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14. 『しらない人が、しってる顔で話しかけてくる……でも、なつかしいきもちもして……?』
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「えっと……ノアくん、だっけ?」
「ルカ。やっぱり忘れてるんだね」
──なんで、そんな顔するの……?
目の前のノアくんは、すごく背が高くて、
声は大人っぽいけど、ちょっと震えてた。
「でもいいよ。もう一度、全部やり直そう。
……俺のこと、また“好き”になってもらうために」
そう言って、ノアくんは笑った。
──すごくやさしく、でもどこか、こわいくらいまっすぐな瞳で。
◇
その日の園は、異様な空気に包まれていた。
「……ルカ様が“知らない男”に口説かれている……」
「王都からの転入生とかズルい。スペック高すぎる」
「我らの恋は、終わったのか……?」
中でも、一番焦ってたのは──
・ユリウスくん:
「ルカ様を見守るだけの男でいるつもりでしたが……今夜から対策会議です」
→自作の“ルカ様攻略書(全500頁)”を再構築開始
・カインくん:
「…………」
→ルカの周囲5メートルに“無言バリア”展開
・レオンくん:
「オレは関係ないし。別に。でも……あいつ、触れたよな」
→ノアにだけ“マジの目”で睨みをきかせる
◇
その日の夕方。
ルカ宛に、一通の手紙が届いた。
《──ルカへ
明日、園の裏の桜の丘で待ってる。
“昔の約束”を、もう一度聞いてほしい。》
「やくそく……?」
ミミルをぎゅっと抱いて、考える。
ノアくんのこと、たしかに少し──なつかしい気持ちはある。
(もしかして、前にも会ったことあるの……?)
◇
次の日。
言われた通り、桜の丘に行ってみたら──
「来てくれたんだ。ありがとう」
ノアくんは、笑って立っていた。
そしてその手には、小さな“指輪の箱”。
「これ、前に渡せなかったやつ。今度こそ──受け取って」
──ドクン。
鼓動が跳ねたのは、たぶん驚いたから。
だけど、なにか懐かしいあたたかさもあって……不思議だった。
「ノアくん、ぼくね……いま、まだだれのものにもなれないの」
「知ってる。だけど……もう一度、賭けてみたかったんだ」
ノアの手が伸びて、ルカのほっぺにそっと触れた──その時。
「──待てやコラ!!!!」
ユリウス・カイン・レオンが全員集合&同時登場。
ノアの腕を引きはがし、それぞれがルカの前に立ちふさがる。
「その頬は、ぼくの手でしか許されない」
「ルカ、つかれたなら、おんぶ……」
「触るな。つーか帰れ。今すぐ」
……え、なにこれ、修羅場!?
◇
その夜のカレンダーには、こう書かれていた。
『“好き”が多いほど、きっと世界は騒がしい。
でも、その全部を受け止められるあなたは──ほんとうに、強い』
「……強くないよ。ミミルがいてくれるから、がんばれてるだけ」
そう言って、ミミルを抱いて目を閉じた。
──けれど、ルカの知らないところで。
“新たな刺客”が、すでに園への転入申請を済ませていた。
その名は、アデル。
次回、魔導の貴公子と呼ばれる“氷の令息”が登場──
「ルカ。やっぱり忘れてるんだね」
──なんで、そんな顔するの……?
目の前のノアくんは、すごく背が高くて、
声は大人っぽいけど、ちょっと震えてた。
「でもいいよ。もう一度、全部やり直そう。
……俺のこと、また“好き”になってもらうために」
そう言って、ノアくんは笑った。
──すごくやさしく、でもどこか、こわいくらいまっすぐな瞳で。
◇
その日の園は、異様な空気に包まれていた。
「……ルカ様が“知らない男”に口説かれている……」
「王都からの転入生とかズルい。スペック高すぎる」
「我らの恋は、終わったのか……?」
中でも、一番焦ってたのは──
・ユリウスくん:
「ルカ様を見守るだけの男でいるつもりでしたが……今夜から対策会議です」
→自作の“ルカ様攻略書(全500頁)”を再構築開始
・カインくん:
「…………」
→ルカの周囲5メートルに“無言バリア”展開
・レオンくん:
「オレは関係ないし。別に。でも……あいつ、触れたよな」
→ノアにだけ“マジの目”で睨みをきかせる
◇
その日の夕方。
ルカ宛に、一通の手紙が届いた。
《──ルカへ
明日、園の裏の桜の丘で待ってる。
“昔の約束”を、もう一度聞いてほしい。》
「やくそく……?」
ミミルをぎゅっと抱いて、考える。
ノアくんのこと、たしかに少し──なつかしい気持ちはある。
(もしかして、前にも会ったことあるの……?)
◇
次の日。
言われた通り、桜の丘に行ってみたら──
「来てくれたんだ。ありがとう」
ノアくんは、笑って立っていた。
そしてその手には、小さな“指輪の箱”。
「これ、前に渡せなかったやつ。今度こそ──受け取って」
──ドクン。
鼓動が跳ねたのは、たぶん驚いたから。
だけど、なにか懐かしいあたたかさもあって……不思議だった。
「ノアくん、ぼくね……いま、まだだれのものにもなれないの」
「知ってる。だけど……もう一度、賭けてみたかったんだ」
ノアの手が伸びて、ルカのほっぺにそっと触れた──その時。
「──待てやコラ!!!!」
ユリウス・カイン・レオンが全員集合&同時登場。
ノアの腕を引きはがし、それぞれがルカの前に立ちふさがる。
「その頬は、ぼくの手でしか許されない」
「ルカ、つかれたなら、おんぶ……」
「触るな。つーか帰れ。今すぐ」
……え、なにこれ、修羅場!?
◇
その夜のカレンダーには、こう書かれていた。
『“好き”が多いほど、きっと世界は騒がしい。
でも、その全部を受け止められるあなたは──ほんとうに、強い』
「……強くないよ。ミミルがいてくれるから、がんばれてるだけ」
そう言って、ミミルを抱いて目を閉じた。
──けれど、ルカの知らないところで。
“新たな刺客”が、すでに園への転入申請を済ませていた。
その名は、アデル。
次回、魔導の貴公子と呼ばれる“氷の令息”が登場──
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