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お髭(ひげ)のニール (18) ドッジの魔法
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そうか!
ドッジの目に、わずかながら希望の灯がともります。
絶望の淵に座り込んでいる二人の友人の前に、ドッジが仁王立ちをしました。
「おい、お前ら、絶対に笑うなよ。笑ったら、引っぱたくからな!」
ドッジが、意味不明の言葉をニールとマリアに浴びせます。
「……? あんた、なに言ってんの?」
マリアが泣きじゃくりながら、大きな友達を見上げます。
「そうだよ。何を言ってるんだ」
ニールも、お髭を涙に濡らしながら答えました。
「いいから、約束しろ。これから何を見ても、絶対に笑わないって!」
ドッジは怒鳴りますが、二人はキョトンとしたままです。
イラついたドッジは、
「返事がないって事は、わかったって事だよな。笑ったら、本当に引っぱたくからな!」
と言いました。そして、彼はおもむろに両手を前に突き出して、手のひらを上に向けました。
「ミリナにファリナ、出て来ておくれ。可愛い笑顔を、振りまき振りまき」
ドッジが、ガキ大将には全くふさわしくいない”呪文”を唱えます。
すると、どうでしょう。彼の手のひらの上に、小さな光の粒が二つ現れたかと思うと、それはお互いに回り合いながら、どんどん大きくなっていきました。そして最後には背中に羽の生えた、身長十三~四センチほどの小さな少女二人になったのです。
「ミリナ、ファリナ。この輪っかをあそこいる子犬の所まで持って行って、あいつの体に通して来い」
ドッジが、強い口調で言いました。
「いやよ。だって私たち、あなたの家来じゃないもの」
クリアブルーの羽根を持った、ミリナが言いました。
「そうよ、そうよ。私たちは、あなたのお友だち。だからちゃんと頼まなきゃ、何もしてあげない!」
続いて、クリアレッドの羽根をもった、同じくファリナが言いました。
ドッジが使えるようになった魔法。それはご覧のように、二人の精霊を呼び出す魔法だったのです。
これは、かなり珍しい魔法です。ニールのママが、水の精霊や泡の精霊を呼び出して、炊事の手伝いをさせる魔法を使える事は既にお話しました。
でもママは、精霊たちの姿そのものを見る事は出来ません。精霊たちが起こした「現象」を認識できるに過ぎないんです。もちろん、彼らと会話なんて出来ません。それが普通なんです。だからこうやって、精霊の姿をはっきりと見ながら直にお話も出来るなんて、滅多にない魔法なんですね。
「うるせぇな。つべこべ言わないで、さっさと輪っかを掛けに行けよ」
ドッジが、いつもの口調で怒鳴ります。
「いやよ」
「いやよ」
ミリナとファリナが同時に答えます。どうやら、一筋縄ではいかない精霊たちのようですね。
か――っ! 急いでるのによ。だけど、こいつらこのままじゃ、絶対に言う事をきかねぇよな。
彼女たちの性格を知っているドッジは、大変不本意ながらも自らを曲げました。
「わ、わかったよ。お願いだから、あの子犬にこの輪っかを通してきてくれ。いや、通してきて下さい」
ならぬ堪忍、するが堪忍の気持ちで、ドッジは精霊たちに頼みます。
「ふふっ。わかったわ、ドッジ」
「ふふっ。わかったわ、ドッジ」
二人が声をそろえて言いました。そしてドッジが差し出したお髭の輪っかを二人で持って、子犬の所へフワフワと飛んで行きます。ドッジはドッジでロープの全ての重さが二人に掛からないよう、両手でそれを持ちながら、彼女たちの進んだ分だけ送り出していきました。
ドッジの目に、わずかながら希望の灯がともります。
絶望の淵に座り込んでいる二人の友人の前に、ドッジが仁王立ちをしました。
「おい、お前ら、絶対に笑うなよ。笑ったら、引っぱたくからな!」
ドッジが、意味不明の言葉をニールとマリアに浴びせます。
「……? あんた、なに言ってんの?」
マリアが泣きじゃくりながら、大きな友達を見上げます。
「そうだよ。何を言ってるんだ」
ニールも、お髭を涙に濡らしながら答えました。
「いいから、約束しろ。これから何を見ても、絶対に笑わないって!」
ドッジは怒鳴りますが、二人はキョトンとしたままです。
イラついたドッジは、
「返事がないって事は、わかったって事だよな。笑ったら、本当に引っぱたくからな!」
と言いました。そして、彼はおもむろに両手を前に突き出して、手のひらを上に向けました。
「ミリナにファリナ、出て来ておくれ。可愛い笑顔を、振りまき振りまき」
ドッジが、ガキ大将には全くふさわしくいない”呪文”を唱えます。
すると、どうでしょう。彼の手のひらの上に、小さな光の粒が二つ現れたかと思うと、それはお互いに回り合いながら、どんどん大きくなっていきました。そして最後には背中に羽の生えた、身長十三~四センチほどの小さな少女二人になったのです。
「ミリナ、ファリナ。この輪っかをあそこいる子犬の所まで持って行って、あいつの体に通して来い」
ドッジが、強い口調で言いました。
「いやよ。だって私たち、あなたの家来じゃないもの」
クリアブルーの羽根を持った、ミリナが言いました。
「そうよ、そうよ。私たちは、あなたのお友だち。だからちゃんと頼まなきゃ、何もしてあげない!」
続いて、クリアレッドの羽根をもった、同じくファリナが言いました。
ドッジが使えるようになった魔法。それはご覧のように、二人の精霊を呼び出す魔法だったのです。
これは、かなり珍しい魔法です。ニールのママが、水の精霊や泡の精霊を呼び出して、炊事の手伝いをさせる魔法を使える事は既にお話しました。
でもママは、精霊たちの姿そのものを見る事は出来ません。精霊たちが起こした「現象」を認識できるに過ぎないんです。もちろん、彼らと会話なんて出来ません。それが普通なんです。だからこうやって、精霊の姿をはっきりと見ながら直にお話も出来るなんて、滅多にない魔法なんですね。
「うるせぇな。つべこべ言わないで、さっさと輪っかを掛けに行けよ」
ドッジが、いつもの口調で怒鳴ります。
「いやよ」
「いやよ」
ミリナとファリナが同時に答えます。どうやら、一筋縄ではいかない精霊たちのようですね。
か――っ! 急いでるのによ。だけど、こいつらこのままじゃ、絶対に言う事をきかねぇよな。
彼女たちの性格を知っているドッジは、大変不本意ながらも自らを曲げました。
「わ、わかったよ。お願いだから、あの子犬にこの輪っかを通してきてくれ。いや、通してきて下さい」
ならぬ堪忍、するが堪忍の気持ちで、ドッジは精霊たちに頼みます。
「ふふっ。わかったわ、ドッジ」
「ふふっ。わかったわ、ドッジ」
二人が声をそろえて言いました。そしてドッジが差し出したお髭の輪っかを二人で持って、子犬の所へフワフワと飛んで行きます。ドッジはドッジでロープの全ての重さが二人に掛からないよう、両手でそれを持ちながら、彼女たちの進んだ分だけ送り出していきました。
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