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今日も今日とて良い天気。
もっとも、この辺りでは快晴以外の天気といえば砂嵐くらいしかないのだが。
お日様は地上を殺菌消毒する勢いで照りつけており、気温はとっくに30℃を越えている。
見渡す限りを埋め尽くすかのような砂の海は、日光を反射して白く輝いていた。
陽炎ゆらめく砂漠の中を、砂を蹴立てて何台もの車両が疾走する。
タウン48より出発した砂潜りの一団であった。
「なんだか貧乏くじを引いた気がするよ……」
一団の最後尾を二人乗りの三輪バイクが走っている。
フィオとキキョウであった。
「中央政庁からの指名依頼ですよ、ポイント稼ぎのチャンスです」
乙種戦闘装備に身を固めたキキョウは、ハンドルを握りながらぼやく主を窘めた。
軽装でほぼ普段着の丙種戦闘装備と違い、乙種戦闘装備は明確な戦う為の装備である。
腰の後ろに横倒しにした筒のような装備がマウントされている。 乙種戦闘装備の基幹となるコアユニットだ。
コアユニットの中央には左右二発のジンバル型ノズルを備えたスラスターが配置されており装甲ブーツ内のスラスターと併用すれば、メイデンは圧倒的な加速力を得る事ができる。
コアユニットの左右には一本ずつ、フレキシブルに可動するアームパーツが備えられていた。
アームの先端には武装を配置する事ができ、その背面には小型のバーニアが取り付けられている。 武装と姿勢制御バーニアが一体化した、マルチブーストアームである。
ブーストアームの右には軽機関銃、左には6連リボルバー方式のグレネードランチャーがマウントされていた。
ある程度の装甲目標までに対応可能な、取り回しのよいチョイスである。
サイドミラーに映る、風になびくキキョウの栗色の髪と振動に合わせて揺れるブーストアームを横目に見ながら、フィオはため息をついた。
「中央政庁からのお達しだってのに、あいつら露骨に邪険にしてくれちゃってさぁ」
前を走る車両の一団である。
バイク、軽トラ、ハーフトラック、ジープなど全く統一性のない彼らは別にチームでもなんでもない。
中央政庁主導の装甲機生体掃討依頼を受けた、寄せ集めの一団であった。
「そりゃキキョウさんが居れば装甲機生体全滅どころか、生産施設だって根こそぎにできるよ?
でも、そんな空気の読めない事やるわけないって、なんでわかんないのかなあ」
寄せ集め砂潜りたちは、自分たちの獲物をキキョウに奪われる事を恐れ、フィオたちに冷たい目を注いだのであった。
装甲機生体は最終戦争の時代に誕生したといわれる、自律戦闘機械である。
いや、正確にはあったというべきか。
装甲機生体の特徴は、複製と増殖である。
彼らは一体一体が自分と、自分を生産するための生産施設の設計図を記憶しており、資材を集めて勝手に増えるのだ。
少しずつ増殖し一定以上の数を揃えたら、彼らは作戦行動を開始する。
最終戦争から数百年経った今では、彼らにインプットされた作戦目標が何だったかなど最早知る者もいない。
少なくとも、装甲機生体の大群が人類のコミュニティの近くに現れた場合、戦闘に発展する事だけは確実だった。
彼らにとってタウンの構造物のみならず、人間を構築するタンパク質も資材の一環なのだから。
タウン48の近くにはそんな装甲機生体の生産施設がひとつあった。
タウン監視下にある生産施設はある意味、手頃な資源スポットと言える。
あちこちから資材を集めては自分たちの増殖に余念のない装甲機生体の生態(?)は、適度なタイミングで間引きすればそのままタウンで活用できる資材の宝庫となるのだ。
装甲機生体の上前を撥ねてでも生き延びる、それが弱肉強食なこの世界の習いである。
タウン48が監視している生産施設は蜘蛛を模したデザインの小型装甲機生体の巣であり、小型で構造が単純なだけに数は多いものの個体性能は低く、ちょっとした銃器を持った人間で十分に対処できる程度の代物だ。
タウン48では低ランク砂潜り向けに装甲機生体間引きの依頼を定期的に出していた。
フィオもランク的には受注しても構わない依頼なのだが、キキョウの存在が問題となる。
装甲機生体に対して、あまりにもオーバースペックすぎるのだ。 フィオの言葉通り、その気になれば生産施設ごと根こそぎ殲滅する事も可能だろう。
それなのに、何故ここに二人が居るのかといえば、中央政庁からの指名依頼であった。
低ランク向けの間引き業務とはいえ、予期せぬトラブルが発生する可能性は常に存在する。
そのため、お守り役の中堅砂潜りを配置してトラブルに対処するのが中央政庁の方針であった。
「僕、まだランク5なのになあ」
キキョウがいるので中堅相当と見做され、お守り役の指名が回ってきたのであった。
「まあ、いいや。 トラブルが起きなければ僕も装甲機生体狩りしていいって話だし、顰蹙買わないくらいに頑張ろう」
砂に半ば埋まった丸いタンク状の構造物が前方に見える。
装甲機生体の生産施設だ。
「さあ、狩りの時間だ」
なんとか目的地に到着し、オフローダー型バイクのエンジンを止めたバンは安堵の息を吐いた。
先輩から格安(という割には大金だった)で譲ってもらったこのバイクは始終調子が悪く、よくエンストするのだ。
後は帰り道で故障しないことを祈るばかりだ。
「さて、と」
バンは日差しに手をかざしながら、球状の生産施設へ目を向けた。
人間が多数やってきたのを感知したのか、蜘蛛型の装甲機生体がぞろぞろと這い出てくる。
砂潜り側も気の早い連中は武器を手に戦闘開始していた。
「俺も出遅れちゃいられねえな」
バンはバイクの後部座席に括りつけていた旧式アサルトライフルを手に取った。
旧式も旧式、最終戦争のさらに何百年も前から基礎設計が変わらないと言われる、超ベストセラーライフルである。
おんぼろバイクとおんぼろアサルトライフル、これだけがバンの財産であった。
「装甲機生体を10匹、いや、20匹は倒そう、そうすりゃ……」
グレンクスに上前をはねられても、手元にいくらか残る。
バンはバナナ状の弾倉を装填すると、片膝をついて手近な装甲機生体へ銃口を向けた。
アイアンサイトで慎重に狙いを定め、三点バーストで発射。
外れた。
「くそっ、照準がズレてやがる」
自分で整備する知識もなければ、店に依頼する金もない。
バンは小さく罵ると、ズレを念頭に置いて再度射撃した。
全長60㎝の金属製の蜘蛛に、三発の7.62㎜弾が着弾する。
「Bi!?」
胴体を撃ち抜かれた装甲機生体はBeep音めいた断末魔と共に動きを止めた。
「よし!」
次の獲物を探して周囲を見回すと嫌なものが目に入った。
他の車両から離れた位置に停車した三輪バイク。 その荷台に、栗色の髪の機械人形が座っている。
「フィオのメイデン……」
風に長い髪をなびかせたメイデンは、戦闘用の装備を身につけているというのに優美で、どこか儚げな気配すら感じさせた。
不意にメイデンが手を振る。
彼女の視線の先で、金魚鉢兄弟がガッツポーズをしていた。
一匹仕留めたらしい。
「……なんで、あいつばかり……」
フィオの手にしたライフルはバンの持つ物と同じタイプ。
だが、同じなのはタイプだけだ。
手入れの行き届いたピカピカのライフルは、錆の浮いたバンのライフルとは格段に命中精度が違う。
フィオは射的を楽しむかのように装甲機生体を撃ち抜き、その度にメイデンが手を振っていた。
「……糞ぉっ!」
バンは自分が持たない物ばかりを見せつけられ、思わず怨嗟の声を漏らす。
同じ日に誕生し、同じ道を志した。
体格差から自分の方が有望だと言われもした。
それなのに、この差はなんだ。
師事した相手を間違ったのが、こうも響いてくるのか。
「俺だって……俺だってなぁ……!」
小銭を稼いでは兄貴分を称するグレンクス達に巻き上げられる生活。
そこには希望も潤いも何もない。
メイデンといちゃつきながら射的を楽しむフィオとの差を思えば、それだけで死にたくなるほどに自分には何もない。
やり場のない激情のままにライフルを足下に叩きつけようとして、気づいた。
砂を蹴立てて、こちらへと爆走してくる巨大な何かに。
もっとも、この辺りでは快晴以外の天気といえば砂嵐くらいしかないのだが。
お日様は地上を殺菌消毒する勢いで照りつけており、気温はとっくに30℃を越えている。
見渡す限りを埋め尽くすかのような砂の海は、日光を反射して白く輝いていた。
陽炎ゆらめく砂漠の中を、砂を蹴立てて何台もの車両が疾走する。
タウン48より出発した砂潜りの一団であった。
「なんだか貧乏くじを引いた気がするよ……」
一団の最後尾を二人乗りの三輪バイクが走っている。
フィオとキキョウであった。
「中央政庁からの指名依頼ですよ、ポイント稼ぎのチャンスです」
乙種戦闘装備に身を固めたキキョウは、ハンドルを握りながらぼやく主を窘めた。
軽装でほぼ普段着の丙種戦闘装備と違い、乙種戦闘装備は明確な戦う為の装備である。
腰の後ろに横倒しにした筒のような装備がマウントされている。 乙種戦闘装備の基幹となるコアユニットだ。
コアユニットの中央には左右二発のジンバル型ノズルを備えたスラスターが配置されており装甲ブーツ内のスラスターと併用すれば、メイデンは圧倒的な加速力を得る事ができる。
コアユニットの左右には一本ずつ、フレキシブルに可動するアームパーツが備えられていた。
アームの先端には武装を配置する事ができ、その背面には小型のバーニアが取り付けられている。 武装と姿勢制御バーニアが一体化した、マルチブーストアームである。
ブーストアームの右には軽機関銃、左には6連リボルバー方式のグレネードランチャーがマウントされていた。
ある程度の装甲目標までに対応可能な、取り回しのよいチョイスである。
サイドミラーに映る、風になびくキキョウの栗色の髪と振動に合わせて揺れるブーストアームを横目に見ながら、フィオはため息をついた。
「中央政庁からのお達しだってのに、あいつら露骨に邪険にしてくれちゃってさぁ」
前を走る車両の一団である。
バイク、軽トラ、ハーフトラック、ジープなど全く統一性のない彼らは別にチームでもなんでもない。
中央政庁主導の装甲機生体掃討依頼を受けた、寄せ集めの一団であった。
「そりゃキキョウさんが居れば装甲機生体全滅どころか、生産施設だって根こそぎにできるよ?
でも、そんな空気の読めない事やるわけないって、なんでわかんないのかなあ」
寄せ集め砂潜りたちは、自分たちの獲物をキキョウに奪われる事を恐れ、フィオたちに冷たい目を注いだのであった。
装甲機生体は最終戦争の時代に誕生したといわれる、自律戦闘機械である。
いや、正確にはあったというべきか。
装甲機生体の特徴は、複製と増殖である。
彼らは一体一体が自分と、自分を生産するための生産施設の設計図を記憶しており、資材を集めて勝手に増えるのだ。
少しずつ増殖し一定以上の数を揃えたら、彼らは作戦行動を開始する。
最終戦争から数百年経った今では、彼らにインプットされた作戦目標が何だったかなど最早知る者もいない。
少なくとも、装甲機生体の大群が人類のコミュニティの近くに現れた場合、戦闘に発展する事だけは確実だった。
彼らにとってタウンの構造物のみならず、人間を構築するタンパク質も資材の一環なのだから。
タウン48の近くにはそんな装甲機生体の生産施設がひとつあった。
タウン監視下にある生産施設はある意味、手頃な資源スポットと言える。
あちこちから資材を集めては自分たちの増殖に余念のない装甲機生体の生態(?)は、適度なタイミングで間引きすればそのままタウンで活用できる資材の宝庫となるのだ。
装甲機生体の上前を撥ねてでも生き延びる、それが弱肉強食なこの世界の習いである。
タウン48が監視している生産施設は蜘蛛を模したデザインの小型装甲機生体の巣であり、小型で構造が単純なだけに数は多いものの個体性能は低く、ちょっとした銃器を持った人間で十分に対処できる程度の代物だ。
タウン48では低ランク砂潜り向けに装甲機生体間引きの依頼を定期的に出していた。
フィオもランク的には受注しても構わない依頼なのだが、キキョウの存在が問題となる。
装甲機生体に対して、あまりにもオーバースペックすぎるのだ。 フィオの言葉通り、その気になれば生産施設ごと根こそぎ殲滅する事も可能だろう。
それなのに、何故ここに二人が居るのかといえば、中央政庁からの指名依頼であった。
低ランク向けの間引き業務とはいえ、予期せぬトラブルが発生する可能性は常に存在する。
そのため、お守り役の中堅砂潜りを配置してトラブルに対処するのが中央政庁の方針であった。
「僕、まだランク5なのになあ」
キキョウがいるので中堅相当と見做され、お守り役の指名が回ってきたのであった。
「まあ、いいや。 トラブルが起きなければ僕も装甲機生体狩りしていいって話だし、顰蹙買わないくらいに頑張ろう」
砂に半ば埋まった丸いタンク状の構造物が前方に見える。
装甲機生体の生産施設だ。
「さあ、狩りの時間だ」
なんとか目的地に到着し、オフローダー型バイクのエンジンを止めたバンは安堵の息を吐いた。
先輩から格安(という割には大金だった)で譲ってもらったこのバイクは始終調子が悪く、よくエンストするのだ。
後は帰り道で故障しないことを祈るばかりだ。
「さて、と」
バンは日差しに手をかざしながら、球状の生産施設へ目を向けた。
人間が多数やってきたのを感知したのか、蜘蛛型の装甲機生体がぞろぞろと這い出てくる。
砂潜り側も気の早い連中は武器を手に戦闘開始していた。
「俺も出遅れちゃいられねえな」
バンはバイクの後部座席に括りつけていた旧式アサルトライフルを手に取った。
旧式も旧式、最終戦争のさらに何百年も前から基礎設計が変わらないと言われる、超ベストセラーライフルである。
おんぼろバイクとおんぼろアサルトライフル、これだけがバンの財産であった。
「装甲機生体を10匹、いや、20匹は倒そう、そうすりゃ……」
グレンクスに上前をはねられても、手元にいくらか残る。
バンはバナナ状の弾倉を装填すると、片膝をついて手近な装甲機生体へ銃口を向けた。
アイアンサイトで慎重に狙いを定め、三点バーストで発射。
外れた。
「くそっ、照準がズレてやがる」
自分で整備する知識もなければ、店に依頼する金もない。
バンは小さく罵ると、ズレを念頭に置いて再度射撃した。
全長60㎝の金属製の蜘蛛に、三発の7.62㎜弾が着弾する。
「Bi!?」
胴体を撃ち抜かれた装甲機生体はBeep音めいた断末魔と共に動きを止めた。
「よし!」
次の獲物を探して周囲を見回すと嫌なものが目に入った。
他の車両から離れた位置に停車した三輪バイク。 その荷台に、栗色の髪の機械人形が座っている。
「フィオのメイデン……」
風に長い髪をなびかせたメイデンは、戦闘用の装備を身につけているというのに優美で、どこか儚げな気配すら感じさせた。
不意にメイデンが手を振る。
彼女の視線の先で、金魚鉢兄弟がガッツポーズをしていた。
一匹仕留めたらしい。
「……なんで、あいつばかり……」
フィオの手にしたライフルはバンの持つ物と同じタイプ。
だが、同じなのはタイプだけだ。
手入れの行き届いたピカピカのライフルは、錆の浮いたバンのライフルとは格段に命中精度が違う。
フィオは射的を楽しむかのように装甲機生体を撃ち抜き、その度にメイデンが手を振っていた。
「……糞ぉっ!」
バンは自分が持たない物ばかりを見せつけられ、思わず怨嗟の声を漏らす。
同じ日に誕生し、同じ道を志した。
体格差から自分の方が有望だと言われもした。
それなのに、この差はなんだ。
師事した相手を間違ったのが、こうも響いてくるのか。
「俺だって……俺だってなぁ……!」
小銭を稼いでは兄貴分を称するグレンクス達に巻き上げられる生活。
そこには希望も潤いも何もない。
メイデンといちゃつきながら射的を楽しむフィオとの差を思えば、それだけで死にたくなるほどに自分には何もない。
やり場のない激情のままにライフルを足下に叩きつけようとして、気づいた。
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