アメフト物語

第１０話 勉強の夏

部活奮闘記 ― 勉強の夏

野球引退後、俺の生活は完全に勉強中心に変わった。
賦活も終わり、毎日５時間の勉強を続ける日々。
最初は体が慣れずにだるさを感じることもあったが、野球で培った“継続する力”が俺を支えていた。

夏休み。
午前中は個別指導塾で一コマ、集中して問題を解く。
お昼を家で食べて、一息ついたら午後は図書館へ。
静かな環境で参考書を開き、ノートにまとめ、問題を何度も解き直す。

一日の終わりには、汗をかいた野球の練習のような充実感が残る。
「これだけやれば、絶対に結果は出る」
心の中で何度も自分に言い聞かせた。

そして夏の都立模試。
結果は――偏差値78。

これまでの人生で見たこともない数字に、俺は息を呑んだ。
ベンチで悔しさを噛みしめていたあの頃の自分とは、完全に別人になった気がした。

野球も勉強も、やるべきことを信じて続ければ必ず報われる――そのことを、俺は身をもって知った夏だった。