機甲乙女アームドメイデン ~ロボ娘と往く文明崩壊荒野~

日野久留馬

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 崖に入れた切り込みの中に巣食うような構造であるフォートMFは、有効利用できる土地が極端に少ない。
 その奥行きは1キロ、幅は最も広い部分でも400メートル程という手狭さだ。
 だが、その狭さを逆手に取り、このサイズの拠点としては十分に堅牢な防衛網を敷いていた。
 カモフラージュ代わりに植えられているのはデーツの木。 食料供給も兼ねているのだろう。

 ゲートの類はないが、谷の入り口には鉄骨とコンクリートを組み合わせた無骨なバリケードが張り巡らされ、その上には等間隔に3つの機関銃座が設置されていた。
 バリケードの陰にはロケットランチャーやバズーカの類が運び込まれており、対装甲車両戦に備えている。

 左右の崖の中ほどにはそれぞれ見張り台が据え付けられ、周囲に睨みを利かせていた。
 この見張り台は、いざとなれば狙撃ポイントとして機能する事は想像に難くない。

 構造上、フォートに攻め入る敵はこれらの銃座や狙撃ポイントからの攻撃を避ける事はできない。
 単純ながら地の利を生かした効果的な防御陣だ。
 フォートMFは砦という名に恥じぬ戦闘力を秘めた拠点であった。

 歩を進めるヴァトーに続きながら周囲を見回し、それらの情報を見て取ったキキョウはふと我に返った。

 こんな情報をまとめた所で、何の意味があるのだろうか。
 伝えるべき主はすでに亡いというのに。
 屈託のない少年の笑顔がCPUの記憶域からロードされ、キキョウは唇を噛んだ。
 
 嘆く事はできない、悲しむ資格もない。
 キキョウの子宮ウテルスユニットは、彼の仇である男を受け入れ主と認証してしまったのだから。
 メイデンとしての本分を全うするならば、過去の主の情報など消去してしまい、今の主に全力で尽くすべきなのだろう。

 しかし、キキョウの疑似精神こころはそこまで割り切る事はできなかった。
 中途半端な自分の卑しさと情けなさにキキョウの疑似精神こころは沈み込んでいく。

 残念ながらというべきか、自己憐憫の気配を含む自己嫌悪に浸り続けるメイデンをフォートMFの住人は放っておかない。
 巨漢の後に俯きながら続くキキョウへ、下卑た口笛や舐め回すような視線が注がれる。

 砦の住人、ヴァトーの仲間達だ。
 すなわち、タウン住人からは山賊と見なされる男達である。
 薄汚れた雑多な服装の男達は一様に荒んだ風情を漂わせ、キキョウへ向ける視線には露骨な情欲の色が浮かんでいた。

 戦闘力という点で脅かされる事はないにしても、不快な視線である。

「おう、お前等、散れ散れ!
 俺たちゃリーダーの所に行かなきゃなんねえんだ、こいつのお披露目は後だ!」

 ヴァトーが周囲を睨みながら喚くと、男達は舌打ちしつつ解散する。

「ちっ、いいよなあ、ヴァトーさんはよぉ。
 あのクソでけぇ乳、揉みしだきてえ」

「澄ました顔しやがって、俺のちんぽくわえさせてやりたいぜ」

 口々に「キキョウにさせたい事」を言い募る男達に、キキョウは思わず自分の体を抱きしめた。
 
「お前等なあ、そんなに溜まってんなら、ティンの奴に相手してもらえよ!」

「俺たち、ティン姐さんに抜いてもらうだけのポイント稼いでないんで……」

 呆れ顔のヴァトーに男達は情けない顔で答える。

「ちゃんと働けよ、お前等……。
 ああ、そうだティンを借りてかないといけねえな」

「そ、そんなデカパイメイデン手に入れといて、まだティン姐さんに相手してもらおうってんですかい!?」

「そりゃずるいですよ、ヴァトーさん!」

 血相を変える男達に、ヴァトーは苦笑する。

「バッカ違ぇよ。
 リーダーに会うからな、メイデンのあいつにも話通しといた方がいいだろうってだけだよ。
 それで、ティンはどこだ?」




 フォートMFに多数並ぶプレハブ住居の一室。
 そこは端的に言うならば、ヤリ部屋と化していた。 

「んっ♡ んぐっ♡ ぢゅるっ♡」

 部屋の中央でスレンダーな裸体を晒し、男の逸物をしゃぶる空色の髪のメイデン、ティン。
 これ見よがしに大股を広げてしゃがみ込んだ、いわゆるエロ蹲踞の姿勢でフェラチオを行う彼女の両手は、それぞれ別の男の肉棒を擦りたてている。
 彼女は同時に三人の男を楽しませていた。

 いや、正確には四人だ。
 しゃがみ込んだティンの尻の下敷きになるように、一人の男が横たわっている。
 ティンの柔らかな尻肉に顔面を圧迫されて股間をそそり立たせているのは、かつてアイネズを強姦した男達の生き残りであるスマッグだ。

「あぁ……やはりメイデンの尻穴は甘露……たまらん……」

 相変わらずの変態ぶりであった。

「ぷあっ、もう、スマッグちゃんはおかしな子だねー。
 そんなにあたしのお尻の穴舐めるの楽しい?
 おちんちんギンギンにしちゃってさー♡」

 肉棒から口を離して苦笑するティンに、文字通り尻に敷かれたままのスマッグは真面目くさって応える。

「無論。
 メイデンの造形美、男を惑わす為のこの肢体、賞味せずして何とする。
 できる事なら、前の穴も味わいたい所だが……」
 
「そっちはだぁーめ。
 そこはマスターせ・ん・よ・う♡」

 ティンの股間、無毛のぷっくりとした陰唇には、秘密のラインを隠すかのように絆創膏が貼られていた。

「判っている、貴女の心意気を無にするような無粋はせんよ」

「ん、ありがと。
 はい、ご褒美♡」

 ティンは腰をさらに落とし、スマッグの顔面に体重を預けた。
 純然たる戦闘用フレームに比べれば華奢でジェネレーターも控えめなティンであるが、それでも金属骨格を持つ以上、体重はかなりのもの。

「おぉう……」

 その加重を顔面に受けつつ、歓喜の声を上げながら逸物から先走り汁を迸らせるスマッグの姿に、共にティンの奉仕を受けていた男達は驚嘆の視線を向けた。

「おーう、ティン、やってっかー?」

 胴間声と共に引き戸が開き、禿頭の巨漢ヴァトーが入ってくる。
 彼の後に続いて入室したキキョウは部屋の中の乱交っぷりに眉をひそめた。
 貞淑な価値観を持つキキョウからすると、複数の男根を同時に貪るティンの有様は余りにも受け入れがたい状況だ。

 一方、ティンは舌先で亀頭を弄りつつ、屈託のないウィンクを飛ばす。

「あ、おちんぽケースちゃん!
 手足直してもらったんだ、よかったね!」

「その呼び方はやめてください」

 うんざりしたように顔をしかめるキキョウに、ティンはケラケラと笑う。

「なーにヴァトー? おちんぽケースちゃんのお披露目に来たの?
 サンクちゃんはこういうのしてくんないし、キキョウちゃんがご褒美役してくれるんなら、きっとみんな大喜びだよ」

 ティンの言葉に、キキョウはぎょっとしてヴァトーの顔を見上げた。
 すでに汚されたこの身だが、この上、不特定多数の相手までさせられるというのか。
 だが、ヴァトーはあっさりと首を振った。

「違ぇよ、今からリーダーにキキョウの面通しに行くからな。
 お前にも声掛けとこうと思ったんだ」

 ヴァトーの言葉にティンの顔に喜色が浮かぶ。

「マスターの所に行くの! 行く行く、あたしも行くよ!
 待ってて、この子達マッハでコいちゃうから!」

 話をしながらも動かしていた両手の速度が一気にシフトアップした。
 言葉の合間に舌先で奉仕していた肉棒も、一息に喉奥まで呑み込む。

「えっ、ちょっ、ティン姐さん!?」

「うぁっ!?」

 男達は数段階跳ね上がった技巧のレベルにあっさり屈し、ティンの両手と喉奥に精を放ってしまう。

 空色ショートカットのメイデンは、両目を細めながら頬を窄め、男の精液を喉の奥底で一滴残らず吸い上げた。
 両手は指先で作った輪で肉棒を根本から絞り上げるように刺激し、尿道に残った精液までたっぷりと放出させている。

「けぷ……♡ はい、ご奉仕おっしまい!」

 ティンは可愛らしいげっぷを漏らしながら、力を失った肉棒から口を離す。

「うぅ、ひでぇよティン姐さん、俺久しぶりだったのに……」

「はいはい、次の時はたくさんサービスしてあげるから、また頑張って働きなさい」

 指にまとわりつく白濁液を舐めとるティンの尻の下で、抗議のうめき声が上がる。

「ああ、ごめんごめん! スマッグちゃんをまだイかせてなかったね!」

 ティンはスマッグの顔面に押しつけた尻たぶをむにむにと動かしてサービスすると、先走りを垂れ流しながらそそり立つ逸物に裸足の足裏を添えた。

「足も好きなんだよねー、スマッグちゃんはさ♡」

 足の親指と人差し指の間に陰茎を挟み込む、変則的な片足コキでティンはスマッグに止めを刺す。

「むふぅっ……!」

 すべすべの足裏と小さな足指の奉仕に、スマッグはくぐもった断末魔と共にあっさりと果て、ティンの爪先を精液で汚した。

「……相変わらずレベル高えな、こいつ」

 スマッグの痴態に思わず呆れ返った感想を漏らすヴァトー。
 キキョウは無言のまま、視線を逸らしていた。 
 実際、視界に入れるには余りにも見苦しい有様ではある。

 タオルで精液を拭き取って身繕いをしたティンは、ボディスーツを着込んで主の前に出る為の体裁を整え終えた。

「よし、今度こそコンプリート!
 お待たせ、ヴァトー、キキョウちゃん! さ、マスターの所に行こう!」

 
 
 ヴァトー達のリーダーの住居はフォートMFの最奥に位置していた。
 岸壁の中程を掘削し、刻み込むように設置された大型の施設は、岩肌そのものを城壁とする城のようにも、神殿のようにも見える。
 だが、それよりも似た雰囲気の大型施設をキキョウは知っていた。

「これは、中央政庁ガバメント……?」

「あったりー。
 フォートMFがタウンだった頃、中央政庁ガバメントだった場所だよ。
 ……今じゃ統治機能は何にもなくなって、マスターのお屋敷になっちゃってるけどね」

「高い所にあるせいで、いちいち上がっていかなきゃならんのが面倒でなあ」

 岩肌に刻まれた階段を登りながらヴァトーがボヤくと、先導するティンは大仰に肩をすくめみせた。

「それも折り込み済みよ。
 だって、そうじゃないと何でもマスターの所に持ち込むでしょ、みんな。
 階段登るのがめんどくさいなら、マスターの所に色々持ち込んでお手を煩わせる前に、代理人のあたしの所に来るようになるでしょ」

 マスターの安寧を護るのがメイデンの役目なんだから、と続けるティンにキキョウは意外そうな顔を向ける。

「きちんとマスターの事を考えてるのですね」

「……どういう意味かなー?」

 階段の途中で立ち止まり、張り付いたような笑みを浮かべてキキョウへ振り返るティン。

「マスター以外の殿方のお相手を喜々としてしておられたので、てっきり……」

「……貴女がそれを言うの、おちんぽケースちゃん?
 ヴァトーのごん太おちんぽ突っ込まれて、あっさり鞍替えした癖に」

「なっ!? ち、違いますっ! 私はっ!」

 ティンの言い様に気色ばむキキョウ。
 ティンはわざとらしい程に優しげな微笑みを浮かべると、大きく頷いて見せた。

「うんうん、判ってるって。
 仕方ないよねえ、真の漢トゥルーガイの精液注がれちゃったら、もうどうしようもないもんねえ。
 前のマスターちゃんも死んじゃったし、ちょうどいいよねえ、仇に乗り換えちゃうのもさ」

「うぅ……」

 実際、ティンの言葉通りの事をしてしまっているキキョウは反論する事ができない。
 切れ長の目尻に涙を浮かべて黙り込むキキョウの頭にグローブのような手のひらが載せられた。
 撫でるというには余りにも乱暴に髪を乱される。

「いい加減にしろ、お前ら。 キャットファイトなら口でやるな、裸でやれ」

「あー、それもいいかもね、公共キャットファイト!
 あまり貢献ポイント稼げてない子にもストレス発散させてあげないといけないしねえ」 

 ティンは新しい企画のアイディアに頬を緩めると、踵を返して階段を登り始めた。
 ヴァトーはその小さな背を見上げながらため息を吐くと、俯いたままのキキョウの頭をもう一度乱暴に撫でる。

「忘れちまえ、さっさと」

「……忘れられません」

「ったく、めんどくせえなぁ、メイデンってのはよぉ」





 元は中央政庁ガバメントだけあって、施設内は古代の神殿めいた外観とは裏腹にテクノロジーの気配を強く感じさせるデザインであった。

 冴え冴えとしたリノリウムの床と、清潔感のある白い壁。
 しかし、照明はほとんど落とされ、わずかに非常灯が足下を照らすのみだ。
 密閉度の高い室内には、昼間だというのに外の光は入ってこない。 
 メイデンであるキキョウにはノクトビジョン機能があるため問題ないが、人間には些か辛い暗さである。

「全く、明かりくらい点けとけっての」

「その電力も別に使わせたいっていうマスターの親心がわかんないの?」

「いやあ、そりゃ流石に買いかぶりすぎだろ……」

 益体もない事を言い合いながら奥へ進むヴァトーとティンに続きながら、キキョウはわずかな異常を感知していた。

 何も設定していないというのに、ジェネレーターの稼働率が徐々に上昇している。

「これは……」

 己の中の異常に漏れた困惑の呟きに、先行するティンがニヤニヤしながら振り向いた。

「キキョウちゃん、どうかしたぁ?
 知りたい? 自分がどうしちゃったか、知りたいんでしょ、キキョウちゃん?」

「いえ、別に」

 キキョウは澄まし顔を取り繕ってそっぽを向いた。
 先ほどのトラウマを抉るような彼女の言葉を引きずっている。
 ティンはオーバーアクションで肩をすくめて見せた。

「あっそ。 まあすぐ判るからいいかぁ」

 くるりと背を向け、歩を進めるティン。
 キキョウはその細い背を睨むと、無言で後に続いた。

 ほどなく施設最深部、中央政庁ガバメントが健在であった当時ならマザーメイデンの執務室であったと思われる部屋にたどり着く。
 ヴァトーは無造作にスチール製のドアをノックした。

「おいリーダー! ちょいと用がある! 入るぜ!」

 そのまま返事も聞かずにドアを押し開ける。
 途端に、キキョウの機体の変調は拡大した。

「なっ……」

 ジェネレーターは高出力で稼働し、肌が朱に染まっていく。
 下腹に生じる、疼くような熱感。
 まるでマスターとの性行為を行っているかのような反応を唐突に返し始める自らの機体に、キキョウのCPUは困惑した。

 ヴァトーはキキョウの戸惑いに気づかず、室内に踏み込む。
 あわてて後を追うキキョウは、ボディスーツの内側で股間が湿ってきているのを感じ、困惑と羞恥を強めていく。

「リーダー、寝てんのかい?」

 マザーメイデンの執務室には、大型のベッドが一台運び込まれていた。
 他の調度品は一切なく、広い部屋の中にぽつんと置かれたベッドは奇妙な非現実感がある。
 ベッドの上には、色白の肌をさらした裸体の青年がうつ伏せていた。
 
 正確には、青年はベッドにではなく、豊満な女体にうつ伏せている。
 だらしなく四肢を広げて動かない女体を組敷き、貫いた姿勢のまま、青年は寝息を立てていた。

「うっ……♡」

 色白の青年の細い背と尻の丸みを目にした途端、キキョウは己の中の「スイッチ」が完全に入ったと自覚した。
 膣奥がきゅんと疼き、潤滑液愛液がにじみ出てくる。

「ふふっ♡」

 熱を含んだ笑い声に赤面した顔を上げれば、頬を朱に染めたティンがこちらに流し目を向けていた。
 彼女のボディスーツの股間は内側から溢れだした潤滑液愛液が染み込み、濡れそぼっている。 キキョウ自身の股間と同じように。

「おい、リーダー! レックス! 起きろよ!」

 メイデン達の異常を気にする様子もなく、ヴァトーはずかずかとベッドに歩み寄ると、裸の青年の背を平手で叩いた。

「んっ……。 なんだ、ヴァトーか。 おはよう」

 組み敷いた女体、メイデンの豊かな乳房から顔を上げた青年は、背の細さに似合う頼りなげな声音で起床の挨拶をする。

 色味の薄い赤い髪に整った容貌の美男子であったが、奇妙に気配の薄い青年であった。
 リーダーを任じられているにしては、覇気というものがまるで見あたらない。

 リーダー、レックスと呼ばれた青年は欠伸をしながら鈍い光を宿す目で室内を見回し、ティンを認めて微笑む。

「やあティン、久しぶり。 どうしたの?」

「はい、マスター! ヴァトーがメイデンを手に入れたので、挨拶のため連れてきました!」

「ふぅん、そっちの子か」

 どうでもよさそうな、好奇心の欠如した視線がキキョウを捉える。
 キキョウの子宮ウテルスユニットが疼いた。
 秘唇から溢れる滴がボディスーツの股間で染みとなって広がっていくのが自覚できる。
 青年の視線が己の股間に向くのを感じ、キキョウは激しい羞恥を覚えた。

「キ、キキョウです……」

 何とか隠そうと太股をすり合わせる無駄な努力をしながら、消え入りそうな声で名乗る。
 青年の顔がまともに見れない。 彼の前で無様な状態になっている事が恥ずかしく、情けなくて仕方ない。
 そこまで思考し、キキョウのCPUは己が彼をまるでマスターのように捉えている事に気づき、愕然とした。

「ふぅん、いい子を手に入れたね、ヴァトー」

「俺から挨拶させるつもりだったんだがな、ティンに全部取られちまったな」

 ヴァトーは憮然とした顔でキキョウに視線を向けた。
 頬を朱に染め、股間をしとどに濡らしたその様子は明らかに発情しきっている。
 ヴァトーは己のメイデンの有様に小さく舌打ちした。

「怒らないでくれよ、ヴァトー。 僕の能力は僕自身でも抑制できないんだから」

「判ってるさ、レックス」

「君のメイデンを壊す気はない。 もちろんティンもね。
 僕が壊すのは、こいつらだけだ」

 レックスは組敷いたままの肉布団、メイデンの豊かなバストに平手を叩きつけた。

「ひぃんっ」

 シャットダウンしていたメイデンが再起動し、大きく仰け反らせていた顔をレックスに向ける。
 波打つ豪奢な金髪と豊満な女体をあわせ持つ、妙齢の貴婦人のようなメイデン。
 だが、レックスが大きく腰を使い、メイデンの膣肉を抉ると、貴婦人の気配は瞬時に消え去り、色に狂った獣の様相と化した。

「あっ♡ あひっ♡ ひぃっ♡」

「誰がシャットダウンしていいって言ったんだ、ニムヤ!」

「もっ、もうしわけっ♡ もうしわけありませんっ♡」

 先ほどまで漂っていた怠惰な気配とは裏腹の、獰猛なまでの勢いで腰を叩きつけるレックスの姿にキキョウは子宮ウテルスユニットが戦慄くのを感じる。
 メイデンの性的欲求レベルは個体差があるが、キキョウは淡泊な方だ。
 故に、この感覚は初めてのものであった。

 あの男に、貫かれたい。

「な、何を……」

 マスター以外の男に対してそう思ってしまった事に気づき、キキョウは激しく狼狽した。
 自分にはマスターが居るというのに。

 疑似精神こころに浮かんだマスターの面影は今は亡き少年。
 最早、その面影に縋る事すら許されない相手であった。 

「寝起きの一発だ、早速くれてやるぞ、ニムヤ!」

「はひっ♡ くださいましっ♡ ますたぁっ♡」

 レックスはグラマラスなニムヤの尻を細腕で抱え、奥深くまで突き込んだ。
 腰と腰が密着した状態で、レックスの尻がびくりと震える。

「あひっ♡ ひぃぃっ♡ ひぃーーーっ♡♡♡」

 貴婦人のメイデンは激しく仰け反り、豊かな胸を震わせながら絶頂した。
 今、彼女の子宮ウテルスユニットにレックスの精が注がれている。

 キキョウの喉が小さく鳴った。

 横を見れば、ティンが射殺さんばかりの視線をニムヤに向けている。
 主が自分以外のメイデンに寵愛を下しているのを目の当たりにするのは、間違いなく不愉快であろう。
 相性が良いとは言えず正直好きになれないメイデンではあるが、今だけはティンに同情した。

「ふぅ……」

 ひとしきり出し切ったレックスが、大儀そうな溜息と共に逸物を引き抜く。

 長い。

 太さはそれほどでもないが、体格の割に長大な逸物は、どんなメイデンでも子宮ウテルスユニットまで穿たれてしまうのは間違いない。

「マスター! お掃除いたします!」

 ティンが飛びつき、喜々として長い逸物を舐めしゃぶる。
 彼女はレックスのメイデンだ、その資格がある。

 だが、熱に浮かされたようなキキョウのCPUはそれを羨ましいと思ってしまう。 

 ティンの舌で清められていく、まさに肉の槍のような逸物。
 あれを受け入れたら、どうなってしまうのか。
 キキョウの子宮ウテルスユニットはあの細長い逸物を咥え込み精を啜れと、CPUに激しく指示を送っている。

「う、く……♡」

 下腹の疼きに耐えきれなくなりキキョウはその場に蹲った。

「ちっ」

 ヴァトーは舌打ちすると、キキョウを肩に担ぎ上げる。

「キキョウが限界だ、失礼するぜレックス」

「ああ。 ごめんね、迷惑かけて」

「いいさ。 ……ティンを壊すまでやるなよ?」

「判ってるさ。 ティンは大事な子だからね、こいつと違って」

 シャットダウンしベッドの上で大の字になって痙攣するニムヤを見下ろしながら、レックスは鼻息荒くフェラチオを行うティンの頭を優しく撫でた。
 ヴァトーは鼻を鳴らすとキキョウを抱えたまま退室する。

 ヴァトー主従を見送ったレックスは、儚げな微笑みを浮かべてティンに囁いた。

「もうそれくらいでいいよ。 しようか」

「はい、マスター♡」

 ベッドの上からニムヤを突き飛ばして床に落としたティンは、すっかり股間がびちょびちょになったボディスーツを脱ぎ捨てた。
 秘裂を隠していた絆創膏は溢れ出る潤滑液愛液によって剥がれ落ち、愛らしい秘唇が顕わになっている。
 だが、最早隠す必要はない。 ここはこの男に捧げられた場所なのだから。

「マスター、どうか、たくさん注いでください。 あまり、お会いできないのですから」

 ベッドに横たわり、ひくつく秘唇を広げておねだりするティン。
 そこにはフォートMFの男衆を尻に敷く快活な姐御ではなく、想い人との時間に歓喜する乙女の姿があった。
 




 
 レックスの部屋から離れ、施設の入り口付近まで来た所でようやくキキョウの異常は治まった。
 情欲の炎は熾火程度まで鎮まり、レックスの逸物を咥え込むことだけで埋め尽くされそうだったCPUにまともな思考が戻ってくる。

「な、なんだったのでしょうか、あれは……」

「レックスの能力だよ」

 ヴァトーの肩に担がれたまま思わず呟いた独り言に、主は不機嫌そうに応じた。

「あいつの真の漢トゥルーガイとしての能力だ。 すべてのメイデンはあいつに股を開くんだよ。 マザーメイデンだろうとな」

「ど、どういう理屈なんですか!?」

「知らねえよ。 ドクが言うにはフェロモンかなんかじゃないかって話だが、ドクだってこんなの専門じゃねえしな。
 とにかく、メイデンはレックスと同じ場所に居るとあいつに抱かれてマスターになってもらいたくて仕方なくなるらしい。
 自分にマスターが居ようと構わずな。 覚えがあるだろう?」

 ヴァトーの言葉に、キキョウは沈黙するしかない。

「ちっ」

 肯定の沈黙にヴァトーは舌打ちすると、乱暴にキキョウを放り出した。

「あっ」

 尻餅をつくキキョウの目の前に、棍棒のような逸物が突き付けられる。

「あいつの能力は知ってるし、あいつはダチで俺らのリーダーだ。
 でも、頭には来る。
 キキョウ、お前のマスターは誰だ?」

 キキョウは紫水晶アメジストの瞳で巨大な逸物を見つめた。
 濃厚な雄の香りが嗅覚センサーを刺激し、治まりかけた子宮ウテルスユニットの熱に再点火する。

「……貴方です、ヴァトー」
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