私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います

***あかしえ

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14.龍神の奇跡3

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 ルイーゼがエルウィンに事情を説明した結果、「安全が確保されるまで、しばらく会うのは控える」ことになった。ルイーゼも若干の寂しさはあったが、事情が事情なのだから、仕方がない、と自分に言い聞かせていた。


 だというのにそんな中、エルウィンに会えないことに業を煮やしたソフィアが、紙一重なわがままさと天真爛漫てんしんらんまんさで、暴走してしまった。
 家族に内緒で新入りの年若い見習い馭者ぎょしゃを伴い、シュティーフェル邸へ向かってしまったのだ。ルイーゼはソフィアにも、現在の状況を説明していたのだが、意味がなかったらしい。

 家族がソフィアの不在に気づいたのは、昼になってからだった。ランチの時間になっても降りてこない彼女を、メイドが迎えに行き発覚した。

 詳細が分かったのは、ソフィアに随行していた例の馭者ぎょしゃが、教会騎士に連れられ、命からがらメーベルト邸へ戻ってきてから。彼は一人だった。

 彼がソフィアに懸想していたことは、ルイーゼも知っていた。
 ソフィアに潤んだ瞳で頼まれて、嫌とは言えなかったのだろう。
 シュティーフェル邸へ行ったことはなく、道案内はソフィア頼り。

 そんな状態で結局――――道に迷ってしまったのだ。

 更に魔獣に襲われ、二人は散り散りに逃げるしかなかった。
 馭者ぎょしゃは、現地を巡回していた教会騎士に保護されたが、ソフィアは現在も行方不明のままだ。

 父メーベルト伯ディーター・メーベルトの馭者ぎょしゃへの叱責は、すさまじいものがあった。ルイーゼも彼に対して言いたいことは山ほどあったが、彼が変に情報を隠さずにきちんと周知していればよかった話だ。

 ルイーゼは意味のない叱責を繰り返す父をたしなめ、ソフィアの捜索について教会騎士と話をするよう促す。
 最終的に必要な情報を共有し、メーベルト伯の私設兵を捜索部隊に加え捜索を続行することになった。
 捜索の矢面に立つと邪魔だということで、メーベルト伯は屋敷に待機するよう教会騎士に説得されていたのだが、彼は自分も捜索に参加すると言って聞かなかった。

 ――ソフィアが心配なのは分かるけど……それにしたって、冷静さを欠きすぎていないかしら?









 一方――エルウィンは、シュティーフェル領内の警備状況を確認するため、領内を巡回中に遭遇した教会騎士から、ソフィア・メーベルト失踪のしらせを聞く羽目になっていた。

 ルイーゼから森に現れる魔獣の話を聞き、エルウィンはすぐにシュティーフェル伯に指示を仰いだ。シュティーフェル伯は領内の安全確認のために、私設兵を派遣することを決め、その指揮をエルウィンに任せた。
 ボリソヴィチ・バッソはそのことに、激しい反発を見せていたが、「ならばお前が行くか」というシュティーフェル伯の言葉に黙り込み、話は終わった。


 そうしてエルウィンが兵を率いて領内を巡回中、魔獣とそれを追撃中の教会騎士に遭遇したのだ。
 現れた魔獣は、中の上レベルの討伐難易度に分類されている中型害獣。
 一時期騎士見習いとして鍛錬を受けていたエルウィンにとって、初級から中級程度の敵ならば問題はない。
 よく見ると怪我けがをしていたその教会騎士を、エルウィンは自分の名を名乗り、近くの共同教会へ運び込んだ。
 治療は牧師に頼み、警備に戻ろうとしていたエルウィンを教会騎士が呼び止める。
 エルウィンはそこで、「ソフィアがシュティーフェル邸へ向かったまま、行方不明になった」ことを知らされた。

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