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本編 第二部
ep.33 裁きの鉄槌
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ザハーク「殿下、今こそ逆賊どもに裁きの鉄槌を…!
手始めに、そうですな…いまだ塔が2棟も稼働しているヴァナヘイムあたりを標的に…」
ルーシェ「…ザハーク…私達の目的は虐殺ではないのですよ?
…それに、今に至ってはミシェルの救出が最優先…
遺跡の入手は副次的なものに過ぎません。」
ザハーク「…御意。
…とは言え、威嚇であれ我々が手にした力を世界に知らしめる事は、他国に対する抑止力にもなるかと愚考しますが…?」
ルーシェ「…いいでしょう…ならば標的は…
一方、ミシェルの魔法による助力を得て、父・オーディンを追い詰めるまでに至ったラグナだったが…
「一体どこに撃つ気なんだ…⁉︎
ルーシェ姫…!」
「…3・2・1・0!」
カウントダウンが終わると同時に衝撃と轟音・振動が船内に伝わる。
オーディン「……」
ラグナ「なぜ貴方はそう落ち着いていられるんですか⁉︎
何を知ってるんですか⁉︎」
オーディン「……
そこの娘の協力を得られなかった際の副案として、帝国を利用した。」
「‼︎
…じゃあ本当に…シェイミーさんが言ってた通り、貴方達の掌で踊らされてるだけだって言うのか…あの帝国が…⁉︎」
動揺するラグナを、ミシェルは強い意志を秘めた瞳で見つめ、言った。
「…ラグナ君。
ルーシェ姫達の所に行きましょう。」
ラグナ「⁉︎…で、でも…」
ルーシェ「ルーシェ姫達が私を助ける為にここに来たのなら、彼女達を置いて私だけ逃げるなんて出来ない…!
みんなで一緒にここを出ましょう…!」
ラグナ「…わかりました。
…僕が必ず、みんなを守り抜きます…!
行きましょう!」
ミシェル「えぇ…!
お願いカーバンクル、私達をルーシェ姫の元へ導いて!」
かくして2人は、カーバンクルの導きに従い艦橋を目指す。
これまで雑兵としか遭遇しなかったが、一転して、アースガルド騎士団による厳重な警備が敷かれる。
ラグナ「僕達も、聖獣の封印を解いて船を起動させる為に、今まで泳がされてたって事か…!
だとしたら、ルーシェ姫達も危ない…!」
その頃、外の陽動チームは…
リリィ「…撃っ…ちゃった…
あれが裁きの鉄槌…⁉︎」
ラン「でも、狙いはどこ?…いったい誰が…?」
シェイミー「あれがアグエル文明の遺物である以上、動かせるのはミシェルさんかルーシェ姫だけのはずだけど…」
ラン「船が浮上した今、もう地上から増援される事は無い…
アタシらも行こう!」
「オッケー!」
そう言ってリリィが合図すると、翼ある豹が飛来した。
3人はそれに騎乗し、浮上したヴィマーナへと向かう。
再びヴィマーナ艦橋…
壁面に張り巡らされたガラス板には、浮上した船の真下に広がるニフルヘイムの雪原ではなく、遥か南方…ヴァナヘイムとムスペルヘイムの国境にある断層地帯が映し出されている。
そこはかつて、魔法石の鉱脈が発見され帝国が制圧するも、内通者によって魔法石は新興国に渡った。
複雑だった地形は跡形もなく削り取られ、平坦な焦土と化してもうもうと煙を上げている。
ザハーク「…なるほど、確かにあそこはもはや廃坑同然。
友軍も撤退し、戦略的価値も無い。」
「…すげぇ…コレなら新興国の奴らだって、手も足も…
イリアが言いかけた次の瞬間…
「そこまでだ‼︎」
アースガルド兵が大挙して艦橋に押し寄せた。
「下がりなさい…‼︎
この船は既に我らが手中…!
下がらねば…次はアースガルド首都を焼く…‼︎」
毅然として言い放つルーシェの前に、騎士団もたじろいだが…
「やってみろや!
ハッタリかましてもホントはもう、そんな魔力残ってねぇんだろォ⁉︎」
貴族出身者から成る騎士団の後方から、それには似つかわぬ口調で指摘する声が上がる。
イリア「…テメェ!」
ゼル「パズズ…!」
「オラァ、ビビってんじゃねぇ、お前ら!」
パズズの言葉に促され、再び詰め寄る騎士団に、ゼルとイリアが応戦するが、多勢に無勢の戦況に魔法の多用を余儀なくされる。
ルーシェ「おやめなさい…魔法は…‼︎」
パズズ「ヒャハハハハ…‼︎
だったら撃ってみろよ、首都に、裁きの鉄槌をよぉ‼︎」
「パズズ…貴様ァァァ‼︎」
怒り心頭のゼルは、渾身の魔法剣で騎士団を焼き払った。
パズズ「(流石、帝国魔導師のエース…なり振り構わず魔法を使われたら、意図的異形化しても厳しいか…?)
くっ…ククク…
そろそろ助けてくださいよ…黙って見てないでさぁ…」
イリア「…?
誰に言ってんだ?
みんな倒しちまったぜ?」
ゼル「命乞いなど聞かんぞ。
貴様は絶対に許さん…!」
「やれやれ…想定はしてたけど、名残り惜しいなぁ…『成功例』を手放すのは。」
その声は、ゼルとイリアの背後…聖剣が突き立てられた祭壇の方から聞こえた。
「!⁉︎」
2人が振り返ると、ルーシェの首筋にナイフを突きつけていたのは…
「…ど、どういうつもりですの…⁉︎
ザハーク…‼︎」
続く…
手始めに、そうですな…いまだ塔が2棟も稼働しているヴァナヘイムあたりを標的に…」
ルーシェ「…ザハーク…私達の目的は虐殺ではないのですよ?
…それに、今に至ってはミシェルの救出が最優先…
遺跡の入手は副次的なものに過ぎません。」
ザハーク「…御意。
…とは言え、威嚇であれ我々が手にした力を世界に知らしめる事は、他国に対する抑止力にもなるかと愚考しますが…?」
ルーシェ「…いいでしょう…ならば標的は…
一方、ミシェルの魔法による助力を得て、父・オーディンを追い詰めるまでに至ったラグナだったが…
「一体どこに撃つ気なんだ…⁉︎
ルーシェ姫…!」
「…3・2・1・0!」
カウントダウンが終わると同時に衝撃と轟音・振動が船内に伝わる。
オーディン「……」
ラグナ「なぜ貴方はそう落ち着いていられるんですか⁉︎
何を知ってるんですか⁉︎」
オーディン「……
そこの娘の協力を得られなかった際の副案として、帝国を利用した。」
「‼︎
…じゃあ本当に…シェイミーさんが言ってた通り、貴方達の掌で踊らされてるだけだって言うのか…あの帝国が…⁉︎」
動揺するラグナを、ミシェルは強い意志を秘めた瞳で見つめ、言った。
「…ラグナ君。
ルーシェ姫達の所に行きましょう。」
ラグナ「⁉︎…で、でも…」
ルーシェ「ルーシェ姫達が私を助ける為にここに来たのなら、彼女達を置いて私だけ逃げるなんて出来ない…!
みんなで一緒にここを出ましょう…!」
ラグナ「…わかりました。
…僕が必ず、みんなを守り抜きます…!
行きましょう!」
ミシェル「えぇ…!
お願いカーバンクル、私達をルーシェ姫の元へ導いて!」
かくして2人は、カーバンクルの導きに従い艦橋を目指す。
これまで雑兵としか遭遇しなかったが、一転して、アースガルド騎士団による厳重な警備が敷かれる。
ラグナ「僕達も、聖獣の封印を解いて船を起動させる為に、今まで泳がされてたって事か…!
だとしたら、ルーシェ姫達も危ない…!」
その頃、外の陽動チームは…
リリィ「…撃っ…ちゃった…
あれが裁きの鉄槌…⁉︎」
ラン「でも、狙いはどこ?…いったい誰が…?」
シェイミー「あれがアグエル文明の遺物である以上、動かせるのはミシェルさんかルーシェ姫だけのはずだけど…」
ラン「船が浮上した今、もう地上から増援される事は無い…
アタシらも行こう!」
「オッケー!」
そう言ってリリィが合図すると、翼ある豹が飛来した。
3人はそれに騎乗し、浮上したヴィマーナへと向かう。
再びヴィマーナ艦橋…
壁面に張り巡らされたガラス板には、浮上した船の真下に広がるニフルヘイムの雪原ではなく、遥か南方…ヴァナヘイムとムスペルヘイムの国境にある断層地帯が映し出されている。
そこはかつて、魔法石の鉱脈が発見され帝国が制圧するも、内通者によって魔法石は新興国に渡った。
複雑だった地形は跡形もなく削り取られ、平坦な焦土と化してもうもうと煙を上げている。
ザハーク「…なるほど、確かにあそこはもはや廃坑同然。
友軍も撤退し、戦略的価値も無い。」
「…すげぇ…コレなら新興国の奴らだって、手も足も…
イリアが言いかけた次の瞬間…
「そこまでだ‼︎」
アースガルド兵が大挙して艦橋に押し寄せた。
「下がりなさい…‼︎
この船は既に我らが手中…!
下がらねば…次はアースガルド首都を焼く…‼︎」
毅然として言い放つルーシェの前に、騎士団もたじろいだが…
「やってみろや!
ハッタリかましてもホントはもう、そんな魔力残ってねぇんだろォ⁉︎」
貴族出身者から成る騎士団の後方から、それには似つかわぬ口調で指摘する声が上がる。
イリア「…テメェ!」
ゼル「パズズ…!」
「オラァ、ビビってんじゃねぇ、お前ら!」
パズズの言葉に促され、再び詰め寄る騎士団に、ゼルとイリアが応戦するが、多勢に無勢の戦況に魔法の多用を余儀なくされる。
ルーシェ「おやめなさい…魔法は…‼︎」
パズズ「ヒャハハハハ…‼︎
だったら撃ってみろよ、首都に、裁きの鉄槌をよぉ‼︎」
「パズズ…貴様ァァァ‼︎」
怒り心頭のゼルは、渾身の魔法剣で騎士団を焼き払った。
パズズ「(流石、帝国魔導師のエース…なり振り構わず魔法を使われたら、意図的異形化しても厳しいか…?)
くっ…ククク…
そろそろ助けてくださいよ…黙って見てないでさぁ…」
イリア「…?
誰に言ってんだ?
みんな倒しちまったぜ?」
ゼル「命乞いなど聞かんぞ。
貴様は絶対に許さん…!」
「やれやれ…想定はしてたけど、名残り惜しいなぁ…『成功例』を手放すのは。」
その声は、ゼルとイリアの背後…聖剣が突き立てられた祭壇の方から聞こえた。
「!⁉︎」
2人が振り返ると、ルーシェの首筋にナイフを突きつけていたのは…
「…ど、どういうつもりですの…⁉︎
ザハーク…‼︎」
続く…
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