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フォートMFの大目標はマザーから人類を解放する事であり、全てのマザーの破壊である。
そのためには小さな拠点にすぎないフォートMFではとても力が足りない。
いずれは大規模なタウンを制圧し、新たな拠点とする必要がある。
近隣随一の規模を誇るタウン48への攻撃計画は彼らの飛躍に必須であり、フォートMFの設立者であるデッドマンが自ら潜入し入念な下準備を行っていた。
デッドマンからフォートMFリーダーの地位を受け継いだレックスの役目は、フォートの規模を拡大させながらデッドマンの連絡を待つことであった。
もっとも、基本的に怠惰なレックスの指導下ではフォートの人員はさして増えもしていなかったが、それもまたデッドマンは織り込み済みである。
小拠点しか持たない内に周囲に目を付けられる程の勢力になってしまっては、フォート自体が潰されてしまいかねない。
攻撃的な性格のヴァトーではなくレックスを後継者に選んだのは、その辺りを見込んでの事であった。
フォートMFへ届けられたデッドマンの親書は、タウン48攻撃計画の実行を告げるものである。
タウン48攻撃の要はデッドマン子飼いの精鋭部隊だ。
本来、地下で育成中の精鋭部隊の成熟までもう少しの時間が必要であったが、アーミーの手入れが行われたためデッドマンは選択を迫られた。
戦力的に不安が残るが計画を実行するか、再度潜伏し時を待つか。
潜伏を行った場合、地下からマザーの目が離れ、再度力を蓄えれるまで数十年単位で掛かる可能性がある。
デッドマンだけならともかく、他のメンバーはその頃まで健在で居られるか判らない。
レックス、ヴァトー、ドクの三人の真の漢が存在する今やらねば、次の機会は何十年、何百年先になるかも知れないのだ。
地下の捜索にアーミーの目が向いている今ならば、外部からの攻撃も仕掛けやすかろう。
デッドマンの精鋭部隊が地下でアーミーの相手をしている内に、フォートの部隊でタウンを制圧するのだ。
「乗るか反るかの大博打、面白いじゃねえか」
馬鹿でかいバックパックに缶詰とレトルトパックを詰め込んで遠征の準備を行いながら、ヴァトーは豪放に笑う。
タブレット端末にヴァトーが引っ張り出した物資を記録するドクは脳天気な同輩に溜息を吐いた。
「こちらの賭け金はリーダーだ、しくじった時は素寒貧どころの騒ぎじゃないぞ。
負けが込んだとしても、レックスだけは絶対に連れ帰れよ」
「俺はどうなってもいいってのかよ」
「お前が死ぬような状況にモヤシのレックスが耐えれるとも思えんからなあ……」
「違いねえ」
真の漢二人は顔を見合わせて吹きだした。
タウン48攻略にあたり、デッドマンの親書はレックスの出馬を指示していた。
メイデンを腰砕けにする彼の能力は、戦力の主軸をメイデンに頼ったタウン48に対して強力な切り札となる。
彼の護衛に白兵戦に優れたヴァトーを配置しておけば万全だ。
一方で、レックスを参戦させる以上、フォートMFのメイデン戦力は役に立たなくなる。
キキョウとサンクチュアリはフォートの護衛として留守番を命じられていた。
ドクはといえば、そもそも文官タイプの彼は荒事ではまったく役に立たないので、どのような作戦であれ留守番役は確定である。
「しかし、ティンの奴は着いてきて大丈夫なのかねえ。 マジになったレックスの側にいるのは辛かろうに」
「手数が足りんのは確かだからな、ティンが居れば補える。 あとはまあ、あいつの頑張り次第だろう」
三体のメイデンの内、ティンのみタウン48攻略部隊に参戦する事になっていた。
レックスの側に居るとCPUがピンク色に染まってしまうのは確定であったが、それを割り引いても彼女の能力は有用だ。
普段のおちゃらけた態度とは裏腹に一途に主を想うティンならば、厳しい状況に耐えて働いてくれるとドクは確信している。
「ま、デッドマンの旦那の指示とありゃあ是非もねえ、やれるだけやってやるさ。
それよりも留守番の方、しっかり頼むぜ」
「ああ、サンクとキキョウが居れば留守番には十分だろう」
「倉庫のデカブツは使わないのか?」
ヴァトーの言葉に、普段は傲岸不遜な態度のドクが珍しくバツが悪そうに俯いた。
「あれは……まだ調整中だ、使い物にならん」
「お前の道楽だものな、あれ」
ヴァトーは強面顔を笑みに歪めてからかう。
「制御系の調整が全然進んでないからな、起こした所でどれだけ役に立つか。
待機状態で置いておくしかないのに、無駄に電力ばかり食って申し訳ないとは思っているよ」
「使い物になるなら、タウン攻めに持って行けたのになあ」
「俺はやる事が多い、あれの調整ばかりやってる訳にはいかんからな」
フォートの機械周りの仕事はドクの担当だ。
ウィルス弾のようなハイテク装備の開発から、切れたトイレの電球の交換まで全て彼が請け負っている。
趣味の領域に裂ける時間はあまりない。
「実戦投入は先の話ってか」
「そういう事だ、まあ今回は使える戦力で何とかしてくれ」
「ああ、任せときな!」
ヴァトーは豪快に笑うと、岩の塊のような拳骨をぐっと突き出す。
肩を竦めてドクも応じ、五倍はありそうなヴァトーの拳に小さな拳をこつんとぶつけた。
そのためには小さな拠点にすぎないフォートMFではとても力が足りない。
いずれは大規模なタウンを制圧し、新たな拠点とする必要がある。
近隣随一の規模を誇るタウン48への攻撃計画は彼らの飛躍に必須であり、フォートMFの設立者であるデッドマンが自ら潜入し入念な下準備を行っていた。
デッドマンからフォートMFリーダーの地位を受け継いだレックスの役目は、フォートの規模を拡大させながらデッドマンの連絡を待つことであった。
もっとも、基本的に怠惰なレックスの指導下ではフォートの人員はさして増えもしていなかったが、それもまたデッドマンは織り込み済みである。
小拠点しか持たない内に周囲に目を付けられる程の勢力になってしまっては、フォート自体が潰されてしまいかねない。
攻撃的な性格のヴァトーではなくレックスを後継者に選んだのは、その辺りを見込んでの事であった。
フォートMFへ届けられたデッドマンの親書は、タウン48攻撃計画の実行を告げるものである。
タウン48攻撃の要はデッドマン子飼いの精鋭部隊だ。
本来、地下で育成中の精鋭部隊の成熟までもう少しの時間が必要であったが、アーミーの手入れが行われたためデッドマンは選択を迫られた。
戦力的に不安が残るが計画を実行するか、再度潜伏し時を待つか。
潜伏を行った場合、地下からマザーの目が離れ、再度力を蓄えれるまで数十年単位で掛かる可能性がある。
デッドマンだけならともかく、他のメンバーはその頃まで健在で居られるか判らない。
レックス、ヴァトー、ドクの三人の真の漢が存在する今やらねば、次の機会は何十年、何百年先になるかも知れないのだ。
地下の捜索にアーミーの目が向いている今ならば、外部からの攻撃も仕掛けやすかろう。
デッドマンの精鋭部隊が地下でアーミーの相手をしている内に、フォートの部隊でタウンを制圧するのだ。
「乗るか反るかの大博打、面白いじゃねえか」
馬鹿でかいバックパックに缶詰とレトルトパックを詰め込んで遠征の準備を行いながら、ヴァトーは豪放に笑う。
タブレット端末にヴァトーが引っ張り出した物資を記録するドクは脳天気な同輩に溜息を吐いた。
「こちらの賭け金はリーダーだ、しくじった時は素寒貧どころの騒ぎじゃないぞ。
負けが込んだとしても、レックスだけは絶対に連れ帰れよ」
「俺はどうなってもいいってのかよ」
「お前が死ぬような状況にモヤシのレックスが耐えれるとも思えんからなあ……」
「違いねえ」
真の漢二人は顔を見合わせて吹きだした。
タウン48攻略にあたり、デッドマンの親書はレックスの出馬を指示していた。
メイデンを腰砕けにする彼の能力は、戦力の主軸をメイデンに頼ったタウン48に対して強力な切り札となる。
彼の護衛に白兵戦に優れたヴァトーを配置しておけば万全だ。
一方で、レックスを参戦させる以上、フォートMFのメイデン戦力は役に立たなくなる。
キキョウとサンクチュアリはフォートの護衛として留守番を命じられていた。
ドクはといえば、そもそも文官タイプの彼は荒事ではまったく役に立たないので、どのような作戦であれ留守番役は確定である。
「しかし、ティンの奴は着いてきて大丈夫なのかねえ。 マジになったレックスの側にいるのは辛かろうに」
「手数が足りんのは確かだからな、ティンが居れば補える。 あとはまあ、あいつの頑張り次第だろう」
三体のメイデンの内、ティンのみタウン48攻略部隊に参戦する事になっていた。
レックスの側に居るとCPUがピンク色に染まってしまうのは確定であったが、それを割り引いても彼女の能力は有用だ。
普段のおちゃらけた態度とは裏腹に一途に主を想うティンならば、厳しい状況に耐えて働いてくれるとドクは確信している。
「ま、デッドマンの旦那の指示とありゃあ是非もねえ、やれるだけやってやるさ。
それよりも留守番の方、しっかり頼むぜ」
「ああ、サンクとキキョウが居れば留守番には十分だろう」
「倉庫のデカブツは使わないのか?」
ヴァトーの言葉に、普段は傲岸不遜な態度のドクが珍しくバツが悪そうに俯いた。
「あれは……まだ調整中だ、使い物にならん」
「お前の道楽だものな、あれ」
ヴァトーは強面顔を笑みに歪めてからかう。
「制御系の調整が全然進んでないからな、起こした所でどれだけ役に立つか。
待機状態で置いておくしかないのに、無駄に電力ばかり食って申し訳ないとは思っているよ」
「使い物になるなら、タウン攻めに持って行けたのになあ」
「俺はやる事が多い、あれの調整ばかりやってる訳にはいかんからな」
フォートの機械周りの仕事はドクの担当だ。
ウィルス弾のようなハイテク装備の開発から、切れたトイレの電球の交換まで全て彼が請け負っている。
趣味の領域に裂ける時間はあまりない。
「実戦投入は先の話ってか」
「そういう事だ、まあ今回は使える戦力で何とかしてくれ」
「ああ、任せときな!」
ヴァトーは豪快に笑うと、岩の塊のような拳骨をぐっと突き出す。
肩を竦めてドクも応じ、五倍はありそうなヴァトーの拳に小さな拳をこつんとぶつけた。
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