東大受験物語

けんしろー

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第36章 東大一本

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第36章

「進路希望、東大一直線」
──今年は東大しか受けない


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■ 秋の進路希望調査

9月下旬。学校では進路希望調査票の提出が求められた。
教室に配られたその紙には、シンプルな欄があった。

> 第一志望校:
第二志望校:
併願校:



悠真は、ペンを握ったまま、数秒動かなかった。
けれど次の瞬間、まっすぐに書いた。


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第一志望校:東京大学 文科二類
第二志望校:記入なし
併願校:記入なし


---

これまで、少しは「滑り止め」も意識していた。
しかし今、悠真の胸に迷いはなかった。

> 「今年、俺は東大しか受けない」




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■ 高村の覚悟

放課後、進路票を見せ合う三人。

「お前も、書いたか?」
高村がニヤリと笑う。

「もちろん、理科一類一本勝負だ」
彼も、第二志望以下は空欄だった。

理一を選んだ高村は、物理と数学に特化した戦略で動き始めていた。


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■ 西原の決断

そして、西原もまた。

「私も、文三一本で行くよ。AOも、推薦も使わない。一般入試だけで行くって決めたの」

淡々と、しかし力強く語ったその声に、悠真は胸を打たれた。


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■ 永井先生の表情

三人の希望票を見た永井先生は、少しだけ目を伏せたあと、静かに笑った。

「ここまで来たか。……あとは“本気の中の本気”を、積み重ねるだけだな」


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■ 志望理由書の第二稿

「なぜ東大なのか」
「東大で何を学び、何をしたいのか」

悠真は、進路希望票を出した夜、自室で再びノートを開いた。

以前書いた志望理由書の第一稿は、「憧れ」と「逆転したい」という気持ちが強かった。

けれど、今の彼には、確かな言葉があった。

> 「僕は、誰かの“背中を押す言葉”を持つ教師になりたい。
そのために、日本で最も多様な価値観と、知的刺激が交錯する東京大学で、言葉と思考を鍛えたい。」



永井先生や高村、西原、そして自分自身との対話が、その理由を明確にしていた。


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■ 各科目の完成度チェック

10月からは、永井先生による**「科目別最終点検」**がスタートした。

英語:過去問演習中心。得点力は安定しつつあり、あとは「長文の記述」にさらに磨きを。

国語:現代文の記述力は進化。古典の読解精度も上昇。時間配分を意識。

数学:ⅠAⅡBは安定。微積と確率が課題。志田先生の東大対策授業を繰り返す。

世界史・日本史:用語精度と論述力を強化中。

理科基礎:点数化を確実にするため、共通テスト向け演習を週に一度実施。



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■ 永井先生の“最終戦略”会議

永井先生が言った。

> 「併願を捨てた者の勝負は、“精神の持久戦”だ。
いいか、11月からは**“過去問×8年分×3周”**に突入する。
一問一問を“合格の試練”と思え。」



そして、最後にこう言った。

> 「お前らは、もう“受かる可能性がある人間”だ。
あとは“受かるしかない人間”になれ。」




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■ 三人の“絆”

10月の夜、学校帰りの道。

西原が言った。

「ねえ、三人で受かったら、どこか旅行しようよ」

高村が笑って答える。

「そのときは、合格発表の赤門の前で写真撮ってからな」

悠真は、静かに頷いた。

「うん。絶対、行こう。東大で待ってる未来を、三人で迎えに行こう」
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