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保護動物は保護対象1
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この学園で密かに噂されていることがある。
「あ、会長様だ。今日も素敵…」
可愛らしい男の子が遠くを歩く生徒会長の姿にうっとりする。生徒会長の眉間には皺ができているのだが、恐ろしくも美しく見えるようだ。
「だけど、会長ってあの噂があんだろ」
「もう。やめてよ。僕は信じてないんだから!」
男の子は友人の言葉に膨れる。
「いてっ。だけどさー、一緒にいた目撃情報あるじゃん。すげえ少ないけど」
噂とは、高等部の生徒会長と、誰ともつるまないといわれる一匹狼な不良の関係についてである。
「うっ、僕は……、一匹狼が他の不良から会長を守ってるみたいなとこ、見たことある…」
「一番有名な話見たのか。なら信じるもなにもないだろ」
「きっと偶然通りかかったとかだもの!」
「まあ…、実際どんな関係か聞ける勇気あるやついないから謎ではあるけどな」
そんな話題の人が近くにいると2人は知らない。
学内のスーパーにいた2人なのだが、棚の反対側に偶然いあわせたのは、一匹狼といわれている加賀美恭だ。
噂のことは全く気にならない恭だが、さっきの会長の表情は気になり、早く買い物をすませ寮の部屋へと帰る。
恭は人数の関係で1人で部屋を使っているが、玄関には恭とは別の靴があった。
「…来ているか?」
「キョー!!」
飛び出してきた物体は恭の身体にしがみついた。
「…どうした?」
「ううー」
涙目になっているその男は高等部一番人気で、ちょっと俺様だと思われている生徒会長である。
「ほら、落ち着けマヒロ。お菓子買ってきたから食え」
恭は会長の佐倉真紘の頭をぽんぽん叩く。
そうされて少し落ち着いた真紘は頷き、恭に従い部屋のソファーに座った。
「で、なにかあったのか?」
「ん…」
シュークリームにかぶりつきながらも真紘は暗い顔だ。
「…今度、風紀委員長と話し合いしないといけないんだ。それも、2人だけで。重要な話なのは分かるけど俺怖い。委員長怖いもの」
また泣きそうになっている真紘。こんな怖がりだなんて知っているのは学園内では恭だけだ。
怖がりだから人と関わるのをさけて態度も虚勢を張っていれば俺様だと思われるようになっていた。
偶然に真紘が怖がりの小動物だと知った恭は、これがばれては、この学園では危ないと考えて隠して保護することにした。噂も利用させてもらっている。
「そっか…、たしかに他の人間に知られちゃ困ることもあるだろうしな」
「どうしよう。キョウ」
涙をぽろぽろ流す真紘。風紀委員長の見た目は不良なのだ。恭もそうだが、いまでは懐いているので怖くない。
恭は真紘の背中を優しく叩く。
「話し合いの場には一緒にいられないだろうが、部屋の外で待っててやる。それなら少しは安心だろ?」
少し迷う真紘だが、それ以外の手がないのだから、頷く。
「よし、じゃあ夕飯作るけど、食べてくよな?」
「ん、なに作るの?」
「そうだな。オムライスでどうだ?」
「好きだ!大盛りな!」
「ははっ、わかった」
懐くわけである。器用な恭はなにかと世話をしているのだ。恭は動物は好きだ。噂のようなあやしい関係ではなく、保護対象である。
そして風紀委員長と対峙の日。落ち着きない真紘を恭は会議室まで連れていく。
「ほら、行ってこい。マヒロ」
「キョウ。絶対絶対、どっかいっちゃ駄目だからな」
「ああ、いかない。すぐ側にいるからな」
「ん…。じゃあ行ってくる」
少し不安ながらも、これも仕事と責任感を奮い立たせ、真紘は部屋へと入る。
恭のほうは暇なわけだが風紀委員長は柄が悪いと有名なので、真紘が心配で扉の側からいっさい離れないで待つ。
小一時間ほどして、扉が開かれた。最初見えた顔はきりっとしていたが、すぐに不安そうに顔を左右させる。
「マヒロ。頑張ったな」
「キョウ。ふえ…」
「ああ、もう少し我慢しろ。なっ?」
泣きそうな真紘の頭を恭は撫でて慰める。まだ寮の部屋までは気を抜けない。
「部屋に帰るか。頑張ったご褒美に苺のケーキを食べていいぞ」
「ホント?やった。早く帰ろう」
苺が好きな真紘は早く食べたくて、恭の袖を引っ張り、早く帰ろうとする。
「…おい」
真紘にとって怖ろしい存在がそれを止める。風紀委員長の伊能優斗である。
「あ、会長様だ。今日も素敵…」
可愛らしい男の子が遠くを歩く生徒会長の姿にうっとりする。生徒会長の眉間には皺ができているのだが、恐ろしくも美しく見えるようだ。
「だけど、会長ってあの噂があんだろ」
「もう。やめてよ。僕は信じてないんだから!」
男の子は友人の言葉に膨れる。
「いてっ。だけどさー、一緒にいた目撃情報あるじゃん。すげえ少ないけど」
噂とは、高等部の生徒会長と、誰ともつるまないといわれる一匹狼な不良の関係についてである。
「うっ、僕は……、一匹狼が他の不良から会長を守ってるみたいなとこ、見たことある…」
「一番有名な話見たのか。なら信じるもなにもないだろ」
「きっと偶然通りかかったとかだもの!」
「まあ…、実際どんな関係か聞ける勇気あるやついないから謎ではあるけどな」
そんな話題の人が近くにいると2人は知らない。
学内のスーパーにいた2人なのだが、棚の反対側に偶然いあわせたのは、一匹狼といわれている加賀美恭だ。
噂のことは全く気にならない恭だが、さっきの会長の表情は気になり、早く買い物をすませ寮の部屋へと帰る。
恭は人数の関係で1人で部屋を使っているが、玄関には恭とは別の靴があった。
「…来ているか?」
「キョー!!」
飛び出してきた物体は恭の身体にしがみついた。
「…どうした?」
「ううー」
涙目になっているその男は高等部一番人気で、ちょっと俺様だと思われている生徒会長である。
「ほら、落ち着けマヒロ。お菓子買ってきたから食え」
恭は会長の佐倉真紘の頭をぽんぽん叩く。
そうされて少し落ち着いた真紘は頷き、恭に従い部屋のソファーに座った。
「で、なにかあったのか?」
「ん…」
シュークリームにかぶりつきながらも真紘は暗い顔だ。
「…今度、風紀委員長と話し合いしないといけないんだ。それも、2人だけで。重要な話なのは分かるけど俺怖い。委員長怖いもの」
また泣きそうになっている真紘。こんな怖がりだなんて知っているのは学園内では恭だけだ。
怖がりだから人と関わるのをさけて態度も虚勢を張っていれば俺様だと思われるようになっていた。
偶然に真紘が怖がりの小動物だと知った恭は、これがばれては、この学園では危ないと考えて隠して保護することにした。噂も利用させてもらっている。
「そっか…、たしかに他の人間に知られちゃ困ることもあるだろうしな」
「どうしよう。キョウ」
涙をぽろぽろ流す真紘。風紀委員長の見た目は不良なのだ。恭もそうだが、いまでは懐いているので怖くない。
恭は真紘の背中を優しく叩く。
「話し合いの場には一緒にいられないだろうが、部屋の外で待っててやる。それなら少しは安心だろ?」
少し迷う真紘だが、それ以外の手がないのだから、頷く。
「よし、じゃあ夕飯作るけど、食べてくよな?」
「ん、なに作るの?」
「そうだな。オムライスでどうだ?」
「好きだ!大盛りな!」
「ははっ、わかった」
懐くわけである。器用な恭はなにかと世話をしているのだ。恭は動物は好きだ。噂のようなあやしい関係ではなく、保護対象である。
そして風紀委員長と対峙の日。落ち着きない真紘を恭は会議室まで連れていく。
「ほら、行ってこい。マヒロ」
「キョウ。絶対絶対、どっかいっちゃ駄目だからな」
「ああ、いかない。すぐ側にいるからな」
「ん…。じゃあ行ってくる」
少し不安ながらも、これも仕事と責任感を奮い立たせ、真紘は部屋へと入る。
恭のほうは暇なわけだが風紀委員長は柄が悪いと有名なので、真紘が心配で扉の側からいっさい離れないで待つ。
小一時間ほどして、扉が開かれた。最初見えた顔はきりっとしていたが、すぐに不安そうに顔を左右させる。
「マヒロ。頑張ったな」
「キョウ。ふえ…」
「ああ、もう少し我慢しろ。なっ?」
泣きそうな真紘の頭を恭は撫でて慰める。まだ寮の部屋までは気を抜けない。
「部屋に帰るか。頑張ったご褒美に苺のケーキを食べていいぞ」
「ホント?やった。早く帰ろう」
苺が好きな真紘は早く食べたくて、恭の袖を引っ張り、早く帰ろうとする。
「…おい」
真紘にとって怖ろしい存在がそれを止める。風紀委員長の伊能優斗である。
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