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16. 『ちょっとだけ、うしろが ざわざわしてる…?』
「おはようございます、ルカ様!」
──今日も、園の門をくぐったとたん、大きな声と共にユリウスが僕のバッグを受け取る。
「お、おはよう…ありがとう、ユリウスくん」
「本日の気温はやや高めです。園内の席、調整済みですのでご安心を」
「え?」
教室に入ると──そこはもう、“ぼくのための席”になっていた。
・ふわふわの座布団(ミミル色)
・机の上には朝摘みの果実ティッシュ(たぶん誰かが用意してくれた)
・足元には足が冷えないように魔導ヒーターが仕込まれている
「えええ……こんなにいらないのに……」
きょろきょろと周りを見ていると、斜めうしろの席からひとりの子が、すっと近寄ってきた。
「ルカくん、今日もかわいい」
「アデルくん……」
「気温、ちょうどいい? 風が強いようなら、調整しなおすけど」
やさしくて、静かで、でもどこか……氷みたいに、まっすぐな目。
(……なんか、ちょっと こわいような……?)
◇
一方そのころ、教室の隅っこでは、3人の男の子が作戦会議中。
「アデル、強敵すぎる」
「一気に距離詰めすぎ」
「魔法の使い方が、完全に“彼氏”」
レオンが言えば、カインが頷き、ユリウスがそれを受けて鋭くまとめた。
「よし。我々もチームを組もう」
「ルカ様“護衛”同盟」
「──という名の恋愛共闘協定」
こうして、「ぼくのため」なのに、どこか違う意味で一致団結する3人組が生まれた。
◇
午前の遊び時間。
僕がミミルと一緒にすべり台の近くにいたら、さりげなく誰かが影を作ってくれていた。
「ルカ、まぶしいの嫌いでしょ?」
「カインくん、ありがとう……」
お昼ごはんの時間。
僕の好きなにんじんグラッセが、どうしてか多めに盛られていた。
「おや、ルカ様だけ特別盛りですね」
「ちがっ…これは、たまたまで…!」
「ふふ、ルカくん、よかったら僕の分もどうぞ」
「えっ、ノアくんも…!」
そして──アデルが、スッとお皿を滑らせた。
「ルカくん、ぼくのも。好きなだけ食べて」
「アデルくんまで……」
(あの……ぼく、そんなに…いっぱい たべれない……よ?)
◇
午後の静かな時間。
僕はミミルを抱いて、教室の隅でぼーっとしていた。
ふと見ると、皆が僕を見てる。目が合う。そらされる。照れる。
(なんか……うしろが ざわざわしてる……)
「ルカくん、眠い?」
アデルがそっと、ふわふわの魔法枕を差し出す。
「ありがとう、アデルくん……」
「おやすみなさい。いい夢を」
その瞬間、背後でユリウスがつぶやいた。
「……これは本格的に対策が必要だな」
「同意する」
「同上」
3人の“想い”が、静かに重なった。
そしてその夜、カレンダーに現れた言葉は──
『しずかで やさしいものが、
いちばん こわいときがあるんだって。
でも、それも ぜんぶ だいすき、って言えるぼくでいたい』
僕はミミルに頬をすり寄せながら、そっと目を閉じた。
明日もきっと、あったかい1日になりますように──。
──その頃。園の外。
月明かりの下を、銀の髪をした男の子が歩いていた。
彼の手には、一輪の黒い花。
その瞳は、遠くにいる“光”を見つめていた。
「──君を手に入れる。それが僕の生まれた理由だ」
──今日も、園の門をくぐったとたん、大きな声と共にユリウスが僕のバッグを受け取る。
「お、おはよう…ありがとう、ユリウスくん」
「本日の気温はやや高めです。園内の席、調整済みですのでご安心を」
「え?」
教室に入ると──そこはもう、“ぼくのための席”になっていた。
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・机の上には朝摘みの果実ティッシュ(たぶん誰かが用意してくれた)
・足元には足が冷えないように魔導ヒーターが仕込まれている
「えええ……こんなにいらないのに……」
きょろきょろと周りを見ていると、斜めうしろの席からひとりの子が、すっと近寄ってきた。
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「アデルくん……」
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(……なんか、ちょっと こわいような……?)
◇
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「一気に距離詰めすぎ」
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「よし。我々もチームを組もう」
「ルカ様“護衛”同盟」
「──という名の恋愛共闘協定」
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◇
午前の遊び時間。
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「ルカ、まぶしいの嫌いでしょ?」
「カインくん、ありがとう……」
お昼ごはんの時間。
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「おや、ルカ様だけ特別盛りですね」
「ちがっ…これは、たまたまで…!」
「ふふ、ルカくん、よかったら僕の分もどうぞ」
「えっ、ノアくんも…!」
そして──アデルが、スッとお皿を滑らせた。
「ルカくん、ぼくのも。好きなだけ食べて」
「アデルくんまで……」
(あの……ぼく、そんなに…いっぱい たべれない……よ?)
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「同意する」
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