上 下
10 / 12

⑩双子エルフにめちゃくちゃ愛されてる!

しおりを挟む


『双子エルフにめちゃくちゃ愛されてる!』

発売日:2020/8/1 電子版発行
著者:K.バッジョ
挿絵:片桐雛太
発行:株式会社フランス書院(美少女文庫)


あらすじ
 ドラゴンに襲われた村で唯一生き残った赤子、“アル”。彼は自分を助けた双子のエルフ“ララ”と“ルー”から愛を注がれ、立派な冒険者に成長しました。そして彼もまた二人を愛し、プロポーズします。
 しかし人族のアルとの結婚は他のエルフに反対されてしまいます。彼は自分たちの関係を認めさせるため、因縁にケリを付けるため、仇敵ドラゴンとの決戦に向かうのです。
 これは孤独な少年が家族に触れ、幸福な温もりを知るジュブナイルポルノ。


キャラ紹介
・ララ
ヒロイン1。双子の姉で、精霊使い。天真爛な性格で常に明るく振舞います。アルには甘えん坊で、積極的にHをおねだりします。
・ルー
ヒロイン2。双子の妹で、魔法剣士。姉と比べて真面目で、堅実な考えを持っています。照れ屋ですが大好きなアルには好意を隠しません。
・アル
主人公。かつてドラゴンに襲われた村で唯一生存した赤子。自分を助け、ここまで育ててくれたララとルーに深い感謝と愛を覚えています。


Hシーン紹介
※処女を卒業する場合はVと表記。またフィニッシュは全て膣内射精なかだし
2章:浴室でオネショタWカウントダウン手コキ(ララ&ルー)
3章:正常位V(ルー)&正常位V(ララ)、W朝フェラ&イラマチオ(ララ&ルー)
4章:相互オナニー➡3P立ちバック(ララ&ルー)
5章:正常位(ルー)&正常位(ララ)➡3P騎乗位(ララ&ルー)
6章:ウエディングWフェラ&顔射(ララ&ルー)


感想
・物語の完成度
 この作品のテーマ、一番描きたかったことはおそらく「家族」でしょう。なにせ最後の一文は

  この物語は、一人ぼっちだった少年『アル』が、大切な宝物を手にして、幸せに眠りにつくことで幕を下ろす人生の、最初の一歩の物語──。

 「大切な宝物」とは当然双子のエルフ嫁ララとルーのことです。またドラゴンとの決戦前にアルが本当の家族を思い返す描写や、エンディングで双子が妊娠する点からも、この推測は間違ってないと思います。
 前半はスローライフにまったりイチャイチャし、後半は正式に家族となるため因縁の敵と戦う。全体の構成は理にかなっていますし、ドラゴンとの戦いもなかなか熱い盛り上がりを見せます。物語として単純に楽しめた点は高評価です。
 ただ「家族」を扱うのであれば、掘り下げられた点はいくつかあったと感じます。例えば名前について。アルが拾われたのは赤子の時ですから、当然名前を付けたのは双子でしょう。彼女たちがどんな想いを込めて名前を付けたのか、それを受けてアルは自分の子供にどんな名前を考えるのか。もう少し設定を活かせる展開があったのではと思いました。
 しかし総じて物語を通してやりたいことは一貫しており、エロ要素を抜きにしても楽しめる構成になっていたように感じます。ファンタジー世界で取っつきやすくもあるため初心者には向いているかもしれません。

・Hシーンはやや盛り上がりに欠ける
 物語が面白かった半面、ジュブナイルポルノの花形であるHシーンはやや薄味というか、個人的には微妙でした。
 理由は主に三つ。前戯・体位が偏っている、3Pとして上手く描写できてない、文章のテンポが個人的に噛み合わない、です。
 一つ目に関しては既に上げたHシーン紹介を見ればわかりますが、非常にフェラと正常位が多い。勿論このふたつはベーシックなプレイなので他作品でも多用されるのですが、それにしたってやや偏りすぎかなと思いました。責め方も基本同じであるため新鮮味が薄く、Hシーンとしては刺激に欠けた印象です。
 次に3P描写。印象としては3Pというより連続セックス。二人同時に貪っているのではなく、一人一人と次々セックスする感じです。Hしてないほうのヒロイン描写がおざなりなのが気になりました。アルが責められる3Pはちゃんとあっただけに、二人同時にヨガらせる力強さを見せて欲しかったところです。
 また個人的な意見ですが、3Pの魅力ってヒロインの食べ比べにあると思うんです。タイプの違う二人の美女を同時に味わう贅沢にこそ刺激があります。ララとルーは双子なので、より一層二人の違いを際立たせる描写を取り入れて欲しかったところです(性感帯、感じ方など)。
 最後はもう完全に個人的な意見です。文章にはリズムがあり、当然合う合わないがあります。この作品の地の文で散見されるのは「アルの肉棒」という表現。それ以外にも明らかにララとセックスしてるのがわかるのにわざわざ「ララの子宮口」「ララの膣内」と描写します。視点を三人称神視点に置くと実際こうなりがちなのですが、個人的にはテンポが悪いなと思ってしまいました。クセがあるというほどでもないですが、試し読みをしてみたほうがいいかもしれません。
 最初のカウントダウン手コキなど刺激に富んだプレイもありましたが、個人的にはセックスシーンは弱かったです。最後のHシーンが挿入なしというのも不消化感が強い。ただ総じてノーマルプレイが多めなので、エロラノベ未読者向けの作品として意図された可能性もあります。


まとめ
[ここが良かった!]
・一冊を通して描かれる家族の物語
・ドラゴンとの白熱した熱戦
[ここが気になる!]
・キャラ立ては分かりにくい(属性的なキャラ付けではないため、魅力を単語化しづらい)
・Hが微妙(両方を同時に責める3Pがない、文章がやや単調など)


総評:72点
 孤児となった主人公が双子エルフに愛を注がれる一冊。因縁の仇敵との戦いもあり、物語として楽しめる部分がありました。しかしHシーンは総じて微妙で、特にフィナーレでフェラのみというのはいかがなものかと思います。個人的にはイマイチ楽しめませんでしたが、普段エロラノベを読まない人にはコレくらいのほうが良いのかもしれません。
しおりを挟む

処理中です...