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第31話:優勝のご褒美と、冬の約束
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新人戦での劇的な優勝から数日。
星陵高校は、すっかりお祭り騒ぎだった。新聞部が発行した優勝記念の号外は、瞬く間になくなり、廊下を歩けば、誰もがバスケ部の活躍を讃えている。
その中心にいる怜くんは、どこか照れくさそうにしながらも、クラスメイトからの祝福を、以前よりずっと、素直に受け止めているようだった。
「いやー、マジで、昨日の怜は神だったな!」
「陽菜の応援のおかげでもあるけどね!」
昼休み、悠斗と美咲が、まるで自分のことのように、興奮冷めやらぬ様子で話している。
私は、そんな二人を見ながら、幸せな気持ちで、お弁当を頬張っていた。
放課後、部室の片付けを終えた私を、怜くんが、教室で待っていてくれた。
もう、それが、私たちの、当たり前の日常になっている。
「行こうか」
「うん」
二人で並んで、夕暮れの廊下を歩く。彼の隣は、世界で一番、安心できる場所だ。
校門を出たところで、怜くんが、ふと、足を止めた。
「……陽菜」
「ん?」
「今度の日曜日、空いてるか」
その、少しだけ改まった口調に、私の心臓が、とくん、と跳ねる。
「うん、空いてるよ」
「……優勝の、お礼がしたい。お前がいなかったら、俺、多分、またダメだったから」
彼は、真っ直ぐに私を見つめて、言った。
「だから、その……ご褒美、させてほしい」
ご褒美。
その、あまりにも甘い響きに、私の顔が、カッと熱くなる。
「……どこか、行きたいところ、あるか?」
彼の問いに、私は、少しだけ考えて、そして、思いっきり、背伸びをしたお願いをしてみることにした。
「……水族館、行きたいな」
冬の、キラキラした水族館。それは、私が、ずっと、恋人と行きたいと思っていた、憧れの場所だった。
私の答えに、彼は、少しだけ驚いたように目を見開いた後、心から、優しく微笑んだ。
「わかった。じゃあ、日曜、水族館な」
約束の日曜日。
私たちは、少しだけお洒落をして、駅で待ち合わせた。
冬の澄んだ光が降り注ぐ水族館は、幻想的で、ロマンチックな雰囲気に満ちていた。
大きな水槽の前で、優雅に泳ぐ魚たちを、二人で並んで眺める。
暗い館内で、彼の手が、私の手に、そっと触れた。驚いて彼を見ると、彼は、何でもないような顔で、水槽の向こうを見つめている。でも、その耳は、ほんのりと赤く染まっていた。
ペンギンのコーナーで、よちよちと歩く、可愛らしい姿に、私が「可愛い!」と声を上げると、彼は、ペンギンではなく、私の顔をじっと見て、「……ああ」と、相槌を打った。
その、優しい眼差しに、私の心臓は、もう、ずっと、鳴りっぱなしだった。
水族館を出て、私たちは、海沿いの公園のベンチに座った。
冷たい潮風が、心地いい。
「……楽しかったな」
彼が、ぽつりと、そう言った。
「うん! すっごく、楽しかった! 連れてきてくれて、ありがとう」
私が、心からの気持ちを伝えると、彼は、少しだけ、真剣な顔になった。
「陽菜」
「はい」
「……俺、お前に、ちゃんと、伝えないといけないことがある」
その、改まった雰囲気に、私は、ゴクリと唾を飲み込んだ。
彼は、私の手を、両手で、優しく包み込む。
「俺、バスケ、本気でやりたい。将来、海外の大学に行って、もっと、強くなりたい」
それは、彼の、大きな、大きな夢だった。
「……うん」
「だから……もしかしたら、遠距離に、なるかもしれない。……それでも、いいか?」
彼の、不安そうな、でも、真剣な瞳。
私は、彼の夢を、世界で一番、応援したい。
「当たり前だよ!」
私は、彼の手に、力を込めた。
「怜くんの夢、私が、一番に応援する! 遠距離なんて、へっちゃらだよ!」
私の力強い言葉に、彼は、心の底から、ホッとしたように、息を吐いた。
そして、彼は、私の首にかけていたマフラーを、優しく、巻き直してくれた。
「……ありがとう、陽菜」
その距離の近さに、ドキドキしながら、私は、彼の瞳を見つめ返す。
彼の顔が、ゆっくりと、近づいてくる。
私は、そっと、目を閉じた。
冬の海風の中で、交わしたキスは、少しだけ、しょっぱい味がした。
でも、それは、私たちの未来を誓う、どこまでも、甘くて、温かい、約束の味だった。
星陵高校は、すっかりお祭り騒ぎだった。新聞部が発行した優勝記念の号外は、瞬く間になくなり、廊下を歩けば、誰もがバスケ部の活躍を讃えている。
その中心にいる怜くんは、どこか照れくさそうにしながらも、クラスメイトからの祝福を、以前よりずっと、素直に受け止めているようだった。
「いやー、マジで、昨日の怜は神だったな!」
「陽菜の応援のおかげでもあるけどね!」
昼休み、悠斗と美咲が、まるで自分のことのように、興奮冷めやらぬ様子で話している。
私は、そんな二人を見ながら、幸せな気持ちで、お弁当を頬張っていた。
放課後、部室の片付けを終えた私を、怜くんが、教室で待っていてくれた。
もう、それが、私たちの、当たり前の日常になっている。
「行こうか」
「うん」
二人で並んで、夕暮れの廊下を歩く。彼の隣は、世界で一番、安心できる場所だ。
校門を出たところで、怜くんが、ふと、足を止めた。
「……陽菜」
「ん?」
「今度の日曜日、空いてるか」
その、少しだけ改まった口調に、私の心臓が、とくん、と跳ねる。
「うん、空いてるよ」
「……優勝の、お礼がしたい。お前がいなかったら、俺、多分、またダメだったから」
彼は、真っ直ぐに私を見つめて、言った。
「だから、その……ご褒美、させてほしい」
ご褒美。
その、あまりにも甘い響きに、私の顔が、カッと熱くなる。
「……どこか、行きたいところ、あるか?」
彼の問いに、私は、少しだけ考えて、そして、思いっきり、背伸びをしたお願いをしてみることにした。
「……水族館、行きたいな」
冬の、キラキラした水族館。それは、私が、ずっと、恋人と行きたいと思っていた、憧れの場所だった。
私の答えに、彼は、少しだけ驚いたように目を見開いた後、心から、優しく微笑んだ。
「わかった。じゃあ、日曜、水族館な」
約束の日曜日。
私たちは、少しだけお洒落をして、駅で待ち合わせた。
冬の澄んだ光が降り注ぐ水族館は、幻想的で、ロマンチックな雰囲気に満ちていた。
大きな水槽の前で、優雅に泳ぐ魚たちを、二人で並んで眺める。
暗い館内で、彼の手が、私の手に、そっと触れた。驚いて彼を見ると、彼は、何でもないような顔で、水槽の向こうを見つめている。でも、その耳は、ほんのりと赤く染まっていた。
ペンギンのコーナーで、よちよちと歩く、可愛らしい姿に、私が「可愛い!」と声を上げると、彼は、ペンギンではなく、私の顔をじっと見て、「……ああ」と、相槌を打った。
その、優しい眼差しに、私の心臓は、もう、ずっと、鳴りっぱなしだった。
水族館を出て、私たちは、海沿いの公園のベンチに座った。
冷たい潮風が、心地いい。
「……楽しかったな」
彼が、ぽつりと、そう言った。
「うん! すっごく、楽しかった! 連れてきてくれて、ありがとう」
私が、心からの気持ちを伝えると、彼は、少しだけ、真剣な顔になった。
「陽菜」
「はい」
「……俺、お前に、ちゃんと、伝えないといけないことがある」
その、改まった雰囲気に、私は、ゴクリと唾を飲み込んだ。
彼は、私の手を、両手で、優しく包み込む。
「俺、バスケ、本気でやりたい。将来、海外の大学に行って、もっと、強くなりたい」
それは、彼の、大きな、大きな夢だった。
「……うん」
「だから……もしかしたら、遠距離に、なるかもしれない。……それでも、いいか?」
彼の、不安そうな、でも、真剣な瞳。
私は、彼の夢を、世界で一番、応援したい。
「当たり前だよ!」
私は、彼の手に、力を込めた。
「怜くんの夢、私が、一番に応援する! 遠距離なんて、へっちゃらだよ!」
私の力強い言葉に、彼は、心の底から、ホッとしたように、息を吐いた。
そして、彼は、私の首にかけていたマフラーを、優しく、巻き直してくれた。
「……ありがとう、陽菜」
その距離の近さに、ドキドキしながら、私は、彼の瞳を見つめ返す。
彼の顔が、ゆっくりと、近づいてくる。
私は、そっと、目を閉じた。
冬の海風の中で、交わしたキスは、少しだけ、しょっぱい味がした。
でも、それは、私たちの未来を誓う、どこまでも、甘くて、温かい、約束の味だった。
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