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話しをしよう 3
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慧の微妙な雰囲気を察しただろうが、龍士郎はそれには何も言わず、少しだけ自信なさげに慧を見た。
「慧くん、もしかしたら君、switchなんじゃないかな、と思って」
「switch?」
慧は、どこかで聞いた事があるようなその単語を、必死に記憶の底から掘り返そうとした。おそらく、自分とは関係ないと思って、忘れてしまった記憶。だけど、何かが引っかかって、忘れきれない記憶。
「聞いた事ない? ごくまれに、domとsubを切り替えられる人が居るらしいんだ。それが、switch。どういう仕組みなのかオレは知らないけど、昔、人から聞いた話と、慧くんがなんだか重なって見えて」
と、ここで慧もようやくハッとその単語をどこで聞いたか、思い出した。
クリニックの、待合室だ。誰かが、話していたのだ。
switchはどっちつかずで、パートナーを見つけるのが大変だ、と。
本当にただの雑談のような内容を、なぜ思い出せたのかというと、その時の慧はsubなのに欲が薄いと不思議に思われ、どっちつかずなswitchという人達であれば良いのにと少しだけ羨ましく思っていたのだ。だが、ハッキリとsubだと診断された為、すぐに忘れてしまった記憶。
慧が絶句している事に気づいた龍士郎は、労わるように慧を見た。
「大丈夫? 慧くん」
「あの、おれ、だって、subだとしか、診断された事、なくて」
戸惑いながらそう返答すると、何かを思案するように龍士郎は顎に手を当てた。
「診断を受ける前に、sub、と断定される出来事があった、とか?」
軽く言われた言葉。
それは、慧のもっとも忌むべき記憶に抵触してしまった。
ヒュッと息が詰まる。
これは、ヤバい。薬、安定剤を。
慧は無意識に椅子から立ち上がり、自分の持ってきたバッグを探した。
屈んで中をあさると、少しもしない内に薬を探しあて、口に含んだ。水無しでも大丈夫な薬だが、その味は、苦い。
少しむせながら飲み込み、そこでようやくハッとした。龍士郎をほったらかしてしまた。
謝ろうと後ろを振り返ると、龍士郎はすぐ側に居り、同じように屈んでいた。
そして、今気づいたが背中をさすってくれていた。
暖かい。その手の優しさに、グッと胸が詰まる。
「ごめん、オレ、また失礼な事を聞いたみたいだ。本当、君には、迷惑しかかけてないね」
それは本当に悪いと思っているような顔で、違う、と言いたかった。
あなたの顔を、曇らせたいわけではないのだ、と伝えたかった。
だけど、それはできなかった。
それを言う為に口を開くと、本格的に過呼吸の症状が出そうだったからだ。
ひたすら、背中の優しい暖かさに集中する慧。
「慧くん、もしかしたら君、switchなんじゃないかな、と思って」
「switch?」
慧は、どこかで聞いた事があるようなその単語を、必死に記憶の底から掘り返そうとした。おそらく、自分とは関係ないと思って、忘れてしまった記憶。だけど、何かが引っかかって、忘れきれない記憶。
「聞いた事ない? ごくまれに、domとsubを切り替えられる人が居るらしいんだ。それが、switch。どういう仕組みなのかオレは知らないけど、昔、人から聞いた話と、慧くんがなんだか重なって見えて」
と、ここで慧もようやくハッとその単語をどこで聞いたか、思い出した。
クリニックの、待合室だ。誰かが、話していたのだ。
switchはどっちつかずで、パートナーを見つけるのが大変だ、と。
本当にただの雑談のような内容を、なぜ思い出せたのかというと、その時の慧はsubなのに欲が薄いと不思議に思われ、どっちつかずなswitchという人達であれば良いのにと少しだけ羨ましく思っていたのだ。だが、ハッキリとsubだと診断された為、すぐに忘れてしまった記憶。
慧が絶句している事に気づいた龍士郎は、労わるように慧を見た。
「大丈夫? 慧くん」
「あの、おれ、だって、subだとしか、診断された事、なくて」
戸惑いながらそう返答すると、何かを思案するように龍士郎は顎に手を当てた。
「診断を受ける前に、sub、と断定される出来事があった、とか?」
軽く言われた言葉。
それは、慧のもっとも忌むべき記憶に抵触してしまった。
ヒュッと息が詰まる。
これは、ヤバい。薬、安定剤を。
慧は無意識に椅子から立ち上がり、自分の持ってきたバッグを探した。
屈んで中をあさると、少しもしない内に薬を探しあて、口に含んだ。水無しでも大丈夫な薬だが、その味は、苦い。
少しむせながら飲み込み、そこでようやくハッとした。龍士郎をほったらかしてしまた。
謝ろうと後ろを振り返ると、龍士郎はすぐ側に居り、同じように屈んでいた。
そして、今気づいたが背中をさすってくれていた。
暖かい。その手の優しさに、グッと胸が詰まる。
「ごめん、オレ、また失礼な事を聞いたみたいだ。本当、君には、迷惑しかかけてないね」
それは本当に悪いと思っているような顔で、違う、と言いたかった。
あなたの顔を、曇らせたいわけではないのだ、と伝えたかった。
だけど、それはできなかった。
それを言う為に口を開くと、本格的に過呼吸の症状が出そうだったからだ。
ひたすら、背中の優しい暖かさに集中する慧。
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