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第17話:恋だと気づいた日
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「――可愛い」
ハロウィンの夜、怜くんに言われたその一言が、甘い魔法のようにずっと私の心に残り続けていた。
あれ以来、教室で彼と目が合うたびに、あの夜の、二人して真っ赤になった気まずい空気が蘇り、お互いに慌てて視線を逸らしてしまう。そのぎこちなさが、なんだかむず痒くて、でも、たまらなく幸せだった。
私の「観察日記」は、もう完全に「恋日記」へと姿を変えていた。
彼のドジな一面を書き留めるよりも、彼に言われた言葉や、見せてくれた優しい表情を、何度も何度も反芻しては、一人で顔を赤くしている。
(もう、認めちゃおう。私は、霧島怜くんのことが、好きなんだ)
その自覚は、私の日常を、昨日までとは全く違う、キラキラとしたものに変えてくれた。
そんなある日の昼休み。
私は、屋上で一人、お弁当を食べていた。怜くんも、時々ここで一人で過ごしていることを、私は知っている。今日も会えるかな、なんて、淡い期待を抱きながら。
「……やっぱり、ここにいたのか」
期待通りに現れた彼の声に、私の心臓が、とくん、と嬉しそうに跳ねた。
彼は、私の隣に、ごく自然に腰を下ろす。もう、それが当たり前になっていることが、嬉しかった。
「陽菜」
「ん?」
「……この前のパーティー、その……悪かったな」
「え、何が?」
「玲奈のこと、断ったり……。お前を、勝手に連れ出したりして」
彼は、少し気まずそうに、私のことではなく、遠くの空を見つめながら言った。
「ううん、全然! むしろ、嬉しかったよ。……助けてくれて、ありがとう」
私が素直な気持ちを伝えると、彼は少しだけ驚いたように私を見た後、ふっと、柔らかく微笑んだ。
その笑顔に、また私の心臓が大きく鳴る。
私は、この気持ちを、もう隠しておけない、と思った。
「ねえ、怜くん」
「……なんだ」
「私ね、怜くんのこと、最初は、ただの面白いスクープ対象としか思ってなかったんだ」
「……知ってる」
「でも、今は違うの」
私は、一度、大きく息を吸った。震えそうな声を、必死で押さえつける。
「怜くんの、バスケに一生懸命なところも、本当はすごく優しいところも、女子に囲まれて、すぐ耳が赤くなっちゃうところも、時々、盛大にドジするところも……」
私は、彼の目を、真っ直ぐに見つめて言った。
「ぜんぶ、ぜんぶ、大好きだよ」
それは、私の、精一杯の告白だった。
彼の瞳が、信じられないものを見るように、大きく見開かれる。彼の周りの、完璧な氷の仮面が、音を立てて、完全に砕け散った瞬間だった。
長い、長い沈黙。
秋の風だけが、ひゅう、と私たちの間を吹き抜けていく。
(……ダメだったかな)
あまりにもストレートに伝えすぎたかもしれない。そう思って、俯きかけた、その時。
「……俺も、だよ」
消え入りそうな、でも、確かにそう聞こえた。
「え……?」
「だから、俺も……陽菜のことが、好きだ、って言ってるんだ」
彼は、顔を真っ赤にしながら、それでも、必死に私から視線を逸らさずに、そう言ってくれた。
信じられなかった。
私の、一方的な片思いだと思っていたのに。
嬉しくて、胸がいっぱいで、涙が、ぽろぽろと溢れ出す。
「……なんで、泣くんだよ」
彼は、慌てたように、でも、とても優しい手つきで、私の涙をそっと拭ってくれた。
「だって、嬉しいんだもん……」
私たちは、見つめ合ったまま、どちらからともなく、ふふっと笑い出した。
秘密の観察から始まった、私の恋。
それは今日、確かに、二人で紡ぐ、恋の物語へと、その姿を変えたのだ。
ハロウィンの夜、怜くんに言われたその一言が、甘い魔法のようにずっと私の心に残り続けていた。
あれ以来、教室で彼と目が合うたびに、あの夜の、二人して真っ赤になった気まずい空気が蘇り、お互いに慌てて視線を逸らしてしまう。そのぎこちなさが、なんだかむず痒くて、でも、たまらなく幸せだった。
私の「観察日記」は、もう完全に「恋日記」へと姿を変えていた。
彼のドジな一面を書き留めるよりも、彼に言われた言葉や、見せてくれた優しい表情を、何度も何度も反芻しては、一人で顔を赤くしている。
(もう、認めちゃおう。私は、霧島怜くんのことが、好きなんだ)
その自覚は、私の日常を、昨日までとは全く違う、キラキラとしたものに変えてくれた。
そんなある日の昼休み。
私は、屋上で一人、お弁当を食べていた。怜くんも、時々ここで一人で過ごしていることを、私は知っている。今日も会えるかな、なんて、淡い期待を抱きながら。
「……やっぱり、ここにいたのか」
期待通りに現れた彼の声に、私の心臓が、とくん、と嬉しそうに跳ねた。
彼は、私の隣に、ごく自然に腰を下ろす。もう、それが当たり前になっていることが、嬉しかった。
「陽菜」
「ん?」
「……この前のパーティー、その……悪かったな」
「え、何が?」
「玲奈のこと、断ったり……。お前を、勝手に連れ出したりして」
彼は、少し気まずそうに、私のことではなく、遠くの空を見つめながら言った。
「ううん、全然! むしろ、嬉しかったよ。……助けてくれて、ありがとう」
私が素直な気持ちを伝えると、彼は少しだけ驚いたように私を見た後、ふっと、柔らかく微笑んだ。
その笑顔に、また私の心臓が大きく鳴る。
私は、この気持ちを、もう隠しておけない、と思った。
「ねえ、怜くん」
「……なんだ」
「私ね、怜くんのこと、最初は、ただの面白いスクープ対象としか思ってなかったんだ」
「……知ってる」
「でも、今は違うの」
私は、一度、大きく息を吸った。震えそうな声を、必死で押さえつける。
「怜くんの、バスケに一生懸命なところも、本当はすごく優しいところも、女子に囲まれて、すぐ耳が赤くなっちゃうところも、時々、盛大にドジするところも……」
私は、彼の目を、真っ直ぐに見つめて言った。
「ぜんぶ、ぜんぶ、大好きだよ」
それは、私の、精一杯の告白だった。
彼の瞳が、信じられないものを見るように、大きく見開かれる。彼の周りの、完璧な氷の仮面が、音を立てて、完全に砕け散った瞬間だった。
長い、長い沈黙。
秋の風だけが、ひゅう、と私たちの間を吹き抜けていく。
(……ダメだったかな)
あまりにもストレートに伝えすぎたかもしれない。そう思って、俯きかけた、その時。
「……俺も、だよ」
消え入りそうな、でも、確かにそう聞こえた。
「え……?」
「だから、俺も……陽菜のことが、好きだ、って言ってるんだ」
彼は、顔を真っ赤にしながら、それでも、必死に私から視線を逸らさずに、そう言ってくれた。
信じられなかった。
私の、一方的な片思いだと思っていたのに。
嬉しくて、胸がいっぱいで、涙が、ぽろぽろと溢れ出す。
「……なんで、泣くんだよ」
彼は、慌てたように、でも、とても優しい手つきで、私の涙をそっと拭ってくれた。
「だって、嬉しいんだもん……」
私たちは、見つめ合ったまま、どちらからともなく、ふふっと笑い出した。
秘密の観察から始まった、私の恋。
それは今日、確かに、二人で紡ぐ、恋の物語へと、その姿を変えたのだ。
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