21 / 59
隠し事1
しおりを挟む
「黒豹」が俺に宿っている獣の力だ。
獣の強さがそのまま能力の高さかといえばそうとも限らないが、だいたいが獣の力に見合った能力がある。
そして俺は高等部にて不良のトップであるほどの実力は持っている。しかし生徒会や風紀の連中もかなりの実力者だ。
「あんれ?トウラってばまた会長様みてんの?」
「うっせえ。どうにか獣がみれねえもんかな」
とくに、生徒会長といえば無敗らしい。
獣の力は危険だと、使用したことが明確になればかなりの罰則をくらうから、そんなに能力使用することはないが、会長に勝てば名が上がると仕掛ける奴は多い。
だが、会長は獣の力を使わずに勝ってきている。
獣の力を多く使う場合、宿る獣の姿が身体の一部に現れるが、それが現れていないのだ。
一部というのは耳とかしっぽとか。俺は猫科の耳が嫌いなんで滅多にそこまで力を使わない。
つまり力を使っていない会長はそれほどの実力というわけだ。
「だねー。会長ってばいったいどんな獣の力なのかな?あ、俺の予想はね、大穴狙いで普通の猫ちゃんだよー」
「んなわけあるか。せめて山猫とか。いや、それもありえないだろ」
隣にいる煩いのは俺の右腕で腐れ縁の深山。会長に宿る獣がなんであるかの賭にのっているらしい。
そう、誰も会長に宿る獣を知らない。俺はそれが無性に知りたい。すました感じが気に食わないんだろう。
「まーねー。やっぱライオンとか虎かな?狼とか?熊ってイメージはないけど、それだったらちょっと笑えるかも」
「お前が白鷺なんて優雅なもんであるのが笑える」
「えー。そんなこというトウラにはいいこと教えてやんないぞ」
「あん?言え」
「わー、俺様暴君。しょうがないなー。情報が入ったんだよ。トウラみたいに気になってる連中が複数で襲う計画たててる。トウラに従わない馬鹿な連中ばっかだけど、集まればなんとやらじゃない?」
「なるほどなあ。計画が失敗しようがこっちは無関係だ。うまく獣の姿くらい出させてほしいもんだな。ま、そうなればその連中はそれで終わりだろうが」
詳しく深山にその計画を調べさせる。かなりの人数を集めたらしい。まあ、無敗の会長だし、計画を失敗するわけにはいかないしな。
そしてその日、学内でする催し物の為に会長の葉月は外の物置小屋へとやってきた。1人っきりなのは罠を作ったかららしい。
誘いこんだ不良達は今は姿を隠しており、そのさらに後ろで俺達は様子を見ている。
小屋のドアに会長が手をかけた時、いっせいに不良が姿を見せた。
「なんだ、お前等。チッ、集団でないと向かってこれねえのかよ」
かなりの人数なものの、会長は余裕で挑発する。
んなもんに乗るなよと思うが、あっさり乗った奴が獣の力を使って向かっていく。しかし大振りの攻撃なんて簡単にかわされ反撃されていた。
「使えねえ」
「まあまあ、これからこれから」
深山の言うとおり、それからそれなりの人数を相手にした会長はかなり疲れた様子になってきた。
「お、あれはけっこう入ったね」
疲れで息を整えている間に近づかれた会長は腹に一発くらう。それで体勢を崩し、また一発くらった。
「なにしてんだ、あいつ」
「だね。そろそろ力出さなきゃやばいでしょ」
そうだ。不良どもは始めから獣の力を使ってる。
能力の中にはかなりの馬鹿力の場合もあり、まともに喰らえばかなり危ない。
それが分かってないはずはないのに会長は獣の力を使わない。もう身体は立っているのがやっとなのに。
「…なんでだ」
「んー、よっぽど獣姿見られたくないとか?トウラだって嫌がってるじゃん」
そういわれれば、会長の表情は必死で痛みにたえて獣の姿を出すまいとしているように見える。
「あれ、トウラ?」
俺は会長のいるところへと向かう。
「あ?トウラ、なんの用だ。これは俺らのえもの…ぐはっ」
耳としっぽ、両方出して最初から飛ばしてクズどもをのしていく。途中から深山も参戦してきたんで人数減ったら残りは任せ、俺は会長に近づく。
「おい、ハヅキ。平気か?なわけないか」
立てなくなったのか地面に座り込んでいた。身体を震わせる姿は痛々しい。こんな姿を見たかったわけじゃねえ。
「ほら、これかぶっとけ」
身体がかなり弱ってしまっても生存本能か獣の姿が現れる。
最後まで力を使わなかったほどに見られたくないんだろうから、俺の上着を頭からかぶせてやった。案の定それを受け入れている。
身体に力のない会長葉月を支えてやり、俺の部屋がいいだろうと連れていく。
獣の強さがそのまま能力の高さかといえばそうとも限らないが、だいたいが獣の力に見合った能力がある。
そして俺は高等部にて不良のトップであるほどの実力は持っている。しかし生徒会や風紀の連中もかなりの実力者だ。
「あんれ?トウラってばまた会長様みてんの?」
「うっせえ。どうにか獣がみれねえもんかな」
とくに、生徒会長といえば無敗らしい。
獣の力は危険だと、使用したことが明確になればかなりの罰則をくらうから、そんなに能力使用することはないが、会長に勝てば名が上がると仕掛ける奴は多い。
だが、会長は獣の力を使わずに勝ってきている。
獣の力を多く使う場合、宿る獣の姿が身体の一部に現れるが、それが現れていないのだ。
一部というのは耳とかしっぽとか。俺は猫科の耳が嫌いなんで滅多にそこまで力を使わない。
つまり力を使っていない会長はそれほどの実力というわけだ。
「だねー。会長ってばいったいどんな獣の力なのかな?あ、俺の予想はね、大穴狙いで普通の猫ちゃんだよー」
「んなわけあるか。せめて山猫とか。いや、それもありえないだろ」
隣にいる煩いのは俺の右腕で腐れ縁の深山。会長に宿る獣がなんであるかの賭にのっているらしい。
そう、誰も会長に宿る獣を知らない。俺はそれが無性に知りたい。すました感じが気に食わないんだろう。
「まーねー。やっぱライオンとか虎かな?狼とか?熊ってイメージはないけど、それだったらちょっと笑えるかも」
「お前が白鷺なんて優雅なもんであるのが笑える」
「えー。そんなこというトウラにはいいこと教えてやんないぞ」
「あん?言え」
「わー、俺様暴君。しょうがないなー。情報が入ったんだよ。トウラみたいに気になってる連中が複数で襲う計画たててる。トウラに従わない馬鹿な連中ばっかだけど、集まればなんとやらじゃない?」
「なるほどなあ。計画が失敗しようがこっちは無関係だ。うまく獣の姿くらい出させてほしいもんだな。ま、そうなればその連中はそれで終わりだろうが」
詳しく深山にその計画を調べさせる。かなりの人数を集めたらしい。まあ、無敗の会長だし、計画を失敗するわけにはいかないしな。
そしてその日、学内でする催し物の為に会長の葉月は外の物置小屋へとやってきた。1人っきりなのは罠を作ったかららしい。
誘いこんだ不良達は今は姿を隠しており、そのさらに後ろで俺達は様子を見ている。
小屋のドアに会長が手をかけた時、いっせいに不良が姿を見せた。
「なんだ、お前等。チッ、集団でないと向かってこれねえのかよ」
かなりの人数なものの、会長は余裕で挑発する。
んなもんに乗るなよと思うが、あっさり乗った奴が獣の力を使って向かっていく。しかし大振りの攻撃なんて簡単にかわされ反撃されていた。
「使えねえ」
「まあまあ、これからこれから」
深山の言うとおり、それからそれなりの人数を相手にした会長はかなり疲れた様子になってきた。
「お、あれはけっこう入ったね」
疲れで息を整えている間に近づかれた会長は腹に一発くらう。それで体勢を崩し、また一発くらった。
「なにしてんだ、あいつ」
「だね。そろそろ力出さなきゃやばいでしょ」
そうだ。不良どもは始めから獣の力を使ってる。
能力の中にはかなりの馬鹿力の場合もあり、まともに喰らえばかなり危ない。
それが分かってないはずはないのに会長は獣の力を使わない。もう身体は立っているのがやっとなのに。
「…なんでだ」
「んー、よっぽど獣姿見られたくないとか?トウラだって嫌がってるじゃん」
そういわれれば、会長の表情は必死で痛みにたえて獣の姿を出すまいとしているように見える。
「あれ、トウラ?」
俺は会長のいるところへと向かう。
「あ?トウラ、なんの用だ。これは俺らのえもの…ぐはっ」
耳としっぽ、両方出して最初から飛ばしてクズどもをのしていく。途中から深山も参戦してきたんで人数減ったら残りは任せ、俺は会長に近づく。
「おい、ハヅキ。平気か?なわけないか」
立てなくなったのか地面に座り込んでいた。身体を震わせる姿は痛々しい。こんな姿を見たかったわけじゃねえ。
「ほら、これかぶっとけ」
身体がかなり弱ってしまっても生存本能か獣の姿が現れる。
最後まで力を使わなかったほどに見られたくないんだろうから、俺の上着を頭からかぶせてやった。案の定それを受け入れている。
身体に力のない会長葉月を支えてやり、俺の部屋がいいだろうと連れていく。
0
あなたにおすすめの小説
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる