東大受験物語

第５８章 約束のキスと確かな手応え

第58章　約束のキスと確かな手応え

模試の結果発表の日。
悠真は、学校の掲示板の前で息を飲んだ。
画面に映し出された得点一覧、すべての科目が82％を超えている。
それは自分でも信じられない数字だった。
努力が確かな形となって返ってきた瞬間だった。

胸の鼓動が早くなる。
「これで約束を果たせる……」
西原の言葉が脳裏に蘇る。

夕方、西原と待ち合わせ場所へ向かう道すがら、
嬉しさと少しの緊張、誇らしさが混ざった複雑な感情が胸を満たした。

西原と目が合う。
彼女の瞳には、優しさと微かな期待が光っていた。
悠真は声を震わせながら、
「結果、全部82％超えたよ」
と言った。

西原はにっこりと微笑み、そっと手を取り、
「約束は約束だもんね」
そう言って、悠真のほっぺたにゆっくりとキスをした。

その温もりに、悠真の心は一瞬で満たされた。
二人の距離が、確かな絆へと変わった瞬間だった。

帰り道、二人は無言で歩いたが、
言葉は必要なかった。
努力と信頼、そして未来への希望が、確かな光となって胸に灯っていた。