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魔女と奇妙な男 (72) ネリスの行き先
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「あのバカ! おい、ネリス、反対だ反対!出口はこっちじゃない!」
ネリスの突拍子もない行動に、クレオンが取り乱します。それはそうでしょう。彼は必死に彼女を”出口”から逃がそうとしていたのに、全く逆の方へと走り出したのですからね。
「ほぉ、あの小娘。余りの恐怖で、頭がどうにかなっちまったようだな!」
ようやく片膝を立てたメサイトが、さもおかしそうに言いました。
立ち上がった化け物に対し、クレオンは防護に特化した構えを披露します。今のクレオンの力で、このディフェンス技がどこまで通じるのかはわかりませんが、ネリスとメサイトの間にはクレオンしかいないのです。それは彼が倒れてしまえば、ネリスは化け物の手中に陥る事を意味しておりました。
しかしネリスは、クレオンたちの傍に来て、一体何をするつもりなのでしょうか?
ただメサイトの方としても、迂闊に動く事は出来ません。何せ先程の体当たりは、彼に取って全くの予想外の出来事でしたからね。そんなわけで双方とも用心深く、互いの一挙手一投足を見逃すまいとしておりました。でもネリスが近づくにつれ、決闘者たちの緊張が破られる瞬間が刻一刻と迫っています。
しかし、その時!
クレオンを挟んでネリスと向かい合っているメサイトの視界から、一瞬、ネリスの姿が消えました。
「うん? どこへ行った!?」
メサイトが、口走ります。
防御の構えをとったクレオンから見れば、ネリスは後ろから走って来るので、彼女を直接確認する事は出来ません。しかし、メサイトの言葉を聞き、ネリスが何事かをするつもりなのだとは察しがつきました。
「あっ、てめぇ、待ちやがれ!」
続けてメサイトが声を上げます。クレオンが見ると、化け物の顔は向かって右を向いておりました。クレオンは隙を作らないよう気を付けながら、自分も化け物と同じ方角に目をやります。
彼女、今度はホールの窓とは反対側の方角へ突っ走って行きました。
そして壁側にある、階段の手すりをつかむと、
「クレオンさん、時間を稼いで!」
と、一声叫ぶや階段をパタパタと駆け上ります。
「あぁ? あの小娘、何処へ行くつもりだ? 確かサジルがよこした図面だと、あの上には薬の倉庫と、何だかがあるはずだが……」
既に自分の方が有利であると決め込んでいるメサイトは、余裕を持って首をかしげます。
「ははぁ、サジルの情報では、上は色々と入り組んでいるらしい。ちっこい小娘なら隠れ放題ってわけだ。で、そのままオレの目を誤魔化そうってんだな?」
メサイトが、見当をつけます。
「だが、おあいにく様だ。この戦闘魔女を倒してしまえば、オレの視力や聴力は、あいつを簡単に見つけ出せるだろうよ」
化け物は、高らかに笑いました。
クレオンは不本意ながら、メサイトの考えに同意します。
あいつは”時間を稼いで”と言った。恐らくネリスの帰りが遅い事を心配したコリスやレアロンが、ここを突き止めて助けてくれるとでも思っているのだろう。それまでは、化け物相手にかくれんぼをしようって算段か……。
クレオンが、苦笑しました。
もしかしたら、それはある程度良い作戦だったのかも知れません。実際、コリスはレアロンに命じ、ネリスを探させているわけですからね。でも全く運が悪い。だって濃紺のローブの男のおかげで、レアロンはこの場所を見つける事が出来ないのですから……。
ネリスの突拍子もない行動に、クレオンが取り乱します。それはそうでしょう。彼は必死に彼女を”出口”から逃がそうとしていたのに、全く逆の方へと走り出したのですからね。
「ほぉ、あの小娘。余りの恐怖で、頭がどうにかなっちまったようだな!」
ようやく片膝を立てたメサイトが、さもおかしそうに言いました。
立ち上がった化け物に対し、クレオンは防護に特化した構えを披露します。今のクレオンの力で、このディフェンス技がどこまで通じるのかはわかりませんが、ネリスとメサイトの間にはクレオンしかいないのです。それは彼が倒れてしまえば、ネリスは化け物の手中に陥る事を意味しておりました。
しかしネリスは、クレオンたちの傍に来て、一体何をするつもりなのでしょうか?
ただメサイトの方としても、迂闊に動く事は出来ません。何せ先程の体当たりは、彼に取って全くの予想外の出来事でしたからね。そんなわけで双方とも用心深く、互いの一挙手一投足を見逃すまいとしておりました。でもネリスが近づくにつれ、決闘者たちの緊張が破られる瞬間が刻一刻と迫っています。
しかし、その時!
クレオンを挟んでネリスと向かい合っているメサイトの視界から、一瞬、ネリスの姿が消えました。
「うん? どこへ行った!?」
メサイトが、口走ります。
防御の構えをとったクレオンから見れば、ネリスは後ろから走って来るので、彼女を直接確認する事は出来ません。しかし、メサイトの言葉を聞き、ネリスが何事かをするつもりなのだとは察しがつきました。
「あっ、てめぇ、待ちやがれ!」
続けてメサイトが声を上げます。クレオンが見ると、化け物の顔は向かって右を向いておりました。クレオンは隙を作らないよう気を付けながら、自分も化け物と同じ方角に目をやります。
彼女、今度はホールの窓とは反対側の方角へ突っ走って行きました。
そして壁側にある、階段の手すりをつかむと、
「クレオンさん、時間を稼いで!」
と、一声叫ぶや階段をパタパタと駆け上ります。
「あぁ? あの小娘、何処へ行くつもりだ? 確かサジルがよこした図面だと、あの上には薬の倉庫と、何だかがあるはずだが……」
既に自分の方が有利であると決め込んでいるメサイトは、余裕を持って首をかしげます。
「ははぁ、サジルの情報では、上は色々と入り組んでいるらしい。ちっこい小娘なら隠れ放題ってわけだ。で、そのままオレの目を誤魔化そうってんだな?」
メサイトが、見当をつけます。
「だが、おあいにく様だ。この戦闘魔女を倒してしまえば、オレの視力や聴力は、あいつを簡単に見つけ出せるだろうよ」
化け物は、高らかに笑いました。
クレオンは不本意ながら、メサイトの考えに同意します。
あいつは”時間を稼いで”と言った。恐らくネリスの帰りが遅い事を心配したコリスやレアロンが、ここを突き止めて助けてくれるとでも思っているのだろう。それまでは、化け物相手にかくれんぼをしようって算段か……。
クレオンが、苦笑しました。
もしかしたら、それはある程度良い作戦だったのかも知れません。実際、コリスはレアロンに命じ、ネリスを探させているわけですからね。でも全く運が悪い。だって濃紺のローブの男のおかげで、レアロンはこの場所を見つける事が出来ないのですから……。
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