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魔女と奇妙な男 (8) クレオン・ドスタール
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「あぁ、やっぱりクレオン。でも久しぶりじゃないわよね。二週間くらい前に、魔女会議であったでしょ?」
コリスが、当然のように返します。
「いや、愛しのコリスちゃんに会えない二週間は、僕にとって幾千年にも感じられたって事さ」
クレオンと呼ばれた男の言に、コリスがため息をつきました。どうやら、これがいつもの挨拶のようですね。
事情を全く飲み込めないネリスが、師匠の袖をツンツンと引っ張ります。
「ちょっ、師匠。誰ですかこの人。知り合いなんですか?」
置いてけぼりを食らったような顔で、ネリスがコリスに不満を漏らします。
「あぁ、そうね。ネリスとは初めてだったわよね。こちらは、クレオン・ドスタール。一応、優秀な”魔女”よ」
コリスが、弟子を振り返り答えました。
あれ、変ですね。二人の前にいるのは、まごう事なき「男」です。でも魔女というのは……。
いえ、これは不思議でも何でもない話なんです。確かに薬に関する魔法を使える人の大半は女性です。だけど男性が皆無というわけではありません。ただ、昔は自分が薬の魔法を使えると公言する男性って、非常に少なかったんです。
女ばかりの魔女社会に入っても、異端視されるだけでしたから、薬を扱える男性の存在は透明に扱われて来たのでした。
よって、たとえ自分の能力を公言していても、その人は「魔男」とは呼ばれなかったんですね。「魔女は女であるべきで、女が魔女を支配するべきだ」という古い考え方が、ずっとまかり通って来たというのが、当を得た説明と言えるでしょう。
ただ、ここ二~三十年の間に、その考えも世のジェンダーレスの波に洗われて、少しずつ変わっては来ているんです。
「へぇ、男の魔女って、初めて見た」
コリスの知り合いと分かり、少しは安心したのでしょう。ネリスが、いつもの好奇心を発揮し始めます。
「おい、おい、人を珍獣を見るような目で眺めるんじゃないよ。恥ずかしいじゃないか」
クレオンが、おどけます。
「あ、すいま……」
謝りかけて、ネリスは肝心な事を思い出しました。
「師匠、この人ストーカーです!」
ネリスは精一杯、人差し指をツンと伸ばして男を射抜きます。
「おいおい、失礼な事を言うなよ。新米魔女くん」
クレオンが、下唇をちょっと出しました。
「そうよ。この人は軽薄で、いい加減で、甲斐性なしの如何にもチャラ男だけど、ストーカーなんてする人じゃありません。
それは、私が保証します」
「チャラ男って保証されても、嬉しくないなぁ」
コリスの言葉に、クレオンが頭をかきます。
ネリスは、なおも信用できないという顔をしましたが、
「まぁ、立ち話も何だから、屋敷の中へ入らない?」
と、クレオンが笑いながら言いました。
「それはこの家の主人である、私が言うセリフでしょ」
コリスは、口をへの字に結びます。
「はいはい、仰せの通りで。マダム・コリス」
ウインクをして、クレオンが子供っぽく笑いました。
門扉を開け、屋敷の中に入る三人。
「じゃあ、僕は先に行ってるわ」
クレオンは右手を振り、ズカズカと玄関方へと向かいます。コリスとネリスは、自転車をしまってからでないと屋敷へ入れないので、置きざりになりそうでした。
「ちょっと、待ちなさい。私が行かないと、玄関のドアは開かないわよ」
「いいさ。勝手口から入るから」
クレオンは、気にしません。
コリスが、当然のように返します。
「いや、愛しのコリスちゃんに会えない二週間は、僕にとって幾千年にも感じられたって事さ」
クレオンと呼ばれた男の言に、コリスがため息をつきました。どうやら、これがいつもの挨拶のようですね。
事情を全く飲み込めないネリスが、師匠の袖をツンツンと引っ張ります。
「ちょっ、師匠。誰ですかこの人。知り合いなんですか?」
置いてけぼりを食らったような顔で、ネリスがコリスに不満を漏らします。
「あぁ、そうね。ネリスとは初めてだったわよね。こちらは、クレオン・ドスタール。一応、優秀な”魔女”よ」
コリスが、弟子を振り返り答えました。
あれ、変ですね。二人の前にいるのは、まごう事なき「男」です。でも魔女というのは……。
いえ、これは不思議でも何でもない話なんです。確かに薬に関する魔法を使える人の大半は女性です。だけど男性が皆無というわけではありません。ただ、昔は自分が薬の魔法を使えると公言する男性って、非常に少なかったんです。
女ばかりの魔女社会に入っても、異端視されるだけでしたから、薬を扱える男性の存在は透明に扱われて来たのでした。
よって、たとえ自分の能力を公言していても、その人は「魔男」とは呼ばれなかったんですね。「魔女は女であるべきで、女が魔女を支配するべきだ」という古い考え方が、ずっとまかり通って来たというのが、当を得た説明と言えるでしょう。
ただ、ここ二~三十年の間に、その考えも世のジェンダーレスの波に洗われて、少しずつ変わっては来ているんです。
「へぇ、男の魔女って、初めて見た」
コリスの知り合いと分かり、少しは安心したのでしょう。ネリスが、いつもの好奇心を発揮し始めます。
「おい、おい、人を珍獣を見るような目で眺めるんじゃないよ。恥ずかしいじゃないか」
クレオンが、おどけます。
「あ、すいま……」
謝りかけて、ネリスは肝心な事を思い出しました。
「師匠、この人ストーカーです!」
ネリスは精一杯、人差し指をツンと伸ばして男を射抜きます。
「おいおい、失礼な事を言うなよ。新米魔女くん」
クレオンが、下唇をちょっと出しました。
「そうよ。この人は軽薄で、いい加減で、甲斐性なしの如何にもチャラ男だけど、ストーカーなんてする人じゃありません。
それは、私が保証します」
「チャラ男って保証されても、嬉しくないなぁ」
コリスの言葉に、クレオンが頭をかきます。
ネリスは、なおも信用できないという顔をしましたが、
「まぁ、立ち話も何だから、屋敷の中へ入らない?」
と、クレオンが笑いながら言いました。
「それはこの家の主人である、私が言うセリフでしょ」
コリスは、口をへの字に結びます。
「はいはい、仰せの通りで。マダム・コリス」
ウインクをして、クレオンが子供っぽく笑いました。
門扉を開け、屋敷の中に入る三人。
「じゃあ、僕は先に行ってるわ」
クレオンは右手を振り、ズカズカと玄関方へと向かいます。コリスとネリスは、自転車をしまってからでないと屋敷へ入れないので、置きざりになりそうでした。
「ちょっと、待ちなさい。私が行かないと、玄関のドアは開かないわよ」
「いいさ。勝手口から入るから」
クレオンは、気にしません。
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