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②妹サキュバス! 芽亜はピュアでえっちで兄専用

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『妹サキュバス! 芽亜はピュアでえっちで兄専用』

発売日:2020/6/1 電子版発行
著者:午後12時の男
挿絵:三上ミカ
発行:株式会社フランス書院(美少女文庫)


あらすじ
 大学生の主人公、“新谷宗一しんたにそういち”。彼の日常は、義妹である“新谷芽亜しんたにめあ”がサキュバスに覚醒したことで一変します。淫魔である芽亜に欲情し、夜毎淫夢にうなされるのです。そしてそれは芽亜も同じでした。
 そんなある日、二人はサキュバスがHなしには生きられない存在だと知ります。宗一は芽亜を救うため、彼女とのHを決断するのです。
 義妹サキュバスと淫靡で背徳的な日々を過ごし、ついにはイチャラブHを繰り広げる悪魔的ジュブナイルポルノ!!


キャラ紹介
・新谷芽亜
ヒロイン。突如羽と尻尾が生え、サキュバスに覚醒してしまったJK。普段はやかましく元気いっぱいですが、その実ナイーブで甘えん坊。大のブラコンであり、サキュバスとして生きていくために宗一とのHをねだります。

・新谷宗一
主人公。大学生で、芽亜とは義兄妹。ブラコンを拗らせていつもスキンシップ過剰な芽亜にやや辟易しながらも、何だかんだ甘やかしています。サキュバスの健康管理のためとはいえ、芽亜とHをすることには葛藤を抱えています。


Hシーン紹介
※処女を卒業する場合はVと表記。またフィニッシュは全て膣内射精なかだし
1章:パイズリ➡騎乗位 ※夢オチ
2章:手コキ➡精飲➡正常位V
3章:朝フェラ➡対面座位、尻尾コキ➡正常位×13回射精
4章:イチャラブ正常位➡アナルV


感想
・最高に可愛い義妹ヒロイン!
 この作品のヒロインは義妹サキュバスである芽亜のみ。ハーレムのような刺激こそありませんが、結果的に芽亜の可愛さを描くことに注力され、とても魅力的なヒロインに仕上がっているなと感じました。
 天真爛漫でスキンシップ過多な一面と、不安になって甘えたくなってしまう一面。どちらも根幹にあるのは「お兄ちゃん大好き!」の精神であり、実際芽亜は実家を出た兄と同棲するためだけに進学先を変えるなどなかなかのブラコンっぷりを見せています。個人的にはこういう部分にかなりグッときました。
 また、友達といるときの芽亜の様子が描かれている点も評価が高かったです。尺の都合上、主人公とヒロインの絡みしか描かれない作品も多いなか、この作品では普段の学校での芽亜の様子にもしっかりと焦点が当てられています。これによって芽亜というヒロインに立体感が生まれ、より一層主人公の前でだけ甘える姿が可愛らしく映えます。
 義妹という属性に相応しい距離感が非常に愛おしい、とてもいいヒロインでした。

・近親相姦モノとしての背徳感&サキュバス要素によるラブコメ感の融合!
 ヒロインは義妹であり、いわゆる近親相姦モノに分類されます。私はあまり嗜まないジャンルですが、イメージとして「本来するべきでない相手と行う禁忌的情事」と「それに基づく背徳感」を楽しむジャンルなのかなと考えています。そしてその系譜を今作もしっかりと受け継いでいると言えるでしょう。
 主人公である宗一は、物語冒頭時点において義妹である芽亜を性の対象として見ていません。しかし芽亜が淫魔として覚醒した日を境に、彼女にムラムラとした肉欲を覚えるようになります。このときの気まずさが義妹の淫夢にうなされる描写からよく伝わります。そして栄養補給のために芽亜とHをするようになってからも葛藤を抱えており、肉体的な快楽との板挟みになってしまいます。こういった点が、近親相姦モノの旨味なのではないかと個人的には感じました。
 評価が分かれる点は、上記の近親相姦モノの旨味をマイルドに仕立て上げるサキュバスというファンタジー要素だと思います。舞台装置としてのサキュバス設定によって兄妹のHに分かりやすい理由が付加され、最初のHまでの段階も比較的コメディタッチに描かれます。その後もエロコメ的な色が強く、濃密で官能的な近親相姦モノとは少し路線を異にしています。
 シリアスになりすぎない、あくまでラノベとして楽しませる工夫であり、普段読み慣れていない私は実際コレくらいがちょうど良かったのですが、純粋な近親相姦モノを期待すると若干満足できないかもしれません。

・テンポ良く、心地よく進む文章!
 エロラノベにおいて最も大切なHシーンとは、すなわち作者の筆力が試される場所。この作品は地の文からしてかなり口語的で、文章もまたいかにもライトノベルという感じがします(以下、公式サイト立ち読みからの引用)

  つまりこれは、芽亜も興奮しているということか。
  感じちゃっているということか。
  兄の勃起を自分のおっぱいで感じて。
  兄の先走りで自分のおっぱいを汚されて。
  そうしてお兄ちゃんを、気持ちよくすることで。

 このように「~~て」で一度区切り、改行して文章を継続するケースが非常に多かったです。また地の文に「ち×こ」「おま×こ」といった直接的な単語が用いられることも多く、全体的に口語による読みやすさを意識していると感じます。実際その狙いは成功しており、私はかなりお手軽に読めました。
 それでも文章自体がサックリしすぎないように全体的に描写の密度は高く保たれており、また喘ぎには♡が多用されています。「あんっ」より「あんっ♡」のほうがHに感じる不思議な現象ですが、これを実に上手く活用していた印象です。
 全体的にWeb小説的な文章で整えられており、気楽にサクサクと読めながらもHは濃厚という、なかなかに上質なセックス描写でした。
※Twitterにて作者様より「Web小説でなくエロゲ演出の援用」である旨を教えていただけました。確かに小刻みな文章の連投は、クリックごとに物語に没入させるエロゲに近い気がします。


まとめ
[ここが良かった!]
・とにかく可愛い義妹ヒロインとの濃厚H
・一冊を通してきちんと展開される兄と妹の恋物語
・子気味よい地の文
[ここが気になる!]
・近親相姦要素は比較的マイルド(そのジャンルを求めると期待外れかも?)
・サキュバス設定のご都合主義感(わりと何でもありの舞台装置だったため)
・「血がつながってない」ことを過剰に強調(「血がつながっている近親相姦」を逆説的に否定しているように個人的には感じた)


総評:78点
 単独ヒロインであることを活かし、物語の縦糸にきちんと「兄妹の恋愛」を盛り込んでいるため一冊を通して満足感がある作品。ただコメディ調を意識しすぎているのか、「流石にそれはないだろう……」と思える箇所もいくつかありました。それでも可愛い義妹ヒロインとのエロコメを十二分に楽しめたので、個人的には買って後悔していない作品です。
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