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⑨悪魔メイドはツンツンデレデレ

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『悪魔メイドはツンツンデレデレ』

発売日:2013/3/1 電子版発行
著者:青橋由高
挿絵:有末つかさ
発行:株式会社フランス書院(美少女文庫)


あらすじ
 主人公は悪魔祓いの少年“海藤錬太かいどうれんた”。彼は先祖代々闘い続けてきた宿敵の悪魔“珠姫たまき”を瞬殺し、因縁にケリを付けました。
 その後、錬太の元を珠姫が尋ねてリベンジを申し込む日々が続きます。そんなある日、珠姫に地雷を踏まれた彼は、勢いに任せて彼女を使い魔にしてしまうのです。そしてなぜか自分からメイドとなった珠姫との同棲生活が始まります。
 意地っ張りで、負けず嫌いで、甘えん坊な上級悪魔をデレデレにするジュブナイルポルノ!!


キャラ紹介
・珠姫
ヒロイン。齢三百を超える上級悪魔ですが、愛称は「タマさん」。錬太と出会うまでは長年負け知らずを誇っていました。負けず嫌いでありながらもロマンス願望やマゾヒズムを持ち、主である錬太にはHなしつけをおねだりします。

・海藤錬太
主人公。最強の悪魔祓いである高校二年生。相手の弱点を見抜く特殊能力「天眼」を駆使したその実力はチート級です。珠姫にぞっこんであり、彼女を守る王子様、ご主人様として愛と精液をたっぷり注ぎます。


Hシーン紹介
※処女を卒業する場合はVと表記。またフィニッシュは全て膣内射精なかだし
1章:全身愛撫➡正常位V
2章:浴室で洗体プレイ➡尻尾コキ
3章:学校の屋上でフェラチオ、教室でオナニー➡立ちバック➡お漏らし背面座位
4章:体育館でお仕置きスパンキング後背位
5章:ウェディング騎乗位➡まんぐり返しアナルV


感想
・のじゃ系拗らせヒロイン珠姫さん!
 ヒロインである珠姫は三百年の時を生きる上級悪魔。一人称は「わらわ」で、語尾には「のじゃ」を付ける古風な彼女ですが、悪魔であっても無意味に人を襲ったりはしません。むしろ人間界にどっぷり溶け込んでおり、家事万能にして戸籍や免許まで持っています。この生活臭溢れる部分が第一萌えポイントです。
 次の萌えポイントは、プライドの高さとナイーブさのギャップです。長年最強の座にいた彼女は非常に負けず嫌いで、売り言葉に買い言葉な態度もよく取ってしまいます。けれど根がイイ子であるため、心の中ではすぐパニックになるのです。感情の動きが激しい珠姫にはずっと見ていたくなるペットのような愛らしさがあります。
 最後の萌えポイントはその嫉妬深さです。彼女は愛する錬太を独占するため、わざわざ彼の学校に転校し、自分たちのラブラブっぷりを積極的にアピールします。それも生半可なものではありません。なんと転校初日、自分に首輪とリードを繋がせ、主従プレイを行なったのです。その後も他の女が錬太に近づかないよう様々な工作を仕掛けます。それは珠姫の一途な愛情と不安の証明でもあり、非常にいじらしく感じました。
 他にも褒められただけですぐ照れてしまうチョロインっぷりや、デレデレになったときの可愛さなど、非常に多くの萌えが詰まったヒロインでした。

・THEラノベ的な要素が盛りだくさん!
 作品の比較的珍しい特徴として、戦闘描写が挙げられます。通常エロラノベはエロに主軸を置いているため直接関係のない要素は省かれます(扱った作品だと『恋堕ちジャンヌ』(⑥)が良い例)。青橋先生作品は特に純粋イチャラブが多いのですが、今回は少し方向性が違っていました。
 作中での一番大きな戦いは第四章。学校を拠点にしていた巨大悪魔との闘いで、錬太はチートじみた戦闘力を全力で発揮します。ぶっちゃけ彼が強すぎて意外性や緊迫感のある戦いとはなっていませんが、そもそも戦わない作品がデフォルトであることを考えると充分だと思います。
 また、珠姫が学校に転校してきてクラスメイトがワイワイ騒ぐ下りもあったりと、全体的に一般ラノベ色を感じさせます。普段エロラノベを読まない人でもコレなら取っつきやすいかもしれません。

・色んな場所で色んなH!
 作中のプレイにおいて特筆すべき点は、そのバリュエーションの多さでしょう。ベッドの上でノーマルなセックスを行なうのは第一章のみで、それ以外は全部特色のあるHとなっています。
 特に印象的なのは第三章。深夜の学校、錬太とふたりっきりの教室で、珠姫は自身のマゾヒズムを告白します。敗北とともに快感を味わっていたことを赤裸々に語り、そのままオナニーを披露。錬太とセックスを始めてからも、クラスメイトにアへ顔を見つめられる妄想に耽り、さらなる牝悦を貪ろうとします。上位悪魔である珠姫の印象を大きくひっくり返す(けれどとても珠姫らしさの伝わる)刺激的なHでした。
 それ以外にも青橋先生らしいイチャラブHが盛りだくさんで、やはり全体的に官能描写のレベルは高かったです。今回はさらにシチュエーション自体が刺激的なモノが多かったため、エロ要素でもかなり満足できました。


まとめ
[ここが良かった!]
・とにかく可愛いペット系ヒロイン
・シチュエーション盛りだくさんな幅広いプレイ
・ラブコメもバトルもあるTHEラノベ
・今までと一味違った青橋先生作品
[ここが気になる!]
・可愛さ要素がだいぶ強い(エロいとはまた微妙に違うかも)
・特筆すべき目新しさはない(全体的に完成度が高いため、逆に尖った魅力はない)


総評:78点
 可愛い女の子とHするというジュブナイルポルノの王道を貫く一冊。悪魔ヒロインのペットのような愛らしさに全力で悶えます。全体的にクセがなく、安定した面白さがある反面、強烈にハマるプレイは少なめです(単純に私が慣れ過ぎたのかもしれませんが)。総じてジュブナイルポルノ初心者にピッタリな作品という印象でした。
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