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後は、オレに任せて
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「トラエル伯爵子息。エリーゼにはやりたいことがあるんだって、よかったね。だって婚約解消後の心配はしなくてもいいから」
自分の世界に入っているエリーゼの代わりにギルバードが対応する。
「オレは聞いていない」
ギルバードの嫌味のような言葉にいら立ちを隠せない。
「お話をしたことはありますよ。クラウス様は全く興味がないみたいでしたけど」
あの時は結婚したらこれだけはやりといとお願いをした。だが、片方の耳から片方の耳へ瞬間で抜けていったようだった。
「そ、それは! ああ! あのことか?」
危険極まりない魔石が置かれた地帯へ花を見に行くという。
「誰がそんなもの真面目に聞くものか!」
戦いを生業にしている者でさえも避けるというか、入れない場所に女一人でなにができると流していた。
「親しい人なら皆知っています」
無謀な計画でもいずれ行きたいという切なる思いを。
「もうどうでもよろしいのでは? エリーゼ様のこの後のことなんて」
一向に「婚約は解消だ!」と宣言してくれないクラウスにイラートが痺れを切らせた。
「私たちにもやることがいっぱいですわ」
クラウスの腕に自分の手をかける。
「イラート、黙っててくれないか。これはオレと」
「エリーゼ様が婚約解消はいいとおっしゃっているんですよ」
クラウスの声を遮る。
「もうここにはいたくありません」
「そうですわね」
たまたまイラートと視線が合ったバレリレイトが顔を大きく動かし驚愕する。
「あ」
野次馬がますます増えてきていた。
バレリレイトの声に皆反応した。このままではさらし者だと。
「エリーゼ、後でクロスフォード家に連絡を入れるから」
クラウスは引きずられるようにしてイラートに連れて行かれた。
「エルファス公爵令嬢」
最後尾を歩くバレリレイトにギルバードは声をかけた。
「何ですか?」
迷惑そうに振り向く。
「王弟殿下のことだけど、素直に諦めてくれ」
「な!」
思わぬ名前に驚く。
「関係のないあなたにそのようなことを言われるなんて、失礼では?」
「だって、彼の気持ちは変わらないから」
「どうしてあなたがそのようなことを?」
不快感が増してくる。
「親の力をごり押しさせたり、関係のない者を脅したりとかね。やめた方がいいよ。余計に印象が悪くなるから」
「し、失礼過ぎますわよ」
顔を赤らめ唸り出した。
あまり知られたくないことをどうして知っいるのかと。
王弟から苦情がきていると聞いていた。
「あ、あなたこそ、エリーゼ様のことを急いだほうがいいですわよ」
話題を急いで変える。
「婚約解消が公けになれば王弟殿下も動かれるでしょうから。そうなればあなたに勝ち目はないですわ」
「そうだね」
「でしたら、努力しなさいよ」
「正攻法でがんばるから、邪魔しないでね」
ギルバードはさりげなく目にかかる髪を左手でかき上げた。
「あ!」
バレリレイトは両手を口に当てた。
真っ青な瞳に髪を上げた時にピアスが見えた。
「私は……」
目から涙が溢れてくる。
「そういうことだから」
秘密ねと右の人差し指を自分の口に当てる。
「どうされましたの?」
バレリレイトが立ち止まっているのに気付いた令嬢の一人が戻ってきた。
「いえ、早く戻りましょう」
バレリレイトは涙をさっと指でぬぐい顔を下に向けて令嬢の元へ駆けていった。
野次馬の視線も痛かった。
「ギル様!」
エリーゼとギルバードも逃げるように移動した。
今は関係者しか入れない王立薬草研究所の中にある道具保管庫にいる。
「いくら私のことを助けようとしたとはいえ、あんな嘘はいけません」
エリーゼは怒っていた。
「あれ、オレの本心」
「本心って、私と知り合ってからそう日数がたってないですよね」
ずっとと言っていた。
ここで会ってまだ半年ほどしかたってない。その間婚約を考えてくれるほど親しくはなっていないはず。
「一目惚れだから」
「それは一時の気の迷いが起こす感覚とお兄様が前に言ってました」
真面目に答えないギルバードにむっとした顔を向けた。
「そんなこともあるだろうけど。オレのは本物。子供の頃から続いているんだ」
「本物って……」
「リゼには婚約者がいたからぐっと押し殺していただけ。でも解消はしてくれるとは、ついてるよ!」
満面の笑顔で距離を詰めてくる。
「私、子供の頃にギル様にお会いしたことがありましたか?」
「十一年前にハリソン領で」
「え!」
エリーゼは固まる。
心当たりはあるが、違い過ぎる。
「オレが十歳でリゼが六歳の時」
思い出してと真正面に立ち頭一つ低いエリーゼの顔を覗き込む。
「近いです」
鼻がすれすれに当たる程近付けられて、おでこを両手で押し返す。
「遅くなったけど、あの白い花を見に行こう。約束の場所にはまだ危険で行けないけど、今安全に見れる場所は見付けたから」
ギルバードは誘ってきた。
「まさかあの男の子なんですか?」
ハリソン領近くに花を見に行きたいとギルバードに話したことはあったが、それが白い花だとは言ったことはないし、その少年と会った時期もあっている。
「そうだよ」
言いながら髪に手をかけ、ずるりとか髪を落とす。
「はちみつ色!」
思い出の少年の髪の色。
「どうして鬘なんて?」
「ちょっと事情があってね」
じっと見つめるエリーゼに笑いかけまた距離を詰める。
「約束を覚えていてくれて嬉しいよ」
「あ、あの話をした時にどうして自分がそうだとおっしゃってくれなかったのですか?」
「リゼの立場がね」
連れて行くことはできるが、それをすることはエリーゼのためにはならないと判断していた。
婚約者やその家がどう思うか。
「けど、自由になったね」
「まだ正式に解消になってないですよ」
どこか不安そうだった。
これを未練と感じたギルバードは焦る。
「リゼは婚約解消をしたくないの?」
「したいです」
「じゃあ?」
ならば喜べばいいと思うが、様子は違う。
自分の世界に入っているエリーゼの代わりにギルバードが対応する。
「オレは聞いていない」
ギルバードの嫌味のような言葉にいら立ちを隠せない。
「お話をしたことはありますよ。クラウス様は全く興味がないみたいでしたけど」
あの時は結婚したらこれだけはやりといとお願いをした。だが、片方の耳から片方の耳へ瞬間で抜けていったようだった。
「そ、それは! ああ! あのことか?」
危険極まりない魔石が置かれた地帯へ花を見に行くという。
「誰がそんなもの真面目に聞くものか!」
戦いを生業にしている者でさえも避けるというか、入れない場所に女一人でなにができると流していた。
「親しい人なら皆知っています」
無謀な計画でもいずれ行きたいという切なる思いを。
「もうどうでもよろしいのでは? エリーゼ様のこの後のことなんて」
一向に「婚約は解消だ!」と宣言してくれないクラウスにイラートが痺れを切らせた。
「私たちにもやることがいっぱいですわ」
クラウスの腕に自分の手をかける。
「イラート、黙っててくれないか。これはオレと」
「エリーゼ様が婚約解消はいいとおっしゃっているんですよ」
クラウスの声を遮る。
「もうここにはいたくありません」
「そうですわね」
たまたまイラートと視線が合ったバレリレイトが顔を大きく動かし驚愕する。
「あ」
野次馬がますます増えてきていた。
バレリレイトの声に皆反応した。このままではさらし者だと。
「エリーゼ、後でクロスフォード家に連絡を入れるから」
クラウスは引きずられるようにしてイラートに連れて行かれた。
「エルファス公爵令嬢」
最後尾を歩くバレリレイトにギルバードは声をかけた。
「何ですか?」
迷惑そうに振り向く。
「王弟殿下のことだけど、素直に諦めてくれ」
「な!」
思わぬ名前に驚く。
「関係のないあなたにそのようなことを言われるなんて、失礼では?」
「だって、彼の気持ちは変わらないから」
「どうしてあなたがそのようなことを?」
不快感が増してくる。
「親の力をごり押しさせたり、関係のない者を脅したりとかね。やめた方がいいよ。余計に印象が悪くなるから」
「し、失礼過ぎますわよ」
顔を赤らめ唸り出した。
あまり知られたくないことをどうして知っいるのかと。
王弟から苦情がきていると聞いていた。
「あ、あなたこそ、エリーゼ様のことを急いだほうがいいですわよ」
話題を急いで変える。
「婚約解消が公けになれば王弟殿下も動かれるでしょうから。そうなればあなたに勝ち目はないですわ」
「そうだね」
「でしたら、努力しなさいよ」
「正攻法でがんばるから、邪魔しないでね」
ギルバードはさりげなく目にかかる髪を左手でかき上げた。
「あ!」
バレリレイトは両手を口に当てた。
真っ青な瞳に髪を上げた時にピアスが見えた。
「私は……」
目から涙が溢れてくる。
「そういうことだから」
秘密ねと右の人差し指を自分の口に当てる。
「どうされましたの?」
バレリレイトが立ち止まっているのに気付いた令嬢の一人が戻ってきた。
「いえ、早く戻りましょう」
バレリレイトは涙をさっと指でぬぐい顔を下に向けて令嬢の元へ駆けていった。
野次馬の視線も痛かった。
「ギル様!」
エリーゼとギルバードも逃げるように移動した。
今は関係者しか入れない王立薬草研究所の中にある道具保管庫にいる。
「いくら私のことを助けようとしたとはいえ、あんな嘘はいけません」
エリーゼは怒っていた。
「あれ、オレの本心」
「本心って、私と知り合ってからそう日数がたってないですよね」
ずっとと言っていた。
ここで会ってまだ半年ほどしかたってない。その間婚約を考えてくれるほど親しくはなっていないはず。
「一目惚れだから」
「それは一時の気の迷いが起こす感覚とお兄様が前に言ってました」
真面目に答えないギルバードにむっとした顔を向けた。
「そんなこともあるだろうけど。オレのは本物。子供の頃から続いているんだ」
「本物って……」
「リゼには婚約者がいたからぐっと押し殺していただけ。でも解消はしてくれるとは、ついてるよ!」
満面の笑顔で距離を詰めてくる。
「私、子供の頃にギル様にお会いしたことがありましたか?」
「十一年前にハリソン領で」
「え!」
エリーゼは固まる。
心当たりはあるが、違い過ぎる。
「オレが十歳でリゼが六歳の時」
思い出してと真正面に立ち頭一つ低いエリーゼの顔を覗き込む。
「近いです」
鼻がすれすれに当たる程近付けられて、おでこを両手で押し返す。
「遅くなったけど、あの白い花を見に行こう。約束の場所にはまだ危険で行けないけど、今安全に見れる場所は見付けたから」
ギルバードは誘ってきた。
「まさかあの男の子なんですか?」
ハリソン領近くに花を見に行きたいとギルバードに話したことはあったが、それが白い花だとは言ったことはないし、その少年と会った時期もあっている。
「そうだよ」
言いながら髪に手をかけ、ずるりとか髪を落とす。
「はちみつ色!」
思い出の少年の髪の色。
「どうして鬘なんて?」
「ちょっと事情があってね」
じっと見つめるエリーゼに笑いかけまた距離を詰める。
「約束を覚えていてくれて嬉しいよ」
「あ、あの話をした時にどうして自分がそうだとおっしゃってくれなかったのですか?」
「リゼの立場がね」
連れて行くことはできるが、それをすることはエリーゼのためにはならないと判断していた。
婚約者やその家がどう思うか。
「けど、自由になったね」
「まだ正式に解消になってないですよ」
どこか不安そうだった。
これを未練と感じたギルバードは焦る。
「リゼは婚約解消をしたくないの?」
「したいです」
「じゃあ?」
ならば喜べばいいと思うが、様子は違う。
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