弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!

灯璃

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4.仲間

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 最近の方こそ、連携も何もあったものではなかったが、次第に打ち解けていくなかで、お互いに助け合うという意識が芽生えたようだった……アレス以外。

 アレスは、強い。
 三人が束になってかかっても勝てはしないだろう。剣術は至高まで高められ、魔法だって1つ1つ極めたわけではないが、全てを高いレベルで修めている。回復も本職にはかなわないが、必要十分なくらい覚えているし、要するに何でも出来るのだ、一人で。
 オレという足手まといさえいなければ、もっと早い段階で魔王城という根源のダンジョンに挑めただろうし、なんなら、そっちの方が安全だっただろう。王様から仲間をあてがわれる事すら無かったかもしれない。

 だからアレスは、基本的にオレ以外を気にして戦わない。オレは情けないけど、ひたすら隠れてるかアレスの後ろにいる。
 それに気づいた三人が、どうにかしてアレスの意識をオレに逸らせないようにするにはと考えて、連携するようになったのだ。
 オレの新しい居場所は、僧侶のエレフィーナの隣になった。なんか、加護がどうのこうのの関係で、近くに居ると攻撃が弱まるらしい。
 これなら生き残れると思ったが、アレスが難色を示した。
 曰く、

「メルは、オレの近くに居ないと心配だ。万が一があったら責任取れるのか」

 と。お前の近くに居た方が危ないんだよ! とオレや三人が力説しても駄目だったので、結局三人が連携して戦闘を速攻で終わらせる事にしたらしい。



 ……正直、アレスがおかしい事にはうすうす気づいていた。だけど、オレにはそこまで魅力は無いし、変な魔物に魅了魔法でもかけられたかと思い返しても、そんな事は無かったと思う。
 そして何より、男同士だ。気が合う仲間とつるんでいたい気持ちはわかるが、それ以上はなかなか世間的には受け入れられない事だった。



「ねーねー、今日の晩ごはんなぁに~」

 意識を飛ばしていると、いつもアンリが話しかけてくれた。気を使わせてしまって、申し訳ない。

「今日は、一昨日の町で仕入れた野菜を使いきりたいから、スープだよ。アレスが肉とってきてくれるって」
「肉とスープかぁ。この間の、アレ食べたいなぁ、甘いやつ」
「何のお話ですの? わたくしも甘いものが食べたいですわ」
「いやいや、クッキーは材料が無いから無理」
「そんなぁ。メルクなら、何とかできますわ。お願い」
「無理なものはむーり」

 たいてい、食料調達や設営はアレスとミーナがやってくれるので、オレはもっぱら調理番、アンリは水の調達、エレフィーナは守護の結界をはっていた。
 おかげで、ある出来事以降みんなと仲良くなれたのだと思う。みんな良い子だった。

 だからきっと、オレの計画に手を貸してくれると信じていた。



 そしてオレ達は、誤魔化し誤魔化し、何とか魔王城ダンジョンに一番近い村(それでも五日歩かないと着かない)に到着した。
 この頃には、三人の連携があってすら、オレは何度か死にかけた。
 当たり前だ。
 かすり傷ですら、致死傷になり得るのだ。そんな針の穴を通すような繊細な戦闘、続けられるわけがなかった。……アレス以外。
 オレを含めてみな、疲弊していた。
 ここから先は、休養すら許されない。気を抜けば、いつ魔物が襲ってくるかわからないのだ。エレフィーナの結界も、追いつかなくなってきている。

 三人は、決断を迫られていた。
 このまま、勇者の顔色を伺い足手まといを入れたままという危険を受け入れて戦うか、オレを追放という形で抜けさせて、勝てる確率を安全に上げて戦うか。
 オレが死ぬ、という選択肢は最初の方に無くなっていた。
 オレが死にかけた時の、アレスの動揺ぶりが酷いのだ。魔物も何も見えていないように、オレの回復を最優先し、自分すら死にそうになった事があった。
 オレは、オレが死ぬより、そっちの方が嫌だった。
 周りも、オレを助けようとして勇者が死ぬなんて、あってはならない事だと思ったようだ。
 しかも、アレスは事あるごとに、

「メルが死んだら、墓は故郷に建ててオレもそこで死ぬ」

 と言ってはばからないのだ。
 ……重い! 重いよ勇者ァ。オレそこまでお前に好かれる事した覚えないよぉ…。

 まあとにかく、オレが死ぬとアレスも戦闘する気が無くなるようなので、オレは後生大事に守られているわけだ。
 嬉しくない。
 本当に嬉しく無いし、アレスが何考えてるかわからなくて、怖い。オレもこんな形で死にたくない。



 正直、こんなに魔王城に近い所までついて来るコトになるとは思ってなかった。もっと早く、三人は決断してくれると思っていた。
 だが、これについては仕方が無い所もあった。
 アレスは、とてつもなく格好良い。
 ちょっと話しが通じない所あるが、基本的には友好的だし、女性にも優しい。そんなアレスに、三人が惚れるまで時間はかからなかった。三人牽制し合っていて、そのままの流れでオレに抜けてくれと言ってくれないかなと思っていたが、本当にその話題を出した時の、アレスの圧といったら。
 まるで、ダンジョンの主に相対した時のような重圧に、三人は有り体に言えばビビったのだ。もちろん、暴言や暴力は、無い。ただ言葉の圧だけで、超一流の三人を黙らせたのだ。……正直オレも怖かったけど、取りなせるのはオレだけだと、その話しをうやむやにしたら、その日から何となく三人がオレに打ち解けてくれた
 だからその日から、オレの脱退の話はパーティーの中でタブーになった。



 
 だけど、ついに三人は決意してくれた。

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