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第5話:核心に触れる、最初の質問
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霧島怜くんの「ドジっ子王子」な一面を発見して以来、私の観察活動は、ますます熱を帯びていた。
彼の完璧な振る舞いの裏に隠された、小さな綻びを見つけるたび、私の「観察日記」のページは、秘密の喜びで満たされていく。
(でも、一番の謎は、やっぱりあの卒業アルバムの写真だ)
私の好奇心は、全ての始まりであるその一点へと、どうしても回帰してしまう。
スクープを狙う新聞部員として、このままではいられない。私はついに、彼に直接、核心に触れる質問をぶつけることを決意した。
放課後、バスケ部の練習に向かう怜くんを、私は廊下で待ち伏せた。
「霧島くん! ちょっとだけ、新聞部の取材、いいかな?」
できるだけ明るく、無邪気な取材者を装う。彼は、一瞬、面倒くさそうな顔をしたが、私が手に持つ「新聞部」の腕章を見ると、小さくため息をついて足を止めた。
「……手短にしろよ」
チャンスだ。私は、あらかじめ用意していた質問を投げかけた。
「うん! まず、バスケ部の次の大会の目標は?」
「全国制覇だ」
「すごい! 怜くん個人としての目標は?」
「チームの勝利に貢献すること。それ以上でも、それ以下でもない」
淀みない、完璧な答え。さすが氷の王子様だ。でも、本題はここから。
私は、会話の流れの中で、まるで今、思いついたかのように、こう尋ねた。
「そっかー。やっぱり目標が高いんだね。……もしかして、中学の時も、バスケやってたの?」
その瞬間、怜くんの周りの空気が、ぴしり、と凍りついたのがわかった。
彼の瞳から、すっと表情が消える。いつもは落ち着き払っているその呼吸が、ほんの一瞬だけ、止まったように見えた。
完璧な氷の仮面が、音を立てて、わずかにひび割れる。その隙間から、彼の隠していた動揺と、鋭い警戒の色が、あふれ出してくる。
(……図星だ。)
彼の反応が、何よりの答えだった。
あの写真は、やっぱり彼なんだ。
すぐに、彼はいつものポーカーフェイスを取り戻した。
「……いや」
短く、低く、彼はそう否定した。
「高校からだ」
そして、彼は、今まで私に向けたことのない、冷たい光を宿した瞳で、私を真っ直ぐに見つめた。
「佐伯」
その声は、私の心の奥底まで見透かすように、静かで、鋭かった。
「お前、俺の何が知りたいんだ?」
私の視線に、彼がとっくに気づいていたことを、私はこの時、初めて知った。
「え、あ、いや……ただの、取材で……」
彼の鋭い問い返しに、私の頭は真っ白になり、しどろもどろな言い訳しか出てこない。
「ふーん」
彼は、意味ありげにそう呟くと、それ以上何も言わずに、私に背を向けて歩き去っていった。
一人、廊下に取り残された私は、まだドキドキと鳴りやまない心臓を押さえた。
彼の、あの動揺した顔。そして、全てを見透かすような、冷たい瞳。
(……少し、怖かった)
でも、それ以上に、たまらないほどのスリルと、燃え上がるような好奇心が、私の全身を駆け巡っていた。
(面白くなってきたじゃない、霧島怜くん)
ただの観察は、もう終わり。
これから始まるのは、彼の秘密を巡る、私と彼との、直接対決だ。
そう思うと、私の唇は、自然と挑戦的な笑みを浮かべていた。
彼の完璧な振る舞いの裏に隠された、小さな綻びを見つけるたび、私の「観察日記」のページは、秘密の喜びで満たされていく。
(でも、一番の謎は、やっぱりあの卒業アルバムの写真だ)
私の好奇心は、全ての始まりであるその一点へと、どうしても回帰してしまう。
スクープを狙う新聞部員として、このままではいられない。私はついに、彼に直接、核心に触れる質問をぶつけることを決意した。
放課後、バスケ部の練習に向かう怜くんを、私は廊下で待ち伏せた。
「霧島くん! ちょっとだけ、新聞部の取材、いいかな?」
できるだけ明るく、無邪気な取材者を装う。彼は、一瞬、面倒くさそうな顔をしたが、私が手に持つ「新聞部」の腕章を見ると、小さくため息をついて足を止めた。
「……手短にしろよ」
チャンスだ。私は、あらかじめ用意していた質問を投げかけた。
「うん! まず、バスケ部の次の大会の目標は?」
「全国制覇だ」
「すごい! 怜くん個人としての目標は?」
「チームの勝利に貢献すること。それ以上でも、それ以下でもない」
淀みない、完璧な答え。さすが氷の王子様だ。でも、本題はここから。
私は、会話の流れの中で、まるで今、思いついたかのように、こう尋ねた。
「そっかー。やっぱり目標が高いんだね。……もしかして、中学の時も、バスケやってたの?」
その瞬間、怜くんの周りの空気が、ぴしり、と凍りついたのがわかった。
彼の瞳から、すっと表情が消える。いつもは落ち着き払っているその呼吸が、ほんの一瞬だけ、止まったように見えた。
完璧な氷の仮面が、音を立てて、わずかにひび割れる。その隙間から、彼の隠していた動揺と、鋭い警戒の色が、あふれ出してくる。
(……図星だ。)
彼の反応が、何よりの答えだった。
あの写真は、やっぱり彼なんだ。
すぐに、彼はいつものポーカーフェイスを取り戻した。
「……いや」
短く、低く、彼はそう否定した。
「高校からだ」
そして、彼は、今まで私に向けたことのない、冷たい光を宿した瞳で、私を真っ直ぐに見つめた。
「佐伯」
その声は、私の心の奥底まで見透かすように、静かで、鋭かった。
「お前、俺の何が知りたいんだ?」
私の視線に、彼がとっくに気づいていたことを、私はこの時、初めて知った。
「え、あ、いや……ただの、取材で……」
彼の鋭い問い返しに、私の頭は真っ白になり、しどろもどろな言い訳しか出てこない。
「ふーん」
彼は、意味ありげにそう呟くと、それ以上何も言わずに、私に背を向けて歩き去っていった。
一人、廊下に取り残された私は、まだドキドキと鳴りやまない心臓を押さえた。
彼の、あの動揺した顔。そして、全てを見透かすような、冷たい瞳。
(……少し、怖かった)
でも、それ以上に、たまらないほどのスリルと、燃え上がるような好奇心が、私の全身を駆け巡っていた。
(面白くなってきたじゃない、霧島怜くん)
ただの観察は、もう終わり。
これから始まるのは、彼の秘密を巡る、私と彼との、直接対決だ。
そう思うと、私の唇は、自然と挑戦的な笑みを浮かべていた。
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