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第4章 新たな波紋
バルドまでの道のり 【前編】
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道中の車内 ― 飲み物のひととき
ブレイザーの自動操縦に任せ、車内の空気はどこか穏やかだった。
だが、窓の外ではドローンが飛び交い、森の影から現れる魔物を正確に射抜いている。
「よし、ひと段落だな」
翔が腕を組んで頷くと、ブレイザーのカウンターから次々と飲み物が供されてきた。
まず、翔の前には氷がカランと音を立てる アイスコーヒー。
「……くぅっ、冷えてやがる。これがあるだけで気持ちが締まるな」
黒々とした液体を喉へ流し込み、深く息を吐いた。
忍のグラスには透き通る琥珀色の フルーツアイスティー。
オレンジやベリーが浮かび、彩り鮮やかだ。
「わぁ……冷たくて、甘酸っぱい……」
一口含んだ忍は、思わず微笑む。その表情に、カトリーナとエリナも目を輝かせた。
「そんな飲み物、初めて見ました!」
「きれい……まるで宝石みたい」
「日本では夏にこうやって果物を入れて飲むんです。爽やかで飲みやすいんですよ」
忍の説明に、女性陣は興味津々だった。
女性陣の前にも 冷たいアイスティー が並ぶ。
氷の浮かぶ透明なグラスに口をつけた瞬間、目を見開く。
「冷たい……! こんな贅沢なお茶があるなんて……」
その驚きは、昨日同じグラスを見た時よりも鮮明だった。
「昨日は命が助かった安堵の方が勝ってたけど……改めて味わうと、本当にすごい……」
ユリウスとヘルマンの前にも、氷入りの アイスコーヒー が置かれる。
「……冷たい……! しかも、苦いのに爽やかだ」
「ふむ、覚醒するような苦みだな。学者として夜の研究に使えそうだ」
ブルーノは豪快にジョッキを掲げ、 黄金色のビール を一気に流し込む。
「ぷはぁーっ! こりゃたまらん! こんな冷えた酒、飲んだことねぇぞ!」
顔を赤くし、豪快に笑った。
ガルドの手には、ロックグラス。氷の上で琥珀色の バーボン が静かに揺れている。
ひと口含んだ瞬間、目を見開き、そして低く唸った。
「……ここまで美味い酒は飲んだことがない。芳醇で、力強い……」
氷をカランと鳴らしながら、豪快に笑う。
「こんな酒を飲ませてくれるなら、俺はどんな武器でも防具でも作ってやるぞ!」
その言葉に、場が一気に沸き立った。
ヨアヒムは香り高い ホットハーブティー を両手で包み込むようにして飲み、深く息をついた。
「……あぁ、心が落ち着く。体の芯まで温まるな。これなら徹夜で調合もできそうだ」
飲み物の香りと氷の音が混ざり合うブレイザーの車内は、戦場を進んでいるとは思えないほど穏やかで贅沢な空間になっていた。
外ではドローンが魔物を撃ち落とし、魔石や素材を自動回収している。
だが中にいる彼らは、その緊張を一時忘れ、異世界ではあり得ない冷たい飲み物に驚き、舌鼓を打ちながら心を満たしていた。
ロックバード襲来とティータイム
森の奥から轟音とともに現れたのは、ブレイザーに匹敵する巨体を持つロックバード。
その数、十体。翼を羽ばたかせるたびに暴風が巻き起こり、枝葉がちぎれ、地面の砂利が舞い上がる。
「ひ、ひぃ……! あれは……災害級だぞ!?」
ブルーノが椅子から立ち上がりかけ、額に汗を浮かべる。
「軍隊ですら対抗できぬ存在だ……」
ユリウス王子は蒼白な顔で拳を握りしめた。
「こんなのが群れで街に押し寄せたら……!」
エリナは震える声で呟き、幼い子供たちは母親にしがみついて泣きそうな顔をしている。
ロックバードたちが一斉に結界へ突撃した。
巨大な鉤爪が振り下ろされ、鋭い嘴が突き立てられる。地面ごと揺さぶられる衝撃に、避難民たちは絶叫した。
だが――
《結界、正常稼働。損傷ゼロ》
ブレイザーの冷静な報告が響く。
「う、嘘だろ……あの攻撃を受けても揺れ一つしない……!?」
ヘルマンが椅子の背にしがみつきながら目を見開く。
「……守られている……? 私たちは……生きているの?」
カトリーナが呆然と窓を見つめ、胸を押さえた。
そんな中で――
「お、氷が解けてちょうどいい濃さになってきたな」
翔はグラスを軽く傾け、氷入りのアイスコーヒーを喉に流し込む。
「ふふ、私はフルーツアイスティー。さっぱりしてて美味しいです」
忍はにっこりと微笑み、ストローを軽く口に含んだ。
その余裕ぶりに、避難民たちは一瞬言葉を失った。
「し、信じられぬ……あの怪物を前にして、この人たちは……!」
ヨアヒムが呆然と呟く。
「いや……見ろ!」
ガルドが窓を指差す。
ドローン十機が展開し、空を切り裂くように旋回。自動追尾の弾丸が矢のごとく飛び、ロックバードの羽を貫いた。巨体が悲鳴を上げて墜落し、結界の外で地響きを立てる。
「すごい……! ドローンだけで、あの怪鳥を……!」
エリナが両手を口元に当て、目を潤ませる。
「……こりゃ、俺たちの出番はなさそうだな」
翔が肩をすくめる。
「ですね。むしろ落ち着いてお茶を飲んでいた方が効率的です」
忍は微笑みながらティーカップを置き、窓越しに舞い散る羽毛を見つめた。
外の絶望的な光景と、車内の穏やかなティータイム。
その対比が、避難民たちに「守護車」という存在の絶対的な意味を刻み込んでいった。
災害級討伐と新たな力
次々とドローンの弾丸が放たれ、ロックバードたちは次々に絶叫を上げて地へと叩き落とされた。
翼が裂け、鉤爪がもがき、やがてその巨体は動かなくなる。
最後の一体が地に伏した瞬間――
《討伐完了。敵勢力の反応は消失》
ブレイザーの声が冷静に響く。
「……おわったの?」
カトリーナがか細い声で問い、息を呑んだ。
「……たった数分で……あの災害級を……」
ユリウス王子は拳を震わせ、窓の外の惨状を凝視した。
そのとき、翔と忍の前に青白いウィンドウが浮かび上がる。
⸻
【清水翔 LV20 → LV23】
・盾術(初級) → 盾術(中級)
・突撃(初級) → 突撃(中級)
・新スキル獲得:火炎斬撃(初級)
【松田忍 LV20 → LV23】
・敏捷強化魔法(初級) → 敏捷強化魔法(中級)
・魔力強化矢(初級) → 魔力強化矢(中級)
・新スキル獲得:多重詠唱(初級)
【ブレイザー LV15 → LV18】
・ドローン数増加:10機 → 20機
・範囲結界拡張:半径20m → 半径50m
・新兵装:自動追尾ミサイル
⸻
翔は拳を握り、胸の奥に迸る力を感じていた。
「……体が軽い。盾も槍も、今まで以上に扱える……」
忍は自らの魔力の流れを確認し、息を呑む。
「詠唱が……同時に二つ、三つまで組み合わせられる……! これなら翔さんをもっと強く援護できる!」
ブレイザーの声が低く響いた。
《俺の守護能力もさらに進化した。どんな群れが来ても、もはや恐れるに足らん》
⸻
ガルドが思わず立ち上がり、窓の外に目を凝らす。
「おいおい……ロックバード十体分の死骸と素材……! 羽根は魔力を帯びた防具にできるし、肉は王都でも滅多に口にできぬ高級食材だぞ……!」
彼は片手にロックグラスを掲げ、琥珀色のバーボンを一口飲む。
「……こんな上物の酒まである。ははっ……こんな奇跡みたいな場所で、この素材を使って武具を作れるなんて……職人冥利に尽きるぜ!」
その横で、ブルーノが目を丸くする。
「だ、だが本当に食えるのか? あんな怪鳥の肉なんて……」
「食べられるさ」翔はにやりと笑った。
「むしろ最高級だってよ。……なぁ、今夜の晩飯は決まりだな」
避難民たちは驚きと安堵と、そして小さな笑い声を漏らす。
恐怖の象徴であった災害級の魔物が、今は食卓を飾る食材に変わろうとしているのだから。
ブレイザーの自動操縦に任せ、車内の空気はどこか穏やかだった。
だが、窓の外ではドローンが飛び交い、森の影から現れる魔物を正確に射抜いている。
「よし、ひと段落だな」
翔が腕を組んで頷くと、ブレイザーのカウンターから次々と飲み物が供されてきた。
まず、翔の前には氷がカランと音を立てる アイスコーヒー。
「……くぅっ、冷えてやがる。これがあるだけで気持ちが締まるな」
黒々とした液体を喉へ流し込み、深く息を吐いた。
忍のグラスには透き通る琥珀色の フルーツアイスティー。
オレンジやベリーが浮かび、彩り鮮やかだ。
「わぁ……冷たくて、甘酸っぱい……」
一口含んだ忍は、思わず微笑む。その表情に、カトリーナとエリナも目を輝かせた。
「そんな飲み物、初めて見ました!」
「きれい……まるで宝石みたい」
「日本では夏にこうやって果物を入れて飲むんです。爽やかで飲みやすいんですよ」
忍の説明に、女性陣は興味津々だった。
女性陣の前にも 冷たいアイスティー が並ぶ。
氷の浮かぶ透明なグラスに口をつけた瞬間、目を見開く。
「冷たい……! こんな贅沢なお茶があるなんて……」
その驚きは、昨日同じグラスを見た時よりも鮮明だった。
「昨日は命が助かった安堵の方が勝ってたけど……改めて味わうと、本当にすごい……」
ユリウスとヘルマンの前にも、氷入りの アイスコーヒー が置かれる。
「……冷たい……! しかも、苦いのに爽やかだ」
「ふむ、覚醒するような苦みだな。学者として夜の研究に使えそうだ」
ブルーノは豪快にジョッキを掲げ、 黄金色のビール を一気に流し込む。
「ぷはぁーっ! こりゃたまらん! こんな冷えた酒、飲んだことねぇぞ!」
顔を赤くし、豪快に笑った。
ガルドの手には、ロックグラス。氷の上で琥珀色の バーボン が静かに揺れている。
ひと口含んだ瞬間、目を見開き、そして低く唸った。
「……ここまで美味い酒は飲んだことがない。芳醇で、力強い……」
氷をカランと鳴らしながら、豪快に笑う。
「こんな酒を飲ませてくれるなら、俺はどんな武器でも防具でも作ってやるぞ!」
その言葉に、場が一気に沸き立った。
ヨアヒムは香り高い ホットハーブティー を両手で包み込むようにして飲み、深く息をついた。
「……あぁ、心が落ち着く。体の芯まで温まるな。これなら徹夜で調合もできそうだ」
飲み物の香りと氷の音が混ざり合うブレイザーの車内は、戦場を進んでいるとは思えないほど穏やかで贅沢な空間になっていた。
外ではドローンが魔物を撃ち落とし、魔石や素材を自動回収している。
だが中にいる彼らは、その緊張を一時忘れ、異世界ではあり得ない冷たい飲み物に驚き、舌鼓を打ちながら心を満たしていた。
ロックバード襲来とティータイム
森の奥から轟音とともに現れたのは、ブレイザーに匹敵する巨体を持つロックバード。
その数、十体。翼を羽ばたかせるたびに暴風が巻き起こり、枝葉がちぎれ、地面の砂利が舞い上がる。
「ひ、ひぃ……! あれは……災害級だぞ!?」
ブルーノが椅子から立ち上がりかけ、額に汗を浮かべる。
「軍隊ですら対抗できぬ存在だ……」
ユリウス王子は蒼白な顔で拳を握りしめた。
「こんなのが群れで街に押し寄せたら……!」
エリナは震える声で呟き、幼い子供たちは母親にしがみついて泣きそうな顔をしている。
ロックバードたちが一斉に結界へ突撃した。
巨大な鉤爪が振り下ろされ、鋭い嘴が突き立てられる。地面ごと揺さぶられる衝撃に、避難民たちは絶叫した。
だが――
《結界、正常稼働。損傷ゼロ》
ブレイザーの冷静な報告が響く。
「う、嘘だろ……あの攻撃を受けても揺れ一つしない……!?」
ヘルマンが椅子の背にしがみつきながら目を見開く。
「……守られている……? 私たちは……生きているの?」
カトリーナが呆然と窓を見つめ、胸を押さえた。
そんな中で――
「お、氷が解けてちょうどいい濃さになってきたな」
翔はグラスを軽く傾け、氷入りのアイスコーヒーを喉に流し込む。
「ふふ、私はフルーツアイスティー。さっぱりしてて美味しいです」
忍はにっこりと微笑み、ストローを軽く口に含んだ。
その余裕ぶりに、避難民たちは一瞬言葉を失った。
「し、信じられぬ……あの怪物を前にして、この人たちは……!」
ヨアヒムが呆然と呟く。
「いや……見ろ!」
ガルドが窓を指差す。
ドローン十機が展開し、空を切り裂くように旋回。自動追尾の弾丸が矢のごとく飛び、ロックバードの羽を貫いた。巨体が悲鳴を上げて墜落し、結界の外で地響きを立てる。
「すごい……! ドローンだけで、あの怪鳥を……!」
エリナが両手を口元に当て、目を潤ませる。
「……こりゃ、俺たちの出番はなさそうだな」
翔が肩をすくめる。
「ですね。むしろ落ち着いてお茶を飲んでいた方が効率的です」
忍は微笑みながらティーカップを置き、窓越しに舞い散る羽毛を見つめた。
外の絶望的な光景と、車内の穏やかなティータイム。
その対比が、避難民たちに「守護車」という存在の絶対的な意味を刻み込んでいった。
災害級討伐と新たな力
次々とドローンの弾丸が放たれ、ロックバードたちは次々に絶叫を上げて地へと叩き落とされた。
翼が裂け、鉤爪がもがき、やがてその巨体は動かなくなる。
最後の一体が地に伏した瞬間――
《討伐完了。敵勢力の反応は消失》
ブレイザーの声が冷静に響く。
「……おわったの?」
カトリーナがか細い声で問い、息を呑んだ。
「……たった数分で……あの災害級を……」
ユリウス王子は拳を震わせ、窓の外の惨状を凝視した。
そのとき、翔と忍の前に青白いウィンドウが浮かび上がる。
⸻
【清水翔 LV20 → LV23】
・盾術(初級) → 盾術(中級)
・突撃(初級) → 突撃(中級)
・新スキル獲得:火炎斬撃(初級)
【松田忍 LV20 → LV23】
・敏捷強化魔法(初級) → 敏捷強化魔法(中級)
・魔力強化矢(初級) → 魔力強化矢(中級)
・新スキル獲得:多重詠唱(初級)
【ブレイザー LV15 → LV18】
・ドローン数増加:10機 → 20機
・範囲結界拡張:半径20m → 半径50m
・新兵装:自動追尾ミサイル
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翔は拳を握り、胸の奥に迸る力を感じていた。
「……体が軽い。盾も槍も、今まで以上に扱える……」
忍は自らの魔力の流れを確認し、息を呑む。
「詠唱が……同時に二つ、三つまで組み合わせられる……! これなら翔さんをもっと強く援護できる!」
ブレイザーの声が低く響いた。
《俺の守護能力もさらに進化した。どんな群れが来ても、もはや恐れるに足らん》
⸻
ガルドが思わず立ち上がり、窓の外に目を凝らす。
「おいおい……ロックバード十体分の死骸と素材……! 羽根は魔力を帯びた防具にできるし、肉は王都でも滅多に口にできぬ高級食材だぞ……!」
彼は片手にロックグラスを掲げ、琥珀色のバーボンを一口飲む。
「……こんな上物の酒まである。ははっ……こんな奇跡みたいな場所で、この素材を使って武具を作れるなんて……職人冥利に尽きるぜ!」
その横で、ブルーノが目を丸くする。
「だ、だが本当に食えるのか? あんな怪鳥の肉なんて……」
「食べられるさ」翔はにやりと笑った。
「むしろ最高級だってよ。……なぁ、今夜の晩飯は決まりだな」
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