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魔女と奇妙な男 (43) ネリスの勝機
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「て、てめぇ、それはオレがこれから言おうと……!」
折角の見せ場を横取りされたメサイトは,
烈火の如く怒り出します。
その形相は凄まじいものでしたが、もうネリスは恐れません。だってこのままじゃ、ネリスの大事な人達、師匠やオリビアやフレディに、大きな不幸が降りかかってしまうわけですからね。ま、レアロンの事は脇に置いといて。
実はこの時、ネリスには僅かに勝算がありました。それはメサイトの体が、少しずつではありますが、小さくなっている事に気がついたからです。
効果切れ。
その言葉が、ネリスの頭に閃きます。
新米とは言え、薬づくりの専門家であるネリスは直感しました。薬には効果が表れる時間が決まっているけれど、化け物が飲んだ薬の効果は思いのほか短いのではないかと。
それならばメサイトが元の姿に戻った時、サジルの隙をついて逃げ出せば、もしかして自転車のある場所まで辿り着けるかも知れません。そうすれば、あとは人気のある所へ脱出するだけです。
メサイトが、これまで化け物の姿を人々に晒す事を恐れてきたのは明らかですから、ネリスにも助かる見込みが十分ありました。
そんな計画を思い描いている途中にも、ネリスの頭には、またまた一つの疑問が浮かび上がります。
薬の効き目が切れるのが早すぎない? 教科書で読んだ禁忌の薬は、兵士の力を増強するためのもの。こんなに早く効果が切れるんじゃ、戦争には使えない。……もしかして、あいつが飲んでいる薬は未完成品なのでは?
そんな予測も、ネリスに希望を与えました。
「ふざけんなよ、小娘が! このオレ様を侮辱するとどういう事になるか……!」
メサイトは凄みますが、ネリスを人質にする以上、この場で殺す事はあり得ません。彼女も、それは見透かしておりました。覚悟を決めた魔女は強い! それを証明するかのようですね。
「あぁ、クソッ!むかつく小娘が! フン、じゃあな、教えてやろう。お前が究極のバカ娘だって話をな!」
ネリスが予想した通り、威嚇はしていますが、彼女に手荒な真似をする事は出来ない様子のメサイト。
「はぁ? バカ娘って何よ。あんたに言われる筋合いはないわ!」
もうすっかり、いつもの調子に戻っているネリスです。
「いいや、大馬鹿だね。それを今から説明してやる」
まるで切り札を出すかのように、メサイトは有頂天になりました。
「オレはお前を捕まえようと色々考えたさ。で、お前の行く先々で見張ってたんだ。
でも途中から、なぜかワケのわからん奴がお前の後をつけ始めた。だからこっちも、迂闊に手が出せなかったんだ。万が一にも誘拐に失敗したら、お前は屋敷から出なくなるだろう?
それじゃぁ、計画は成り立たない。
だがそいつも、いつの頃からか現れなくなって、ほら、何日か前の夜、理由は知らんがお前が暗い脇道へ入って行った時は、チャンスだと思ったね。
だが、そっちのサジルのおかげで失敗した」
メサイトの口が、いよいよ饒舌になっていきます。
あぁ。”ワケのわからん奴”ってのは、きっとクレオンさんね。まぁ、確かにその見方は正しいわ。
不本意ながら、ネリスは化け物に同意しました。クレオンが聞いたら相当ショックを受けそうな話ですね。
折角の見せ場を横取りされたメサイトは,
烈火の如く怒り出します。
その形相は凄まじいものでしたが、もうネリスは恐れません。だってこのままじゃ、ネリスの大事な人達、師匠やオリビアやフレディに、大きな不幸が降りかかってしまうわけですからね。ま、レアロンの事は脇に置いといて。
実はこの時、ネリスには僅かに勝算がありました。それはメサイトの体が、少しずつではありますが、小さくなっている事に気がついたからです。
効果切れ。
その言葉が、ネリスの頭に閃きます。
新米とは言え、薬づくりの専門家であるネリスは直感しました。薬には効果が表れる時間が決まっているけれど、化け物が飲んだ薬の効果は思いのほか短いのではないかと。
それならばメサイトが元の姿に戻った時、サジルの隙をついて逃げ出せば、もしかして自転車のある場所まで辿り着けるかも知れません。そうすれば、あとは人気のある所へ脱出するだけです。
メサイトが、これまで化け物の姿を人々に晒す事を恐れてきたのは明らかですから、ネリスにも助かる見込みが十分ありました。
そんな計画を思い描いている途中にも、ネリスの頭には、またまた一つの疑問が浮かび上がります。
薬の効き目が切れるのが早すぎない? 教科書で読んだ禁忌の薬は、兵士の力を増強するためのもの。こんなに早く効果が切れるんじゃ、戦争には使えない。……もしかして、あいつが飲んでいる薬は未完成品なのでは?
そんな予測も、ネリスに希望を与えました。
「ふざけんなよ、小娘が! このオレ様を侮辱するとどういう事になるか……!」
メサイトは凄みますが、ネリスを人質にする以上、この場で殺す事はあり得ません。彼女も、それは見透かしておりました。覚悟を決めた魔女は強い! それを証明するかのようですね。
「あぁ、クソッ!むかつく小娘が! フン、じゃあな、教えてやろう。お前が究極のバカ娘だって話をな!」
ネリスが予想した通り、威嚇はしていますが、彼女に手荒な真似をする事は出来ない様子のメサイト。
「はぁ? バカ娘って何よ。あんたに言われる筋合いはないわ!」
もうすっかり、いつもの調子に戻っているネリスです。
「いいや、大馬鹿だね。それを今から説明してやる」
まるで切り札を出すかのように、メサイトは有頂天になりました。
「オレはお前を捕まえようと色々考えたさ。で、お前の行く先々で見張ってたんだ。
でも途中から、なぜかワケのわからん奴がお前の後をつけ始めた。だからこっちも、迂闊に手が出せなかったんだ。万が一にも誘拐に失敗したら、お前は屋敷から出なくなるだろう?
それじゃぁ、計画は成り立たない。
だがそいつも、いつの頃からか現れなくなって、ほら、何日か前の夜、理由は知らんがお前が暗い脇道へ入って行った時は、チャンスだと思ったね。
だが、そっちのサジルのおかげで失敗した」
メサイトの口が、いよいよ饒舌になっていきます。
あぁ。”ワケのわからん奴”ってのは、きっとクレオンさんね。まぁ、確かにその見方は正しいわ。
不本意ながら、ネリスは化け物に同意しました。クレオンが聞いたら相当ショックを受けそうな話ですね。
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