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17. 《???視点》『君を壊してしまいそうで怖い。でも、それでも欲しいんだ』
夜の王都の片隅。
静まり返った図書塔の屋上で、ひとりの少年が空を見上げていた。
その髪は月の光を吸い込んだような銀。
その瞳は、闇を映したような深い黒。
──ディノ=カーヴァンクル。
王国地下区域〈ノクス領〉で育った、特異な“闇の魔導継承者”。
かつて、感情の起伏を「抑える訓練」を受けさせられ続け、
愛も、優しさも、笑顔すらも「演技として覚える」よう育てられた少年。
だけど──あの日。
宰相直属の魔導監視台から映像を盗み見たとき。
“彼”を見たとき。世界のノイズが止まった。
小さな手で兎を抱き、
小さな体で優しく笑っている──“ルカ”。
「どうして、そんなに……光ってるんだよ……」
胸が、焼けるように熱かった。
あれが、“恋”というものだと、あとで知った。
「……僕には、似合わない感情なのに」
でももう、止まらなかった。
彼の声を聴きたい。
彼のそばで、壊れたい。
◇
そして今日──
ディノは転入許可を勝ち取り、園の門をくぐった。
「こんにちは……転入してきた、ディノっていいます」
その瞬間。
空気が止まった。
ユリウスが警戒の目を光らせ、
カインが身体を前に出し、
レオンが「めんどくさいの来たな」と舌打ちし──
でも、彼らの視線の先にいたのは──
「こんにちは。ぼくは、ルカだよ。よろしくね?」
やわらかく微笑む、そのひと。
兎を抱きしめながら、手を差し伸べてくれた“天使”。
ディノは、その手を取った。
(やわらかい……あたたかい……)
(でも、触れたら、壊れてしまいそうだ)
◇
昼休み。
誰もいない裏庭で、ディノはぽつりと呟く。
「僕が“光”を手に入れたとして……それは、世界にとって正しいことなのかな」
彼の手の中には、小さな黒い花。
花言葉は──「独占」「束縛」「君しかいらない」。
その夜、彼は誰にも気づかれないようにルカの机に花を置いた。
そして、園児用の魔導ノートに、そっと記した。
『君の笑顔が、どうか僕だけを見ていますように。
僕は祈る。呪うように、祈る。』
──ディノの想いは、恋か、呪いか。
それは、まだ誰にも分からない。
静まり返った図書塔の屋上で、ひとりの少年が空を見上げていた。
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かつて、感情の起伏を「抑える訓練」を受けさせられ続け、
愛も、優しさも、笑顔すらも「演技として覚える」よう育てられた少年。
だけど──あの日。
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「どうして、そんなに……光ってるんだよ……」
胸が、焼けるように熱かった。
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でももう、止まらなかった。
彼の声を聴きたい。
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◇
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