5 / 24
ずっとずっと待っている(現代)
しおりを挟む
もう十年は過ぎた。
失った君。
あの日から、俺の時間は止まってるようなものだ。
それでかまわない。
この先なにがあろうとも、
あの日が人生で一番大事であることは変わらないだろうから。
「原田くーん。レジかわるから休憩してよ」
「あ、はい」
俺は28でコンビニ店員。一生このままかと思うとさすがに物悲しいというか、不安もあるというか。
だけど仕方ない。こうして近くにいることが少し幸せな気がするし安心するからこのままでいい。
俺は近くのバス停を見ながら昼食をとるのが日課だ。すぐそこにあるのがよくてここにいる。
じっと見て、十年前のあの日を思い出す。
迷ってた君を道案内して、探し物を一緒に探した。会ったばかりなのに話やすくてとても楽しかったのが鮮明に記憶にある。
そして、別れ際に紙を渡された。いつのまに書いたのか携帯電話の情報が書いてあったんだ。
すぐに登録はしたのだけど、すぐにメールすることができなかった。そうすれば、こんなことにならなかったかもしれない。
次の日、学校で携帯を見る姿が変だったのか、友人にからかわれ、携帯の取り合いをしてたら落としてしまう。慌てて拾うものの、携帯は壊れてしまった。
友人の謝罪が耳に入らないほどショックで停止して、その後あふれる涙。
一日だけの付き合いだったけど大切な人になった人の情報が消えてしまった。他にその人に繋がる情報を一切知らない。
その携帯電話はだいぶ悪くなってきていたから今回だけの問題じゃなくて、それなのにSDカードとかに情報をコピーしてなかったのが悪い。
それからだ。
出会った場所に何度も足を向かわせた。それでも会うことはなく、十年が経った。
このコンビニは君と別れたバス停の側。
待っているけど、偶然の出会いは二度も起こらない。
柚橋視点
もう十年も前のこと。
初めて行った街で出会って親切にしてくれた彼が忘れられない。
たった数時間の交流だったけど、別れの時は胸が苦しくなるほどの想いができた。
その時、携帯の情報を書いた紙を渡したのだけど、一度として連絡はなかった。
当然だろう。ただちょっと話が盛り上がっただけで、他人なのだ。
それでも忘れられなくて、あの街に何度も行ったけど、名前すら知らなくて会えるわけもなく。
お金のこともあって簡単にその街にも行けなくて、諦めようと考えた。
だけど何年経とうとこびりついて消えない彼の姿と声。
だから忘れることを諦めた。一生をかけて探そうと決める。
彼は学生服を着てたから、あの街にある学校を調べて住所と家の電話番号がわかり、今は家を出て一人暮らしでコンビニで働いているというところまで分かった。
そして今、そこに向かってる。
不安もあるけど気分は高揚してる。やっと会える。
すぐに会いたい。走り出したい。気持ちを抑えるも手が震える。
バスを降りてコンビニを探すと、すぐに見つかった彼。大人びてるけど彼だとわかった。駐車場にいて、こちらを見てる。
俺はその姿を見て口角が上がるのを止められない。
茫然としてるその顔は俺が近づくほどに驚き泣きそうな顔になる。
俺も泣きそうになってるかもしれない。
覚えてて、気づいてくれた。
それだけで幸せすぎる。
原田視点
君はいないと分かっていても、ぼんやりバス停を眺めてる。するとバスがやってきて一人が降りた。
バスが去っていくことによって、その人物の姿が見える。
…君?
そう感じる。はっきりとはわからないけど。だけど、その青年がまっすぐこっちに向かってきて、徐々に確信する。
あの時の君だ。
会えた。
嬉しいはずなのに胸が詰まったように苦しい。会えた。
「…久しぶり」
泣きそうな笑顔で声をかけてくれる。
俺を、覚えててくれた。
「…会いたかった…」
「俺も」
涙があふれてそれ以上何も言えなくなって、すぐ目の前の服を掴む。優しく背を撫でてくれる。
これからやっと知り合っていける。
十年も間があったけど、無意味な時間じゃなかったと思う。
お互いどれだけ大事な存在だと感じてるか、すぐにわかったから。
2012・1・4
失った君。
あの日から、俺の時間は止まってるようなものだ。
それでかまわない。
この先なにがあろうとも、
あの日が人生で一番大事であることは変わらないだろうから。
「原田くーん。レジかわるから休憩してよ」
「あ、はい」
俺は28でコンビニ店員。一生このままかと思うとさすがに物悲しいというか、不安もあるというか。
だけど仕方ない。こうして近くにいることが少し幸せな気がするし安心するからこのままでいい。
俺は近くのバス停を見ながら昼食をとるのが日課だ。すぐそこにあるのがよくてここにいる。
じっと見て、十年前のあの日を思い出す。
迷ってた君を道案内して、探し物を一緒に探した。会ったばかりなのに話やすくてとても楽しかったのが鮮明に記憶にある。
そして、別れ際に紙を渡された。いつのまに書いたのか携帯電話の情報が書いてあったんだ。
すぐに登録はしたのだけど、すぐにメールすることができなかった。そうすれば、こんなことにならなかったかもしれない。
次の日、学校で携帯を見る姿が変だったのか、友人にからかわれ、携帯の取り合いをしてたら落としてしまう。慌てて拾うものの、携帯は壊れてしまった。
友人の謝罪が耳に入らないほどショックで停止して、その後あふれる涙。
一日だけの付き合いだったけど大切な人になった人の情報が消えてしまった。他にその人に繋がる情報を一切知らない。
その携帯電話はだいぶ悪くなってきていたから今回だけの問題じゃなくて、それなのにSDカードとかに情報をコピーしてなかったのが悪い。
それからだ。
出会った場所に何度も足を向かわせた。それでも会うことはなく、十年が経った。
このコンビニは君と別れたバス停の側。
待っているけど、偶然の出会いは二度も起こらない。
柚橋視点
もう十年も前のこと。
初めて行った街で出会って親切にしてくれた彼が忘れられない。
たった数時間の交流だったけど、別れの時は胸が苦しくなるほどの想いができた。
その時、携帯の情報を書いた紙を渡したのだけど、一度として連絡はなかった。
当然だろう。ただちょっと話が盛り上がっただけで、他人なのだ。
それでも忘れられなくて、あの街に何度も行ったけど、名前すら知らなくて会えるわけもなく。
お金のこともあって簡単にその街にも行けなくて、諦めようと考えた。
だけど何年経とうとこびりついて消えない彼の姿と声。
だから忘れることを諦めた。一生をかけて探そうと決める。
彼は学生服を着てたから、あの街にある学校を調べて住所と家の電話番号がわかり、今は家を出て一人暮らしでコンビニで働いているというところまで分かった。
そして今、そこに向かってる。
不安もあるけど気分は高揚してる。やっと会える。
すぐに会いたい。走り出したい。気持ちを抑えるも手が震える。
バスを降りてコンビニを探すと、すぐに見つかった彼。大人びてるけど彼だとわかった。駐車場にいて、こちらを見てる。
俺はその姿を見て口角が上がるのを止められない。
茫然としてるその顔は俺が近づくほどに驚き泣きそうな顔になる。
俺も泣きそうになってるかもしれない。
覚えてて、気づいてくれた。
それだけで幸せすぎる。
原田視点
君はいないと分かっていても、ぼんやりバス停を眺めてる。するとバスがやってきて一人が降りた。
バスが去っていくことによって、その人物の姿が見える。
…君?
そう感じる。はっきりとはわからないけど。だけど、その青年がまっすぐこっちに向かってきて、徐々に確信する。
あの時の君だ。
会えた。
嬉しいはずなのに胸が詰まったように苦しい。会えた。
「…久しぶり」
泣きそうな笑顔で声をかけてくれる。
俺を、覚えててくれた。
「…会いたかった…」
「俺も」
涙があふれてそれ以上何も言えなくなって、すぐ目の前の服を掴む。優しく背を撫でてくれる。
これからやっと知り合っていける。
十年も間があったけど、無意味な時間じゃなかったと思う。
お互いどれだけ大事な存在だと感じてるか、すぐにわかったから。
2012・1・4
0
あなたにおすすめの小説
俺の居場所を探して
夜野
BL
小林響也は炎天下の中辿り着き、自宅のドアを開けた瞬間眩しい光に包まれお約束的に異世界にたどり着いてしまう。
そこには怪しい人達と自分と犬猿の仲の弟の姿があった。
そこで弟は聖女、自分は弟の付き人と決められ、、、
このお話しは響也と弟が対立し、こじれて決別してそれぞれお互い的に幸せを探す話しです。
シリアスで暗めなので読み手を選ぶかもしれません。
遅筆なので不定期に投稿します。
初投稿です。
雫
ゆい
BL
涙が落ちる。
涙は彼に届くことはない。
彼を想うことは、これでやめよう。
何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。
僕は、その場から音を立てずに立ち去った。
僕はアシェル=オルスト。
侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。
彼には、他に愛する人がいた。
世界観は、【夜空と暁と】と同じです。
アルサス達がでます。
【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。
2025.4.28 ムーンライトノベルに投稿しました。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる