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31.思わぬ誘い
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どろどろに汚れていたので、ある程度、タオルで綺麗にしてから、郁と煌也はシャワーへ向かった。
ブルー・ムーンには、シャワーブースが二つある。他の人に悪いので、大体、煌也と一緒にシャワーを浴びて、ナカから精液を掻き出すのを……、煌也に見られるか、煌也がやることもある。
シャワーを浴びて、着替えからは、しばらく、ソファで寛いで、喉が渇いたから軽いカクテルを飲んで、また、すこし、セックスをして、シャワーを浴びて、始発で帰宅した。
ブルー・ムーンは、新宿七丁目。副都心線で、郁の雑司ヶ谷の自宅まで、のんびりと揺られて帰る。
帰宅して、さすがに腹が減っているので、コンビニに寄ることにする。
駅を出た所、道路を挟んだ向かい側にあるコンビニではなく、自宅寄りのコンビニへ向かう。駅に近いコンビニの方が品揃えが好みだが、道路を渡っていく気力がなかった。
駅から、とぼとぼとコンビニへ歩いていると、電話に着信があった。煌也だった。
「あれ、どうしたの、煌也」
『今どこ? 家?』
「ううん、まだ、家には着かないけど」
煌也は、自宅にたどり着いたのだろうか? よく解らない。
『俺、今から、少し会社に出て、午後には仕事が終わるんだけど、一緒に昼飯行かない?』
「えっ?」
郁が戸惑っていると、煌也が小さく呟く。
『アクシデントで』
「はい……?」
『……会食で予約していたんだが、先方が急病らしい。……レストランは、ドタキャンしても、金は取られるし、こんな日に空席を作るのも悪いから、一緒に行ってくれると助かるんだが……』
煌也が会食で使うレストランなら、それなりのレストランなのだろう。
ドタキャンなどをすると、もしかしたら、ペナルティーとして、予約が出来なくなると言うこともあるのかも知れない。
「ちなみに、どういう所?」
『ホテルの、和食。……海外のお客様相手だったから、日本食で行こうと思って。それは良いんだけど、割と使うところだから、キャンセルするのが、ちょっと忍びなくて』
なるほど。よく使うところならば、気まずいだろう。
「そうなんだ」
『郁と行くなら、ここは、イタリアンなんだけどなあ……。ここのイタリアン好きなんだよ』
「あ、そう……」
ホテルで、会食。郁には縁遠い世界だった。営業の人たちならば、そういう仕事になるのかも知れないが……。
『場所は……』
告げられた名前は、有名なホテルだった。郁でも知っている。
「あ、そこなら、歩いて行けるよ。家からそんなに遠くない」
『あれ? 郁って、豊島区って言わなかった? このホテル、文京区だけど?』
「雑司ヶ谷って、豊島区の東の外れだからね」
『そうなんだ……じゃあ、会食が、19時からだから、そのぐらいから来られる?』
「うん、大丈夫だよ。ドレスコードとかは?」
『特にない。……けど、スーツだと助かる』
「オッケー。じゃ、またあとで」
電話を切って郁は、時計を見た。午前六時。こんな時間から、煌也は、接待のことを考えなければならないというのが大変で、思わずため息を吐く。
郁は、わりと、気楽な仕事を任させている。海外との発注をやりとりする立場なので、発注にミスがあれば、郁の後ろに繋がる全ての仕事がストップする。そういう意味では、大変なことには変わりがないのだが……、少なくとも、社給のスマートフォンを常に確認しなければならないような立場ではない。そういう意味での、気楽な、という表現だ。
ともあれ、あと、煌也との約束まで、十三時間もある。
コンビニで腹を満たしてから、少し寝よう、と心に決めて、コンビニで食事を買った。
朝から、レンジアップするだけで手軽に食べることが出来る、背脂コッテリのラーメンだ。
(セックスしたあとって、妙に腹が減るんだよね……)
全身が、倦怠感と、充実感に包まれている感じがある。その疲弊感は、郁にとっては、心地よいものだった。
部屋へ戻ってラーメンを啜っていると、なんとなく、実家の父親の言葉を思い出した。
『米屋のせがれが、麺ばかり啜って……』
実家のことは、あまり考えたくもない。ラーメンを食べ終えてから、郁は、ごろんと横になって眠ってしまった。
ブルー・ムーンには、シャワーブースが二つある。他の人に悪いので、大体、煌也と一緒にシャワーを浴びて、ナカから精液を掻き出すのを……、煌也に見られるか、煌也がやることもある。
シャワーを浴びて、着替えからは、しばらく、ソファで寛いで、喉が渇いたから軽いカクテルを飲んで、また、すこし、セックスをして、シャワーを浴びて、始発で帰宅した。
ブルー・ムーンは、新宿七丁目。副都心線で、郁の雑司ヶ谷の自宅まで、のんびりと揺られて帰る。
帰宅して、さすがに腹が減っているので、コンビニに寄ることにする。
駅を出た所、道路を挟んだ向かい側にあるコンビニではなく、自宅寄りのコンビニへ向かう。駅に近いコンビニの方が品揃えが好みだが、道路を渡っていく気力がなかった。
駅から、とぼとぼとコンビニへ歩いていると、電話に着信があった。煌也だった。
「あれ、どうしたの、煌也」
『今どこ? 家?』
「ううん、まだ、家には着かないけど」
煌也は、自宅にたどり着いたのだろうか? よく解らない。
『俺、今から、少し会社に出て、午後には仕事が終わるんだけど、一緒に昼飯行かない?』
「えっ?」
郁が戸惑っていると、煌也が小さく呟く。
『アクシデントで』
「はい……?」
『……会食で予約していたんだが、先方が急病らしい。……レストランは、ドタキャンしても、金は取られるし、こんな日に空席を作るのも悪いから、一緒に行ってくれると助かるんだが……』
煌也が会食で使うレストランなら、それなりのレストランなのだろう。
ドタキャンなどをすると、もしかしたら、ペナルティーとして、予約が出来なくなると言うこともあるのかも知れない。
「ちなみに、どういう所?」
『ホテルの、和食。……海外のお客様相手だったから、日本食で行こうと思って。それは良いんだけど、割と使うところだから、キャンセルするのが、ちょっと忍びなくて』
なるほど。よく使うところならば、気まずいだろう。
「そうなんだ」
『郁と行くなら、ここは、イタリアンなんだけどなあ……。ここのイタリアン好きなんだよ』
「あ、そう……」
ホテルで、会食。郁には縁遠い世界だった。営業の人たちならば、そういう仕事になるのかも知れないが……。
『場所は……』
告げられた名前は、有名なホテルだった。郁でも知っている。
「あ、そこなら、歩いて行けるよ。家からそんなに遠くない」
『あれ? 郁って、豊島区って言わなかった? このホテル、文京区だけど?』
「雑司ヶ谷って、豊島区の東の外れだからね」
『そうなんだ……じゃあ、会食が、19時からだから、そのぐらいから来られる?』
「うん、大丈夫だよ。ドレスコードとかは?」
『特にない。……けど、スーツだと助かる』
「オッケー。じゃ、またあとで」
電話を切って郁は、時計を見た。午前六時。こんな時間から、煌也は、接待のことを考えなければならないというのが大変で、思わずため息を吐く。
郁は、わりと、気楽な仕事を任させている。海外との発注をやりとりする立場なので、発注にミスがあれば、郁の後ろに繋がる全ての仕事がストップする。そういう意味では、大変なことには変わりがないのだが……、少なくとも、社給のスマートフォンを常に確認しなければならないような立場ではない。そういう意味での、気楽な、という表現だ。
ともあれ、あと、煌也との約束まで、十三時間もある。
コンビニで腹を満たしてから、少し寝よう、と心に決めて、コンビニで食事を買った。
朝から、レンジアップするだけで手軽に食べることが出来る、背脂コッテリのラーメンだ。
(セックスしたあとって、妙に腹が減るんだよね……)
全身が、倦怠感と、充実感に包まれている感じがある。その疲弊感は、郁にとっては、心地よいものだった。
部屋へ戻ってラーメンを啜っていると、なんとなく、実家の父親の言葉を思い出した。
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実家のことは、あまり考えたくもない。ラーメンを食べ終えてから、郁は、ごろんと横になって眠ってしまった。
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