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⑪僕には純白王道なメイドがいます

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『僕には純白王道ヴィクトリアンなメイドがいます』

発売日:2020/3/1 電子版発行
著者:青橋由高
挿絵:HIMA
発行:株式会社フランス文庫(美少女文庫)


あらすじ
 大学進学を機に上京してきた主人公、“鳥越司とりごえつかさ”。彼は同伴した年上の幼なじみメイド“エレノア・ホワイト”に長年恋していました。
 しかしそんな司の片恋を露も知らないエレノアは、彼女の伯母とメイドの信条に関する勝負をします。「正統なメイドである私がご主人様に恋愛感情を抱くなんてありえません」。そう語るエレノアですが、実際はかなりの溺愛っぷりで……。
 クールな自称王道メイドを激甘メイド妻に堕とすジュブナイルポルノ!!


キャラ紹介
・エレノア・ホワイト
ヒロイン。ハーフで銀髪で爆乳でメイドな二十二歳。常に表情を変えないクールビューティーですが、司の前でだけは隙のある表情を覗かせます。主である司に恋情はないと言いますが、実際は異常な愛を抱えています。

・鳥越司
主人公。進学したばかりの十九歳。地元では有力者の息子という地位故にマトモな生活を過ごせず、その風土を嫌ってエレノアと上京した。エレノアを心から愛しており、なかなか素直にならない彼女に根気強く愛を訴える。


Hシーン紹介
※処女を卒業する場合はVと表記。またフィニッシュは全て膣内射精なかだし
1章:手コキ➡乳責め&クンニリングス➡正常位V
2章:パイズリ➡シックスナイン潮噴き➡騎乗位連続絶頂
3章:海辺で青姦ソーププレイ➡対面座位で二連戦
4章:フレンチメイド服でクンニリングス➡拘束お仕置きスパンキング後背位➡公開オナニー➡正常位


感想
・クセが凄いヒロイン!
 今作のヒロイン、純白王道メイドことエレノアさんを端的に表現するなら「ストーカー気質でヤキモチ焼きなクーデレエロメイド」です。正直、ご主人様への忠誠心と家事のスキル以外正統メイド要素は皆無です。表紙絵から分かる通り、基本的な格好もあんな感じですし。
 まず第一章の時点で、彼女のキャラが存分に描かれます。自分以外の人間が作った料理を食べることさえ良しとしない嫉妬深さを見せつつ、盗聴盗撮スマホの盗み見を当たり前にこなすストーカーっぷりも発揮します。また司が食事した箸を健康チェックと称してたっぷり舐めたりもします。正直この時点でもかなりアレなヒロインです。
 さらにエレノアさんのやべぇヤツっぷりを代表するのは、通称司博物館ミュージアムと呼ばれる場所の存在です。ここには彼女が長年収集してきた司に関するあらゆるもの──盗撮写真や使い古した衣服、果てはホワイトデーの手作りクッキーまで──が管理、展示されています。司の写真で四面と天井を埋め尽くし、スピーカーから司の声を流せるようにした部屋<神の間>など、なかなかにファンキーでロックな場所です。
 こうして要素を羅列すると改めてやべぇヤツですが、実際に作品を読んで見るとあまりそういう印象は受けません。クーデレという純粋萌え属性があることによってか、ラブコメ的な溺愛キャラとしてはむしろいい塩梅に収まっています。この辺は青橋先生の書き方の上手さが際立っていると言えるでしょう。
 タイトルにも物語の主軸にもある「王道メイド」という要素を大きく逸脱するキャラ性をしていますが、根っこにある主への深い愛と奉仕の精神は紛れもない本物。徹底的に甘くて甘いエロコメに相応しいヒロインだったというのが個人的な印象です。

・安定的に魅力的なHシーン!
 青橋先生作品は既に扱っただけでも5作品(①、③、⑤、⑦、⑨)ですが、どれもエロラノベの花形であるHシーンに趣向が凝らされています。
 今回それを一番感じられたのは第二章です。司は告白に曖昧な返事しかしないエレノアを攻略するため、エレノアは忠実な王道メイドという自分の理想像を守るため、お互いに持ち得る性技を駆使して相手を絶頂に追いやろうとします。この勝負感が個人的にはハマりました。最終的にヒロインを負かす、屈服させるのも征服感が満たされてたまりませんね。
 第二章のHのもう一つの見どころは「好き」と「キス」の言葉遊びです。性技対決の勝ちを確信した司は、すっかりトロトロに陥落したエレノアから「好き」という言葉を引き出すためにわざと責めを緩めます。それでも頑なな彼女に司は「キスと言うたびに動いてあげる」と条件を出して「キスキスキス……」と言わせます。そうして間接的に「好き」という言葉を連呼させ、連続絶頂へ導いたのです。
 「好き」と「キス」の言葉遊びなんて小学生でも知っているものです。でもそれをこういう形でHにも応用できる。目から鱗というか、単純に凄いと思いました。
 それ以外にもいつもの青橋先生らしいお仕置きスパンキングなど、Hに関しても全体的な満足度は高めでした。やはりベテランと思わせてくれる、安定感と刺激に富んだ素晴らしいHシーンだったと思います。


まとめ
[ここが良かった!]
・可愛いすぎるクーデレ年上メイド
・多彩で刺激的なHシーン
[ここが気になる!]
・物語の起伏は薄い(イベントはだいたいオマケ程度)
・ヒロインのクセが強い(個人差はあると思います)


総評:78点
 幼なじみ、メイド、初期好感度マックス、安心安全の萌え物語と、青橋先生らしさ全開な作品。ヒロインのクセの強さやクーデレっぷりが面白く、ラブコメとしても楽しめる一冊でした。キャラや物語など全体を通しても非常に完成度が高いので、エロラノベ初心者から玄人まで満足できると思います。
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