この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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第135話 西の王国、影の門

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夜明け前、まだ王都が眠っているうちに、ボクたちは城門を抜けた。
 馬車ではなく、今回は徒歩と隠密行動が基本。
 正規の国境門から行けば、すぐに足がつく──だから向かうのは「影の門」と呼ばれる、廃坑を利用した裏ルートだ。

 廃坑の入り口は岩山の裂け目にあった。
 中は湿った冷気と、鉱石が擦れる音が響く薄暗い通路。
 足元に光る鉱粉が、ぼんやりと青白い。
「……魔力鉱か。光ってるのは魔素が染み出してる証拠だな」
 ノアが低く呟く。

 進むうち、道は二手に分かれた。
 右は下り坂、左は上り坂。地図には載っていない分岐だ。
「予定では一本道のはずだが……」
 ユリウスが眉を寄せる。
 ボクは一瞬耳を澄ませ、左の通路から微かな鼓動のような音を感じ取った。
「こっちだ。……精霊が呼んでる」

 左の通路を進むと、やがて古い木の扉が現れた。
 扉の表面には、見覚えのある魔方陣──国境で見たものと同じ構造だ。
「また……」
 触れた瞬間、扉が震え、鈍い音を立てて開いた。

 中に足を踏み入れた途端、背後で扉が閉まり、冷たい鎖の音が響く。
 闇の中に浮かぶのは、仮面をつけた数人の影。
「神子ルカ、ようこそ西の王国へ」
 低い声が笑いを含んで響いた。
「歓迎の儀は──ここからだ」

 ──潜入開始から、もう捕まった?
 ボクは小さくため息をついた。どうやら最初の試練は、思った以上に早く来たらしい。
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