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お髭(ひげ)のニール (17) 思わぬ誤算
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こんな言葉が、彼の心をよぎります。あれ? でも、おかしいですね。ドッジは、まだ魔法を使えない筈なんですが……。
「……ッジ、ドッジ、なにをボンヤリしてるんだ。このロープを子犬の方へ投げてくれ。ボクの力じゃ、あそこまで届かないよ」
ニールの言葉で、ハッと我に返ったドッジ。まだ自分の見せ場が終っていないと知り、気を取り直してニールの方を向きました。そこには立派なロープの先っぽに輪っかがついた、この場面にピッタリの救助アイテムが用意されています。
「ようし、これなら」
ドッジはお髭のロープをしっかりと握り、投げ縄のように頭の上でグルグルと回し始めました。
「そうれ!」
彼が叫ぶと、輪っかのロープは勢いよく子犬の方へとビューンと飛んでいきます。
おしい! 輪っかは子犬の少し前で川面にピシャンと落ちました。でもお髭のロープを投げるなんて、多分、歴史上初めてのお話です。最初っから、成功するはずがありません。
「上手いぞ、もう少し」
「もう、ちょっとよ!」
それが分かっているニールとマリアが、体の大きい友達を励まします。
「ようし! 今度こそ」
お髭のロープを川から引き寄せたドッジは、さっきの加減を思い出しながら再び子犬めがけて投げました。
しかし、今度は少し行き過ぎてしまいます。中々上手く行きません。ドッジが「ちくしょう!」と、自らのふがいなさを毒づきます。
「ドッジ、焦るな。今度こそ大丈夫だ」
最初は弱すぎた。そして次は強すぎた。じゃぁ、今度はその真ん中くらいの力で……。
ニールの励まし受け、ドッジは満を持して第三投を放ちました。それは、見事に子犬の体に到達します。
でも……!
輪っかは子犬の体に触れましたが、そのまま川の中へ沈みます。大人ならば、この事態を容易に予見できたでしょう。でも、まだ子供の三人には、それが出来ませんでした。
良く考えてみて下さい。今回のように輪っかが子犬の体に当たったとしても、子犬がそれをつかんだり、体を輪に通さなければ、引っ張る事は出来ません。そういう芸を身につけた犬でない限り、不可能な話なのでした。
あぁ……!
三人が心の中で、同時に叫びます。自分達の、考えの足りなさを痛感したのです。
「もう、ダメだわ。輪っかが届いても、それにつかまらなきゃ、どうにもならない」
マリアがついに、ベソをかき始めました。無理もありません。自分たちに出来る事はもうないと悟ったのですから。
「おい、ニール。どうにかならねぇのかよ。せっかく、ここまできて!」
最初は救助に無関心だったドッジも、必死に食い下がります。
「そりゃ、助けたいけど……、助けたいけど、もうどうしようもないよ」
ニールも、すっかり観念してしまったようです。
「本当に、どうしようもないのかよ!」
ドッジが、重ねて尋ねます。
「……どうしようもないよ。もし誰かがあそこまで行って、子犬に輪っかを掛けられたら話は別だけど、それだったら直に救い上げた方がよっぽどマシだ」
自分達にはもうどうしようもないと認めたニールが、悔しそうに言いました。
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう。
ドッジが、心の中で雄たけびを上げます。
もう、ダメなのか。本当にダメなのか。あそこまで川を渡るのは俺でも無理だ。だけど、輪っかさえ子犬に通せれば……、通せれば……。
ドッジの心の中を、同じ言葉がグルグルと回ります。
その時です。
”私たちが、いるじゃない”
彼の耳に、どこからか声が響きました。いえ、正確に言えば耳にではありません。ドッジの心の中に、その声は響いたのです。
「……ッジ、ドッジ、なにをボンヤリしてるんだ。このロープを子犬の方へ投げてくれ。ボクの力じゃ、あそこまで届かないよ」
ニールの言葉で、ハッと我に返ったドッジ。まだ自分の見せ場が終っていないと知り、気を取り直してニールの方を向きました。そこには立派なロープの先っぽに輪っかがついた、この場面にピッタリの救助アイテムが用意されています。
「ようし、これなら」
ドッジはお髭のロープをしっかりと握り、投げ縄のように頭の上でグルグルと回し始めました。
「そうれ!」
彼が叫ぶと、輪っかのロープは勢いよく子犬の方へとビューンと飛んでいきます。
おしい! 輪っかは子犬の少し前で川面にピシャンと落ちました。でもお髭のロープを投げるなんて、多分、歴史上初めてのお話です。最初っから、成功するはずがありません。
「上手いぞ、もう少し」
「もう、ちょっとよ!」
それが分かっているニールとマリアが、体の大きい友達を励まします。
「ようし! 今度こそ」
お髭のロープを川から引き寄せたドッジは、さっきの加減を思い出しながら再び子犬めがけて投げました。
しかし、今度は少し行き過ぎてしまいます。中々上手く行きません。ドッジが「ちくしょう!」と、自らのふがいなさを毒づきます。
「ドッジ、焦るな。今度こそ大丈夫だ」
最初は弱すぎた。そして次は強すぎた。じゃぁ、今度はその真ん中くらいの力で……。
ニールの励まし受け、ドッジは満を持して第三投を放ちました。それは、見事に子犬の体に到達します。
でも……!
輪っかは子犬の体に触れましたが、そのまま川の中へ沈みます。大人ならば、この事態を容易に予見できたでしょう。でも、まだ子供の三人には、それが出来ませんでした。
良く考えてみて下さい。今回のように輪っかが子犬の体に当たったとしても、子犬がそれをつかんだり、体を輪に通さなければ、引っ張る事は出来ません。そういう芸を身につけた犬でない限り、不可能な話なのでした。
あぁ……!
三人が心の中で、同時に叫びます。自分達の、考えの足りなさを痛感したのです。
「もう、ダメだわ。輪っかが届いても、それにつかまらなきゃ、どうにもならない」
マリアがついに、ベソをかき始めました。無理もありません。自分たちに出来る事はもうないと悟ったのですから。
「おい、ニール。どうにかならねぇのかよ。せっかく、ここまできて!」
最初は救助に無関心だったドッジも、必死に食い下がります。
「そりゃ、助けたいけど……、助けたいけど、もうどうしようもないよ」
ニールも、すっかり観念してしまったようです。
「本当に、どうしようもないのかよ!」
ドッジが、重ねて尋ねます。
「……どうしようもないよ。もし誰かがあそこまで行って、子犬に輪っかを掛けられたら話は別だけど、それだったら直に救い上げた方がよっぽどマシだ」
自分達にはもうどうしようもないと認めたニールが、悔しそうに言いました。
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう。
ドッジが、心の中で雄たけびを上げます。
もう、ダメなのか。本当にダメなのか。あそこまで川を渡るのは俺でも無理だ。だけど、輪っかさえ子犬に通せれば……、通せれば……。
ドッジの心の中を、同じ言葉がグルグルと回ります。
その時です。
”私たちが、いるじゃない”
彼の耳に、どこからか声が響きました。いえ、正確に言えば耳にではありません。ドッジの心の中に、その声は響いたのです。
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