで水に浸けられたかのように次々に消えていた。もう一人がナイフを持ってコンラートに襲いかかるが、バン、と目に見えない何かに激突をし、脳震盪を起こしたのかその場に崩れ落ちる。
「傷つけようとしましたね? お返ししますよ」
そう言って、コンラートは炎の魔法を唱えた。彼に向けて炎の弾を放った魔法使いに、その倍以上の数の炎を投げつける。どうやら、その男も「魔法の障壁」とやらを作っていたようだったが、コンラートの魔法はおかまいなしに届く。着ている服に火が次々について、男は「うわあああ!」と大きな声をあげた。
「ひいっ、ひっ、消えない、消えっ、ひいっ……!」
「あ、駄目か、殺しちゃ」
思い出したようにそう言って、コンラートは次に水の魔法を唱えた。室内ではあったが、衣類が燃えている男の周辺に水がかかって火が消える。びしゃびしゃになった男は後ずさって壁にぶつかると、転移の魔法陣を指で空中に書いた。
「あれ、そんなことも出来るんだ? 案外色々出来ますね。でも、だーめ」
男の足元に魔法陣の光が浮かび上がる。しかし、コンラートが何かを呟くと、その魔法陣は突然消えてしまう。
「あはっ。よっわい転移魔法だな」
「ひっ……助けてくれ!」
「じゃあ、わたしの問いに答えてくれます? どうしてわたしを狙っているんですか。一体誰と手を組んでいるんですか」
「しっ、知らない、知らない! 我々は上からの指示を仰いで……それ以外何もわからないんだ!」
「上? はぁ~、上がいるのか」
ため息をついて、コンラートはその男に近づいて、頭を手でがしっと掴んだ。途端、男は気を失って倒れる。次に、後ろで腰を抜かしている男の方を振り返るコンラート。
「あ、ああ、あ……」
「ねえ、どうしてわたしをそう執拗に狙うんです? 教えて欲しいんですけど」
「ひぃっ、ひっ……」
「なんだ、卑怯者か。命を狙ってる相手が目の前に現れたら何も言えないなんて。あなた、わたしを殺そうとした自覚はあるんですか?」
自分に何をしようとしていたのか、あまりコンラートはわかっていない。だが、先ほど攻撃をされたということは、殺そうと思っていたのだろう……そういうあっさりとした読みだった。しかし、目の前の男は怯えてきちんと言葉を紡ぐことが出来ない。
「駄目だなぁ~。ねえ、ちゃんと答えて? あなたの脳内をぐしゃぐしゃにしたくなかったら、きちんと教えて」
脳内をぐしゃぐしゃ。その言葉で更に男は怯えて、謝罪の言葉を口にする。助けて、嫌だ、ごめんなさい、もうしません……子供が謝るような言葉を並べ立てられ、コンラートはうんざりした表情を浮かべた。
「話にならないな。ねぇ、バネッサに、監視の術をかけたんでしょう? 人を遠くから見張って、にやにやしていたんじゃないですか。趣味が悪い。人の女の着替えとか覗き見したんですよね? ああ~、腹が立って来た。本当に。全員ブチ殺したいな……」
「ひいっ……! 見てない、見ていない!」
「本当に?」
「見ていない!」
他の言葉を使えなくなったように、男はそれだけを繰り返す。
「そっちの二人も?」
倒れている男二人を指さすコンラート。男は完全に戦意を失って腰を抜かし、こくこくと頷いている。
「いやぁ~、どうも怪しいな……ハーニィ!」
コンラートは大声でハーニィを呼んだ。だが、当然ハーニィが来るはずもない。
「ああ~、そっか、夜中か。まあいいか、後で怒られよう。ハーニィ、来なさい!」
そう叫んで、コンラートは指で何か文字を空中に書く。すると、空中に大きな魔法陣が展開され、ブンッ、と軽く音が鳴った。自分ではない何かを無理矢理転移させるその術は、そう簡単に使える魔法ではない。だが、魔塔にいる数人の高位の魔法使いは、互いにそれで相手を無理矢理呼び出すことが出来る。それは、最終手段で手荒なものだ。
「わああああ!」
その魔法陣から、ハーニィが吐き出された。雑に、彼は床に投げ出され、体を打つ。
「いてててて……なんですか……一体……こんな真夜中に!」
こんなことをするのはコンラートぐらいだ、と彼は顔をあげた。彼はすっかり眠っていたようで、髪は下ろしていたし、服も上下に分かれた同じ布で作られた寝間着を身に纏っている。
「ハーニィ、こいつら三人を尋問しといてください。魔塔に捕らえてね」
「ええ……あなたがおやりになったら?」
「わたしはバネッサを買っているんで……」
「そんな理由ですか!?」
ハーニィは叫んだ。が、コンラートの表情は笑っていない。それを見て、何かを察したようで「わかりました。その代わり、深夜残業の手当てはみっちり貰いますよ」と言い、魔法を唱えた。すると、倒れている二人の男と、腰を抜かしている男を白い光が包み込む。
「はぁ~……明日の朝でいいですかね? ひとまず」
そうハーニィが尋ねたが、既にコンラートの姿はそこにはなかった。
コンラートは転移先で間抜けな声をあげる。そこにいた男たちも「どうやってここに!」とわあわあと騒がしくなる。
廃墟の一室に三人の男たち。バネッサと交渉をした時は五人だったが、今は三人だけだ。残りの二人は、バネッサの実家付近で待機をしている。しかし、それをコンラートは知らない。
「なんですか、あなたたち……? あー……そうか。間違ったのか。なんだ。昨日の男のことがあったから、バネッサに手を出そうとしている男なのかと勘違いしちゃった」
ありゃあ、と眉をしかめるコンラート。が、一人の男がコンラートに向かって何か攻撃魔法の詠唱を始めたのを見て「ぼーっとしてる場合じゃないか」とため息をつく。
「はあ、効きませんよ。魔法の障壁作っていますから。なるほど~、あなたたち、異教徒の生き残りですね? まだわたしにちょっかいかけたかったんですか?」
男の魔法で複数の炎が弾丸のようにコンラートに向かって来る。だが、コンラートの目の前五十センチ程度でそれはジュッとまるで水に浸けられたかのように次々に消えていた。もう一人がナイフを持ってコンラートに襲いかかるが、バン、と目に見えない何かに激突をし、脳震盪を起こしたのかその場に崩れ落ちる。
「傷つけようとしましたね? お返ししますよ」
そう言って、コンラートは炎の魔法を唱えた。彼に向けて炎の弾を放った魔法使いに、その倍以上の数の炎を投げつける。どうやら、その男も「魔法の障壁」とやらを作っていたようだったが、コンラートの魔法はおかまいなしに届く。着ている服に火が次々について、男は「うわあああ!」と大きな声をあげた。
「ひいっ、ひっ、消えない、消えっ、ひいっ……!」
「あ、駄目か、殺しちゃ」
思い出したようにそう言って、コンラートは次に水の魔法を唱えた。室内ではあったが、衣類が燃えている男の周辺に水がかかって火が消える。びしゃびしゃになった男は後ずさって壁にぶつかると、転移の魔法陣を指で空中に書いた。
「あれ、そんなことも出来るんだ? 案外色々出来ますね。でも、だーめ」
男の足元に魔法陣の光が浮かび上がる。しかし、コンラートが何かを呟くと、その魔法陣は突然消えてしまう。
「あはっ。よっわい転移魔法だな」
「ひっ……助けてくれ!」
「じゃあ、わたしの問いに答えてくれます? どうしてわたしを狙っているんですか。一体誰と手を組んでいるんですか」
「しっ、知らない、知らない! 我々は上からの指示を仰いで……それ以外何もわからないんだ!」
「上? はぁ~、上がいるのか」
ため息をついて、コンラートはその男に近づいて、頭を手でがしっと掴んだ。途端、男は気を失って倒れる。次に、後ろで腰を抜かしている男の方を振り返るコンラート。
「あ、ああ、あ……」
「ねえ、どうしてわたしをそう執拗に狙うんです? 教えて欲しいんですけど」
「ひぃっ、ひっ……」
「なんだ、卑怯者か。命を狙ってる相手が目の前に現れたら何も言えないなんて。あなた、わたしを殺そうとした自覚はあるんですか?」
自分に何をしようとしていたのか、あまりコンラートはわかっていない。だが、先ほど攻撃をされたということは、殺そうと思っていたのだろう……そういうあっさりとした読みだった。しかし、目の前の男は怯えてきちんと言葉を紡ぐことが出来ない。
「駄目だなぁ~。ねえ、ちゃんと答えて? あなたの脳内をぐしゃぐしゃにしたくなかったら、きちんと教えて」
脳内をぐしゃぐしゃ。その言葉で更に男は怯えて、謝罪の言葉を口にする。助けて、嫌だ、ごめんなさい、もうしません……子供が謝るような言葉を並べ立てられ、コンラートはうんざりした表情を浮かべた。
「話にならないな。ねぇ、バネッサに、監視の術をかけたんでしょう? 人を遠くから見張って、にやにやしていたんじゃないですか。趣味が悪い。人の女の着替えとか覗き見したんですよね? ああ~、腹が立って来た。本当に。全員ブチ殺したいな……」
「ひいっ……! 見てない、見ていない!」
「本当に?」
「見ていない!」
他の言葉を使えなくなったように、男はそれだけを繰り返す。
「そっちの二人も?」
倒れている男二人を指さすコンラート。男は完全に戦意を失って腰を抜かし、こくこくと頷いている。
「いやぁ~、どうも怪しいな……ハーニィ!」
コンラートは大声でハーニィを呼んだ。だが、当然ハーニィが来るはずもない。
「ああ~、そっか、夜中か。まあいいか、後で怒られよう。ハーニィ、来なさい!」
そう叫んで、コンラートは指で何か文字を空中に書く。すると、空中に大きな魔法陣が展開され、ブンッ、と軽く音が鳴った。自分ではない何かを無理矢理転移させるその術は、そう簡単に使える魔法ではない。だが、魔塔にいる数人の高位の魔法使いは、互いにそれで相手を無理矢理呼び出すことが出来る。それは、最終手段で手荒なものだ。
「わああああ!」
その魔法陣から、ハーニィが吐き出された。雑に、彼は床に投げ出され、体を打つ。
「いてててて……なんですか……一体……こんな真夜中に!」
こんなことをするのはコンラートぐらいだ、と彼は顔をあげた。彼はすっかり眠っていたようで、髪は下ろしていたし、服も上下に分かれた同じ布で作られた寝間着を身に纏っている。
「ハーニィ、こいつら三人を尋問しといてください。魔塔に捕らえてね」
「ええ……あなたがおやりになったら?」
「わたしはバネッサを買っているんで……」
「そんな理由ですか!?」
ハーニィは叫んだ。が、コンラートの表情は笑っていない。それを見て、何かを察したようで「わかりました。その代わり、深夜残業の手当てはみっちり貰いますよ」と言い、魔法を唱えた。すると、倒れている二人の男と、腰を抜かしている男を白い光が包み込む。
「はぁ~……明日の朝でいいですかね? ひとまず」
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