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満腹食堂は早朝から営業している。
朝早くから出勤する市民達が朝食を摂りに来るため、貴重な稼ぎ時だ。
今朝も店主は厨房から矢継ぎ早に料理を送り出し、サクラとルースは接客に大忙しであった。
そんな慌ただしい日常の光景に、異物が混入した。
「うぇーい、邪魔するぜぇー」
「うぉえっぷ、ぶへぇ……」
「ぎゃははっ、飲み過ぎだよバーカ」
出勤前の身なりを整えた市民達とは露骨に毛色が違う、やくざ者の雰囲気が濃厚な酔漢が五人。
懐が奇妙に膨らんだ防弾ジャケットやシールドポンチョなど、明らかに堅気の格好ではない。
そして五人に付き従う黒い戦闘ボディスーツを纏い、パープルの放熱髪を短く切りそろえたメイデン。
一般市民の生活とは縁遠い、暴力の気配を無遠慮に振りまく一団であった。
朝っぱらからアルコールの臭いをぷんぷんさせながら入店した一団は、七分入りの店内に空いているテーブルを見つけると乱暴に腰を下ろした。
メイデンは彼らを見守るように、壁際で佇んでいる。
リーダーらしき趣味の悪いヒョウ柄のシャツを着た痩身の男が酔漢たちを見回し、赤ら顔で手を叩いた。
「よぉし、四次会、いや五次会だったか?
まあいい、お前ら好きなもん頼め!」
「押忍! ゴチになります!」
「ディモンさん、ゴチです!」
辺りはばからぬ胴間声に周囲の客は露骨に迷惑そうな顔をする。
ルースにとってもかかわり合いを避けたい手合いだ。
怯んでいる間に、サクラがとことこと卓に歩み寄った。
「ご注文を、どうぞ」
「酒だぁ、メチルでもエチルでも構わねえから酒持ってこぉい!」
サクラはくいと小首を傾げた。
「当店では、アルコールを扱っておりません」
「あぁ?」
上機嫌だったリーダー格の男が、眉を跳ね上げドスの利いた声で唸る。
「俺に飲ませる酒はねえってか!」
テーブルに拳が振りおろされ、荒々しい音を立てる。
迷惑げな目を向けていた周囲の客は慌てて視線を逸らした。
剣呑な視線を向けられたサクラは、小首を傾げたまま困ったように繰り返した。
「当店では、アルコールを扱っておりません」
男の不健康そうな細面に青筋が浮かぶのを見て、ルースは慌てて割って入った。
「あっ、あのっ、申し訳有りませんが、うちは飯屋でして、お酒は」
「っるせぇ!」
リーダー格の男は怒声と共にルースの襟首を掴み引き寄せた。
「俺が飲みてぇって言ってんだよぉ! いいから酒持ってこいや!」
ルースの顔面に拳がぶち込まれる。
「うぐっ!?」
荒事慣れしていないルースはパンチ一発で吹っ飛ばされ、他の客のテーブルに突っ込んだ。
テーブルの料理が宙に舞い、客の悲鳴が上がる。
「ほらぁ、大人しく言うとおりにしねえからよぉ!」
「ディモンさんに逆らうんじゃねえや!」
ひっくり返った皿の中身を頭から被ってしまったルースを、酔漢達は指さして笑った。
倒れたルースにサクラは慌てて駆け寄る。
「なんの騒ぎだ?」
荒々しい物音に、厨房から店主が顔を出した。
店内の状況に眉を跳ね上げる。
「マスター、そちらのお客様方が……」
ルースを助け起こしながら訴えるサクラに店主は小さく頷いた。
「ああ、大体状況は判った」
片手にフライパンをぶら下げた店主は、下品に笑い転げる一団のテーブルへのしのしと歩み寄る。
「お客さん方、暴れるんなら出てってもらえませんかね?」
「あぁ?」
酔漢達を睨みつける店主の後ろ姿を見上げ、ルースは額に垂れ下がってくるヌードルの切れっぱしを払いながら立ち上がった。
「お、親父っさん……」
相手にはメイデンも居る。
いくら豪傑じみた店主でも勝ち目はない。
焦るルースの裾をサクラがそっと引く。
「大丈夫です、ルースさん。
警邏隊にリンク通信で連絡を入れましたから。
すぐパトロールが来てくれます」
「そ、そっか……」
ならば警邏隊が来るまで、無理をするべきではないと思う小心なルースだったが、店主の考えは違うようだ。
店を護るため、メイデンを連れた酔漢相手に一歩も引かない構えだ。
「酒持ってこねぇお前らが悪いんだろうが!」
「うちは飯屋だ、酒なんか置いてねえ!」
「うるせぇっ! ちんけな店のくせにイライラさせやがる!
俺を誰だと思っていやがる!」
「知らねえよ! 手前らみてえな迷惑な奴らは客じゃねえ!
とっとと出ていきやがれ!」
「んだとぉ!」
ルースと同じようにぶっ飛ばそうと、リーダーの拳が店主の頬に突き刺さる。
だが、店主は微動だにせず拳を頬に受けたままニヤリと笑うとお返しのパンチを繰り出した。
ぎょっとしたリーダーの顔面に叩き込まれる寸前、拳骨はほっそりとした手のひらに受け止められる。
無言で佇んでいたメイデンが、店主とリーダーの間にするりと滑り込んだ。
「おい、『盾』ぇ! お前、俺のボディガードだろうが、もっと早く動けよ!」
リーダーの罵声に目隠しを思わせる視覚強化センサーを装着したメイデンは、店主の拳を受け止めたまま無言で頭を下げた。
「ちぃっ……」
店主は舌打ちと共に拳を引こうとするが、メイデンの細い指先にホールドされ逃れる事ができない。
「ふっ!」
紫の髪のメイデンは鋭い気合いと共に店主の体を肩越しに旋回させた。
「ぐあっ!?」
床に背中から叩きつけられ、店主が苦痛の声を漏らす。
「はっ! ざまあみやがれ!」
「いいぞ、『盾』ぇ!」
盾と呼ばれたメイデンは腕力任せで店主を床に叩きつけた訳ではない。
柔道の一本背負いであったが、武道もまた一般からは失われた知識のひとつだ。
このメイデンの披露した技の真価に気づいている者は、主であるリーダーも含めてこの場には居なかった。
「つぅ……」
「親父っさん!」
床にひっくり返った店主にルースが駆け寄った時、スィングドアが開いて緑の制服の警邏隊員が顔を出す。
「ちーっす、なんか通報あったんスけどー」
若い警邏隊員は店内の状況に眉をひそめるが、メイデンの後ろでゲラゲラと笑っているリーダー格の男を見て顔色を変えた。
「げっ、ディモン……!?
な、なんもないみたいっスね!
じゃ、これで!」
「え、ちょっと!?」
警邏隊員はきびすを返すと、ルースの制止も待たずに駆け去ってしまった。
ぽかんとしたルースをテーブルの酔漢達があざ笑う。
「残念だったなあ、兄ちゃん!」
「警邏隊なんざ当てになんねえよ、ディモンさんの前じゃあなあ!」
リーダー、ディモンと呼ばれた男は、したたかに背を打って立ち上がれない店主の太鼓腹をブーツで踏みつけた。
「ぐぇっ」
「や、やめてください!」
サクラはディモンのブーツにすがりついた。
非力なサクラの腕力では成人男性の足をどける事はできない。
ディモンは赤い垂れ目のカメラアイを向けて懇願するメイデンを見下ろし、ニヤリと笑った。
「やめて欲しいんならサービスのひとつもあるよなあ?」
サクラの襟首を掴んで引っ張りあげると、エプロンドレスの上から薄い胸を鷲掴みにした。
「て、手前、やめろ……」
「うるせえ!」
足下から上がる制止の声に、ディモンはキックを見舞う。
「やめてください! マスターに酷いことしないで!」
血相を変えるサクラにディモンはいやらしく笑いかけた。
「へへっ、いじらしいねえ! これだからマスター持ちのメイデンは堪らねえ。
おい、『盾』! このおっさんをしっかり抑えてろ!」
こくりと頷いた黒衣のメイデンは片膝をつき、床に転がった店主の胸板に右手の平を当てた。
それだけで店主の巨体はピンで留められたかのように動けなくなる。
ディモンは手近な椅子を引き寄せて腰を下ろすと、膝の上にサクラを乗せ上着を捲り上げた。
隆起に乏しい色白の素肌が露出する。
「んんー、小っちぇえな! 悪くねえ!」
桜色の突起を無遠慮に摘み、ディモンは下品に笑う。
押さえつけられ身動きのとれないまま苦悶の声を漏らす店主。
店内の客たちはそそくさと逃げ去っており、ルースが頼れそうな者は誰もいない。
縁のなかった非日常的な暴力に曝され呆然とするルースを尻目に、男たちはサクラを囲んで弄び始める。
「こ、こうなったら……」
ルースはひっくり返ったテーブルの陰にしゃがみ込むと、左手首の多目的端末に触れ金魚鉢兄弟のアドレスを呼び出した。
幼馴染に迷惑をかけるのは申し訳ないが、メイデンに対抗できるのはメイデンを持っている者だけだ。
ルースがフィオへの救援を求めようとしている間に、店主もまた必死で足掻いていた。
「やめ、やがれっ……!」
メイデンに押さえつけられたまま必死で手を伸ばし、サクラを取り囲む男たちの一人の足首を掴む。
「往生際わりぃなあ、おっさん!」
足首を掴まれた男はせせら笑いを浮かべると、店主の顔面に踵を叩き込んだ。
「うがっ!?」
「や、やめてっ! 私に何してもいいから、マスターにはっ!」
「悪いなメイデンちゃん、お前さんに何でもするのはもう決定事項なんだよ!」
ディモンは摘んだサクラの乳首を捻りあげながら、主従を纏めて嘲笑う。
店主に蹴りを見舞った男は、ニヤニヤしたまま近くのテーブルに残っていた料理の皿を掴むと店主の顔に叩きつけた。
「ほらっ! 汚れた皿が残ってるぞぉ? さっさと片づけろよ!」
皿と料理の残骸にまみれる店主を見ながら、ルースは震える指先でフィオへ通話する。
小さな呼び出し音が端末から鳴りはじめ、ルースは慌てて手首を押さえた。
幸いにして男たちは、店主を嘲笑いながらサクラを弄り回すことに専念しており、ルースの行動に気付いていない。
通話が繋がる。
「はい、どうしたの?」
半分寝ぼけたような声のフィオにルースは必死にすがりついた。
「フィオ! 助けてくれ!」
ルースの悲鳴のような声に、店主に皿がぶつけられて割れる音が被る。
通話の向こうのフィオの声音が、スイッチが切り替わるように冷静なものへと変わった。
「ルース、何があった?」
「揉め事が……ああ、くそっ! 頼む、うちの店まで来てくれ!」
泣き出しそうになりながらそう言いきったルースの隠れている卓に皿が投げつけられた。
「ひぃっ!?」
投擲したのは店主を押さえつけているメイデンだ。
「何だぁ? どうした、『盾』ぇ」
「……どこかへ通話していました」
「へっ、警邏隊なんぞ無駄だって見ただろうに!
おい、その兄ちゃんもこっちへ連れてこい、おっさんと並べて特等席でメイデンちゃんを拝ませてやろうぜ!」
ディモンの言葉で、部下の男たちがルースを引きずり出した。
「う、うぅ……」
美人局の男との一件以来、ルースはこの手の暴力に対してトラウマを抱えている。
抵抗らしい抵抗もできないまま、店主の隣に放り出された。
「へへっ、ギャラリーが増えて良かったなあ、メイデンちゃん!」
「……」
ぎゅっと目を閉じて俯くサクラの頬をディモンはべろりと舐めあげると、裾の長いスカートを捲り上げた。
飾り気のないシンプルな白いショーツをずらし、ぷっくりとした陰唇を露わにすると無遠慮に指先を突っ込む。
「んっ……」
「んー、きつい!
ほぐれてないのがいいねえ!」
まるで潤っていない秘肉に締めあげられる手応えに、ディモンは逆に嬉しそうな声をあげた。
「ディモンさん、全部脱がさねえんですか?」
「馬鹿、半脱ぎの方がレイプしてる感じが増すだろうが」
「なるほど!」
馬鹿なことを言い合いながら、ディモンはサクラの膣穴に突っ込んだ人差し指と中指をぐりぐりと動かす。
主以外が相手ではサクラの性感センサーはほとんど反応せず、きつい膣穴はまるで濡れてこない。
「うーん、お堅い!
俺の指はお気に召さないようだなあ、メイデンちゃんよぉ?」
馴れ馴れしく笑いかけながら、ディモンはサクラの秘裂から指を引き抜いた。
手近な卓の上から先割れスプーンを手に取る。
「こいつならどうかなぁ?」
尖った先端を秘唇に突きつけられ、サクラはびくりと体を竦ませた。
「や、やめて……」
「やぁだよ」
楽しげに笑いつつ、ずぶりとスプーンを突き込む。
「くぅぅ……」
異物の挿入にサクラは呻き声をあげた。
ナノマシンで構成されたメイデンの肉体は敏感な秘肉といえども頑丈で、先割れスプーンの切っ先くらいで傷つくことはない。
しかし嫌悪感はあるし、一定以上はカットされるとはいえ痛覚もある。
本来受け入れるべきでない物をねじ込まれ、身を捩るサクラに男たちは歓声をあげる。
「もう一本いくぜえ!」
「い、嫌ぁ……」
怯えた表情でふるふると首を振るサクラの秘唇に、二本目のスプーンが突き立てられた。
「そぉら、中身を見せてみろ!」
ディモンは膝の上のサクラに大股開きをさせると、二本のスプーンを左右に割り開いた。
銀に輝くスプーンが白い太股の根本で、鮮やかなサーモンピンクの肉壁を生々しく寛げる。
サクラは観念してしまったのか、ぎゅっと目を閉じ俯いている。
おかっぱ頭の少女人形が着衣を乱され、隠すべき秘肉の中身まで丸出しにされている様は無惨極まりない。
「さぁて、お次は……」
にやつくディモンの言葉を遮るように、スィングドアが押し開けられる。
「ルース、お待たせ」
シールドポンチョを羽織った少年と、翠の髪のメイデンが足早に踏み込んできた。
朝早くから出勤する市民達が朝食を摂りに来るため、貴重な稼ぎ時だ。
今朝も店主は厨房から矢継ぎ早に料理を送り出し、サクラとルースは接客に大忙しであった。
そんな慌ただしい日常の光景に、異物が混入した。
「うぇーい、邪魔するぜぇー」
「うぉえっぷ、ぶへぇ……」
「ぎゃははっ、飲み過ぎだよバーカ」
出勤前の身なりを整えた市民達とは露骨に毛色が違う、やくざ者の雰囲気が濃厚な酔漢が五人。
懐が奇妙に膨らんだ防弾ジャケットやシールドポンチョなど、明らかに堅気の格好ではない。
そして五人に付き従う黒い戦闘ボディスーツを纏い、パープルの放熱髪を短く切りそろえたメイデン。
一般市民の生活とは縁遠い、暴力の気配を無遠慮に振りまく一団であった。
朝っぱらからアルコールの臭いをぷんぷんさせながら入店した一団は、七分入りの店内に空いているテーブルを見つけると乱暴に腰を下ろした。
メイデンは彼らを見守るように、壁際で佇んでいる。
リーダーらしき趣味の悪いヒョウ柄のシャツを着た痩身の男が酔漢たちを見回し、赤ら顔で手を叩いた。
「よぉし、四次会、いや五次会だったか?
まあいい、お前ら好きなもん頼め!」
「押忍! ゴチになります!」
「ディモンさん、ゴチです!」
辺りはばからぬ胴間声に周囲の客は露骨に迷惑そうな顔をする。
ルースにとってもかかわり合いを避けたい手合いだ。
怯んでいる間に、サクラがとことこと卓に歩み寄った。
「ご注文を、どうぞ」
「酒だぁ、メチルでもエチルでも構わねえから酒持ってこぉい!」
サクラはくいと小首を傾げた。
「当店では、アルコールを扱っておりません」
「あぁ?」
上機嫌だったリーダー格の男が、眉を跳ね上げドスの利いた声で唸る。
「俺に飲ませる酒はねえってか!」
テーブルに拳が振りおろされ、荒々しい音を立てる。
迷惑げな目を向けていた周囲の客は慌てて視線を逸らした。
剣呑な視線を向けられたサクラは、小首を傾げたまま困ったように繰り返した。
「当店では、アルコールを扱っておりません」
男の不健康そうな細面に青筋が浮かぶのを見て、ルースは慌てて割って入った。
「あっ、あのっ、申し訳有りませんが、うちは飯屋でして、お酒は」
「っるせぇ!」
リーダー格の男は怒声と共にルースの襟首を掴み引き寄せた。
「俺が飲みてぇって言ってんだよぉ! いいから酒持ってこいや!」
ルースの顔面に拳がぶち込まれる。
「うぐっ!?」
荒事慣れしていないルースはパンチ一発で吹っ飛ばされ、他の客のテーブルに突っ込んだ。
テーブルの料理が宙に舞い、客の悲鳴が上がる。
「ほらぁ、大人しく言うとおりにしねえからよぉ!」
「ディモンさんに逆らうんじゃねえや!」
ひっくり返った皿の中身を頭から被ってしまったルースを、酔漢達は指さして笑った。
倒れたルースにサクラは慌てて駆け寄る。
「なんの騒ぎだ?」
荒々しい物音に、厨房から店主が顔を出した。
店内の状況に眉を跳ね上げる。
「マスター、そちらのお客様方が……」
ルースを助け起こしながら訴えるサクラに店主は小さく頷いた。
「ああ、大体状況は判った」
片手にフライパンをぶら下げた店主は、下品に笑い転げる一団のテーブルへのしのしと歩み寄る。
「お客さん方、暴れるんなら出てってもらえませんかね?」
「あぁ?」
酔漢達を睨みつける店主の後ろ姿を見上げ、ルースは額に垂れ下がってくるヌードルの切れっぱしを払いながら立ち上がった。
「お、親父っさん……」
相手にはメイデンも居る。
いくら豪傑じみた店主でも勝ち目はない。
焦るルースの裾をサクラがそっと引く。
「大丈夫です、ルースさん。
警邏隊にリンク通信で連絡を入れましたから。
すぐパトロールが来てくれます」
「そ、そっか……」
ならば警邏隊が来るまで、無理をするべきではないと思う小心なルースだったが、店主の考えは違うようだ。
店を護るため、メイデンを連れた酔漢相手に一歩も引かない構えだ。
「酒持ってこねぇお前らが悪いんだろうが!」
「うちは飯屋だ、酒なんか置いてねえ!」
「うるせぇっ! ちんけな店のくせにイライラさせやがる!
俺を誰だと思っていやがる!」
「知らねえよ! 手前らみてえな迷惑な奴らは客じゃねえ!
とっとと出ていきやがれ!」
「んだとぉ!」
ルースと同じようにぶっ飛ばそうと、リーダーの拳が店主の頬に突き刺さる。
だが、店主は微動だにせず拳を頬に受けたままニヤリと笑うとお返しのパンチを繰り出した。
ぎょっとしたリーダーの顔面に叩き込まれる寸前、拳骨はほっそりとした手のひらに受け止められる。
無言で佇んでいたメイデンが、店主とリーダーの間にするりと滑り込んだ。
「おい、『盾』ぇ! お前、俺のボディガードだろうが、もっと早く動けよ!」
リーダーの罵声に目隠しを思わせる視覚強化センサーを装着したメイデンは、店主の拳を受け止めたまま無言で頭を下げた。
「ちぃっ……」
店主は舌打ちと共に拳を引こうとするが、メイデンの細い指先にホールドされ逃れる事ができない。
「ふっ!」
紫の髪のメイデンは鋭い気合いと共に店主の体を肩越しに旋回させた。
「ぐあっ!?」
床に背中から叩きつけられ、店主が苦痛の声を漏らす。
「はっ! ざまあみやがれ!」
「いいぞ、『盾』ぇ!」
盾と呼ばれたメイデンは腕力任せで店主を床に叩きつけた訳ではない。
柔道の一本背負いであったが、武道もまた一般からは失われた知識のひとつだ。
このメイデンの披露した技の真価に気づいている者は、主であるリーダーも含めてこの場には居なかった。
「つぅ……」
「親父っさん!」
床にひっくり返った店主にルースが駆け寄った時、スィングドアが開いて緑の制服の警邏隊員が顔を出す。
「ちーっす、なんか通報あったんスけどー」
若い警邏隊員は店内の状況に眉をひそめるが、メイデンの後ろでゲラゲラと笑っているリーダー格の男を見て顔色を変えた。
「げっ、ディモン……!?
な、なんもないみたいっスね!
じゃ、これで!」
「え、ちょっと!?」
警邏隊員はきびすを返すと、ルースの制止も待たずに駆け去ってしまった。
ぽかんとしたルースをテーブルの酔漢達があざ笑う。
「残念だったなあ、兄ちゃん!」
「警邏隊なんざ当てになんねえよ、ディモンさんの前じゃあなあ!」
リーダー、ディモンと呼ばれた男は、したたかに背を打って立ち上がれない店主の太鼓腹をブーツで踏みつけた。
「ぐぇっ」
「や、やめてください!」
サクラはディモンのブーツにすがりついた。
非力なサクラの腕力では成人男性の足をどける事はできない。
ディモンは赤い垂れ目のカメラアイを向けて懇願するメイデンを見下ろし、ニヤリと笑った。
「やめて欲しいんならサービスのひとつもあるよなあ?」
サクラの襟首を掴んで引っ張りあげると、エプロンドレスの上から薄い胸を鷲掴みにした。
「て、手前、やめろ……」
「うるせえ!」
足下から上がる制止の声に、ディモンはキックを見舞う。
「やめてください! マスターに酷いことしないで!」
血相を変えるサクラにディモンはいやらしく笑いかけた。
「へへっ、いじらしいねえ! これだからマスター持ちのメイデンは堪らねえ。
おい、『盾』! このおっさんをしっかり抑えてろ!」
こくりと頷いた黒衣のメイデンは片膝をつき、床に転がった店主の胸板に右手の平を当てた。
それだけで店主の巨体はピンで留められたかのように動けなくなる。
ディモンは手近な椅子を引き寄せて腰を下ろすと、膝の上にサクラを乗せ上着を捲り上げた。
隆起に乏しい色白の素肌が露出する。
「んんー、小っちぇえな! 悪くねえ!」
桜色の突起を無遠慮に摘み、ディモンは下品に笑う。
押さえつけられ身動きのとれないまま苦悶の声を漏らす店主。
店内の客たちはそそくさと逃げ去っており、ルースが頼れそうな者は誰もいない。
縁のなかった非日常的な暴力に曝され呆然とするルースを尻目に、男たちはサクラを囲んで弄び始める。
「こ、こうなったら……」
ルースはひっくり返ったテーブルの陰にしゃがみ込むと、左手首の多目的端末に触れ金魚鉢兄弟のアドレスを呼び出した。
幼馴染に迷惑をかけるのは申し訳ないが、メイデンに対抗できるのはメイデンを持っている者だけだ。
ルースがフィオへの救援を求めようとしている間に、店主もまた必死で足掻いていた。
「やめ、やがれっ……!」
メイデンに押さえつけられたまま必死で手を伸ばし、サクラを取り囲む男たちの一人の足首を掴む。
「往生際わりぃなあ、おっさん!」
足首を掴まれた男はせせら笑いを浮かべると、店主の顔面に踵を叩き込んだ。
「うがっ!?」
「や、やめてっ! 私に何してもいいから、マスターにはっ!」
「悪いなメイデンちゃん、お前さんに何でもするのはもう決定事項なんだよ!」
ディモンは摘んだサクラの乳首を捻りあげながら、主従を纏めて嘲笑う。
店主に蹴りを見舞った男は、ニヤニヤしたまま近くのテーブルに残っていた料理の皿を掴むと店主の顔に叩きつけた。
「ほらっ! 汚れた皿が残ってるぞぉ? さっさと片づけろよ!」
皿と料理の残骸にまみれる店主を見ながら、ルースは震える指先でフィオへ通話する。
小さな呼び出し音が端末から鳴りはじめ、ルースは慌てて手首を押さえた。
幸いにして男たちは、店主を嘲笑いながらサクラを弄り回すことに専念しており、ルースの行動に気付いていない。
通話が繋がる。
「はい、どうしたの?」
半分寝ぼけたような声のフィオにルースは必死にすがりついた。
「フィオ! 助けてくれ!」
ルースの悲鳴のような声に、店主に皿がぶつけられて割れる音が被る。
通話の向こうのフィオの声音が、スイッチが切り替わるように冷静なものへと変わった。
「ルース、何があった?」
「揉め事が……ああ、くそっ! 頼む、うちの店まで来てくれ!」
泣き出しそうになりながらそう言いきったルースの隠れている卓に皿が投げつけられた。
「ひぃっ!?」
投擲したのは店主を押さえつけているメイデンだ。
「何だぁ? どうした、『盾』ぇ」
「……どこかへ通話していました」
「へっ、警邏隊なんぞ無駄だって見ただろうに!
おい、その兄ちゃんもこっちへ連れてこい、おっさんと並べて特等席でメイデンちゃんを拝ませてやろうぜ!」
ディモンの言葉で、部下の男たちがルースを引きずり出した。
「う、うぅ……」
美人局の男との一件以来、ルースはこの手の暴力に対してトラウマを抱えている。
抵抗らしい抵抗もできないまま、店主の隣に放り出された。
「へへっ、ギャラリーが増えて良かったなあ、メイデンちゃん!」
「……」
ぎゅっと目を閉じて俯くサクラの頬をディモンはべろりと舐めあげると、裾の長いスカートを捲り上げた。
飾り気のないシンプルな白いショーツをずらし、ぷっくりとした陰唇を露わにすると無遠慮に指先を突っ込む。
「んっ……」
「んー、きつい!
ほぐれてないのがいいねえ!」
まるで潤っていない秘肉に締めあげられる手応えに、ディモンは逆に嬉しそうな声をあげた。
「ディモンさん、全部脱がさねえんですか?」
「馬鹿、半脱ぎの方がレイプしてる感じが増すだろうが」
「なるほど!」
馬鹿なことを言い合いながら、ディモンはサクラの膣穴に突っ込んだ人差し指と中指をぐりぐりと動かす。
主以外が相手ではサクラの性感センサーはほとんど反応せず、きつい膣穴はまるで濡れてこない。
「うーん、お堅い!
俺の指はお気に召さないようだなあ、メイデンちゃんよぉ?」
馴れ馴れしく笑いかけながら、ディモンはサクラの秘裂から指を引き抜いた。
手近な卓の上から先割れスプーンを手に取る。
「こいつならどうかなぁ?」
尖った先端を秘唇に突きつけられ、サクラはびくりと体を竦ませた。
「や、やめて……」
「やぁだよ」
楽しげに笑いつつ、ずぶりとスプーンを突き込む。
「くぅぅ……」
異物の挿入にサクラは呻き声をあげた。
ナノマシンで構成されたメイデンの肉体は敏感な秘肉といえども頑丈で、先割れスプーンの切っ先くらいで傷つくことはない。
しかし嫌悪感はあるし、一定以上はカットされるとはいえ痛覚もある。
本来受け入れるべきでない物をねじ込まれ、身を捩るサクラに男たちは歓声をあげる。
「もう一本いくぜえ!」
「い、嫌ぁ……」
怯えた表情でふるふると首を振るサクラの秘唇に、二本目のスプーンが突き立てられた。
「そぉら、中身を見せてみろ!」
ディモンは膝の上のサクラに大股開きをさせると、二本のスプーンを左右に割り開いた。
銀に輝くスプーンが白い太股の根本で、鮮やかなサーモンピンクの肉壁を生々しく寛げる。
サクラは観念してしまったのか、ぎゅっと目を閉じ俯いている。
おかっぱ頭の少女人形が着衣を乱され、隠すべき秘肉の中身まで丸出しにされている様は無惨極まりない。
「さぁて、お次は……」
にやつくディモンの言葉を遮るように、スィングドアが押し開けられる。
「ルース、お待たせ」
シールドポンチョを羽織った少年と、翠の髪のメイデンが足早に踏み込んできた。
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大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
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