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魔女と奇妙な男 (18) 追跡者
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ネリスが口ごもるのを見て、サジルはそれとなく話題を変えました。さすがベテラン商人、抜かりはありません。自然と話題は、クレオンについての話に移っていきました。やはり、あれだけ店の従業員に人気となれば、出入り商人としては気になる所なのでしょう。
「それならですね……」
向こうから話の流れを変えてくれた事に感謝しつつ、ネリスはサービス精神旺盛に、あれやこれやと聞かれていない話までサジルに喋っていきます。化け物の件を吹聴したおかげで困っている事を、もう忘れてしまったようですね。
「ふ~ん。で、彼は今、ネリスさんの仮住まいの方に寝泊まりしてるんだ」
サジルが聞き上手らしい、絶妙な相槌を打ちます。そこからの話題はコリス邸に移りました。只でさえ窮屈な上に、クレオンに監視をされる生活。そんなストレスもあったのでしょうね。自分から、もうベラベラと喋りまくります。
「親方、終わりました」
話がひとしきり終わったところで、メサイトが雇い主に声をかけます。こちらも新米だからなのでしょう。サジルが自分で作業をこなすよりも、時間が掛かったようでした。
「それじゃぁ、ネリスさん。また、よろしくお願いします」
サジルが、丁寧なあいさつをして帰って行きます。あくまでお得意様の店で働いているからこそ、親子ほど年の離れたネリスにも腰の低い対応をするのですが、彼女にはそれが”自分が大人扱いされている”と感じられ、彼が来ると心地の良い時間を過ごせるのでした。
翌日の相談所の退勤時間。今日もクレオンは一緒ではありません。本当、どこをほっつき歩いてるんですかね。でも、それはネリスにとっても好都合な話なので、その事はコリスや他の屋敷の人には言っていませんでした。
あれっ?
夜のとばりが降りつつある中、自転車を走らせていたネリスは、背後にいつぞやの違和感を覚えます。何か嫌な印象の違和感です。ネリスとしては前にも経験済みですし、正体はクレオンだろうと分かっていましたので、先日のような恐怖はだいぶ薄らいでおりました。
「もう、隠れて監視はしないって言ったのに」
これだから大人は信用できないんだ、と言わんばかりに、ネリスは愚痴りました。そこで彼女は、ハッと気がづきます。
クレオンさんが私と一緒に行動しないと言ったのは、実は私を油断させるためで、本当は隠れて見張っているんじゃないのかな?
それは十分にあり得る話でした。何せ彼の目的は、あくまでネリスの状況確認だからです。それにはやはり、隠密行動が一番なのは明白でした。実際の所、彼に見張られていると分かったネリスは、全くいつも通りに生活しているというわけでは、ありませんでしたからね。
ようし、こらしめてやる!
自分の立場をよく理解していないような発言ですが、その時のネリスはそう思いました。もちろん、後先の事なんて全く考えていません。まぁ、監視対象になる直接の原因となった事件も、そういう彼女の性格が主な原因なんですが、本人は全く反省していないようですね。
さて、どうしたものかとネリスは考えます。単純に引き返しても、捕まえられるとは思えません。それは前回、自転車でコケた時の状況を考えればわかります。理由は不明ですが、クレオンは姿を隠しながら、全速力の自転車の速度に対応できる能力があるからです。
そこで彼女は閃きました。
ネリスはいつもの帰宅ルートにある、大変わかりづらい横道へと入ります。この暗がりの中、普通の人なら完全に見失う所です。ですが異彩を放つ追跡者クレオンが、易々と騙されるとは思えません。そんな事は、彼女も承知の上です。
「それならですね……」
向こうから話の流れを変えてくれた事に感謝しつつ、ネリスはサービス精神旺盛に、あれやこれやと聞かれていない話までサジルに喋っていきます。化け物の件を吹聴したおかげで困っている事を、もう忘れてしまったようですね。
「ふ~ん。で、彼は今、ネリスさんの仮住まいの方に寝泊まりしてるんだ」
サジルが聞き上手らしい、絶妙な相槌を打ちます。そこからの話題はコリス邸に移りました。只でさえ窮屈な上に、クレオンに監視をされる生活。そんなストレスもあったのでしょうね。自分から、もうベラベラと喋りまくります。
「親方、終わりました」
話がひとしきり終わったところで、メサイトが雇い主に声をかけます。こちらも新米だからなのでしょう。サジルが自分で作業をこなすよりも、時間が掛かったようでした。
「それじゃぁ、ネリスさん。また、よろしくお願いします」
サジルが、丁寧なあいさつをして帰って行きます。あくまでお得意様の店で働いているからこそ、親子ほど年の離れたネリスにも腰の低い対応をするのですが、彼女にはそれが”自分が大人扱いされている”と感じられ、彼が来ると心地の良い時間を過ごせるのでした。
翌日の相談所の退勤時間。今日もクレオンは一緒ではありません。本当、どこをほっつき歩いてるんですかね。でも、それはネリスにとっても好都合な話なので、その事はコリスや他の屋敷の人には言っていませんでした。
あれっ?
夜のとばりが降りつつある中、自転車を走らせていたネリスは、背後にいつぞやの違和感を覚えます。何か嫌な印象の違和感です。ネリスとしては前にも経験済みですし、正体はクレオンだろうと分かっていましたので、先日のような恐怖はだいぶ薄らいでおりました。
「もう、隠れて監視はしないって言ったのに」
これだから大人は信用できないんだ、と言わんばかりに、ネリスは愚痴りました。そこで彼女は、ハッと気がづきます。
クレオンさんが私と一緒に行動しないと言ったのは、実は私を油断させるためで、本当は隠れて見張っているんじゃないのかな?
それは十分にあり得る話でした。何せ彼の目的は、あくまでネリスの状況確認だからです。それにはやはり、隠密行動が一番なのは明白でした。実際の所、彼に見張られていると分かったネリスは、全くいつも通りに生活しているというわけでは、ありませんでしたからね。
ようし、こらしめてやる!
自分の立場をよく理解していないような発言ですが、その時のネリスはそう思いました。もちろん、後先の事なんて全く考えていません。まぁ、監視対象になる直接の原因となった事件も、そういう彼女の性格が主な原因なんですが、本人は全く反省していないようですね。
さて、どうしたものかとネリスは考えます。単純に引き返しても、捕まえられるとは思えません。それは前回、自転車でコケた時の状況を考えればわかります。理由は不明ですが、クレオンは姿を隠しながら、全速力の自転車の速度に対応できる能力があるからです。
そこで彼女は閃きました。
ネリスはいつもの帰宅ルートにある、大変わかりづらい横道へと入ります。この暗がりの中、普通の人なら完全に見失う所です。ですが異彩を放つ追跡者クレオンが、易々と騙されるとは思えません。そんな事は、彼女も承知の上です。
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